Back to Normal!

金融財政事情研究会(きんざい)という組織があり、金融機関向けに書籍を刊行し、セミナーを主催している。

10月26日から30日まで「第52回金融内部監査人養成スクール」の開催を予定しており、筆者は初日と二日目の午前中に内部監査と内部統制の概論を話すのが初回(もう20年ほど前だ)からの通例になっている。

最近は年3回開催してきたが、今年の4月と7月はコロナ禍で流れた。今回も心配していたが、きんざいによれば、受講希望者が多く、今回は実開催される模様だ。

多くの金融機関が、東京への出張を許可するようになったのだろう。ビジネスがノーマルに戻ってきている兆しだろう。

北海道から沖縄まで、日本国中の金融機関から、内部監査の新任の担当者(部長クラスの受講も多い)が集まる楽しいスクールだ。受講生の皆さんにお目にかかるのが楽しみだ。

(2020.9.18)

The Harder You Work, the Luckier You Get. (その2)

オリンピックのアスリートになるには20000時間の練習が必要、とか、「千日の稽古を鍛とし、万日の稽古を錬とす」という宮本武蔵の言葉を紹介したところ、読者の方から質問が来た。

私のブログの読者には内部監査やリスク管理担当の方、CIAの受験を目指している方が多いが、この方はCIAの受験を目指している方のようだ。

質問の趣旨は「CIA試験に合格したいが20000時間もかけるわけにはいかない。どうしたらよいか?」というものだった。

ご存知の無い方に簡単にCIA(公認内部監査人)の試験について概説すると、試験は以下の3つのパートに分かれている。
Part 1: 内部監査に不可欠な要素(基準や原則の理解)
Part 2: 内部監査の実務(実施の仕方)
Part 3: 内部監査のためのビジネス知識

各科目の80%が出来れば合格と言われ、合格率は約30%。通常、各科目で合格点を取るためには200-300時間の勉強が必要だと言われる。200時間X3科目=600時間 一日2時間勉強に時間が割けるとして300日が必要である。「鍛」の3分の1ぐらい。勤め人にはなかなか捻出するのが難しい。

どうすればよいか?
ゴルフでプロになるのは難しいが、100を切るのはそれほど難しくない。月一ゴルファーにも可能な目標だ。
まず、ドライバーが大体まっすぐに飛んでフェアウェイをキープしたい。次に、グリーンの100ヤードまで来たら寄せがぴたりと決まると嬉しい。更には、パットは3パットはしないレベルになる。こうして、ドライバー、グリーン周り、パットという3つのスキルに自信が持てれば、100を切るのは簡単だ。

内部監査で考えよう。ゴルフの3つのスキルに相当するのは何だろうか。内部監査の対象は、ガバナンス、リスク管理、コントロール(内部統制)である。であるとすれば、この3つの分野への知識を収め自信を深めることが出来れば、テストに合格する可能性が高まる。

しかも、これらの分野は、CIAを目指している人なら、毎日仕事で接している分野であるから、仕事をすることが即ち受験勉強になるはずで、仕事の自信を深めることが、即ち受験の自信を深めることになる。

プロになるとかオリンピックに出るのでなければ、あるレベルへ達するのは短時間で効率的なアプローチがある。

短時間でもThe Harder You Work, the Luckier You Get.であるのは間違いない。幸運を祈りたい!

(2020.9.13)

『内部監査基本テキスト(第4版)』刊行について

遅れていた掲題書籍が9月28日に全国の書店で販売開始の見込みになった。

いまAmazonで「内部監査基本テキスト(第3版)」を調べると、中古で13,450円という新刊の2倍という驚きの値段がついている。このテキストを求める多くの人に、絶版状態で、ご迷惑をかけていることになる。

いよいよ第4版が出ますから、無理に第3版を手に入れる必要はない。28 日まで待って第4版を入手してください。

最新のCIA試験の範囲の変更に全面的に対応しており、ガバナンス、リスク・マネジメント、コントロール(内部統制)については実施ガイドの内容も説明し、実務にも試験にも対応できるはずだ。

CIAを目指す皆さん、頑張って!

(2020.9.11)

The Harder You Work, the Luckier You Get.(1)

この言葉はプロゴルファーのGary Playerによるものだと思っていた。南アフリカの黒ヒョウと呼ばれ、Arnold Palmer, Jack Nicklausと並びBig 3の一角を占めた。 日本人と変わらぬ体格ながらキャリアグランドスラムを達成している。

この言葉はプレーヤーだけのものではなく、他の多くが言った名言のようだが、猛練習で飛距離を伸ばしショット、パットの正確性を高めた彼にピッタリの言葉といえる。

言われてみれば、それはそうだ。猛練習を積めば積むほど、修羅場で平常心が維持できるだろうし、ミラクルショットが打てる確率が高まる道理だ。

以前バレーボールの話で、素質のある人がオリンピックで活躍できるレベルになりのに20000時間かかると聞いたことがある。小学校高学年から始めて、一日6時間毎日練習して年間2190時間。これを9年間(つまり小学4年から高校3年まで)続けて20000時間になる。これほど努力しないとオリンピックレベルの選手にならないとすると、これは厳しいですね。

そうそう、「千日の稽古をもって鍛となし、万日の稽古をもって錬となす」という鍛錬の元になった言葉。宮本武蔵が五輪書に書いた言葉である。
(この項つづく)

(2020.9.9)

継続性好き

大企業の実力社長が会長に退き、副社長の中から次の社長が選ばれるような場合、選ばれた者は殊勝に「前社長の敷いた路線を踏襲して頑張る」というのがよくあるパターンだ。「前社長の路線は誤りだからそれを正してゆきたい」というような人間が後継者に選ばれるはずがない。

今回の安倍首相の辞任劇で、菅官房長官が果たしたのは、まさに、偉大な(何しろ憲政史上一番の長期政権だったのだから)安倍首相の後任として彼の敷いた路線を踏襲する後継者の役割だ。

筆者の見解では、安倍政権は長きを以って尊しとなした。特に日本への認識を海外に持ってもらうことにおいて長期政権は効果があった。具体的な成果を問われると、トランプ大統領とウマがあったという以外、対ロ交渉、拉致問題、韓国との関係等、あまり成果があったとは言いにくい。トランプと仲が良くても、日米地位協定の改定(少なくともドイツやイタリア並みにしてもらいたいものだ)にも目途が立たなかった。序盤で派手にはじめたアベノミクスの限界が見え、この8年間で日本の一人当たりGDPが延びず、平均所得がG7の中で唯一減少していることを見れば失政は明らかだと思われる。

明白な暗部としては、情報について、隠す、うそをつくことが常態化し、人事権を握られた役人の過剰な忖度も常態化したことだろう。菅政権でも、そのまま継続されることを憂慮する。

菅官房長官が自民党内で押される一番の理由は、政権の継続性だそうな。派閥の長は口々に、コロナ対策の要として、菅氏の首相就任が一番だと述べている。成果があまり上がらぬ外交政策や経済政策には目をつぶり、強権でにらみを利かせ、情報の適時性や透明性に大きな疑問がつく政治のかじ取りの継続も期待しているのだろうか。

継続性(continuity)という言葉は、良い語感(good connotation)を持つ言葉だ。特に日本語においてはそうだ。一例を挙げよう。「企業会計原則」の一つに継続性の原則がある。継続性の原則とは、企業がいったん採用した会計処理の原則及び手続は毎期継続して適用しなければならないことを要請する原則である。こんな原則の存在も会社勤めの人間の多くに「継続は良いことだ」という概念を刷り込んでいる。そうそう、大企業に入ってよく聞かされるのが、「石の上にも三年」辛くても辛抱を継続すれば道は開けるという教えだ。

A rolling stone gathers no moss. 転石苔を生ぜず。ということわざがある。日本では「落ち着きなくふらふらしていると何事も身につかない」という否定的な意味で使う。

wikipediaによれば、A rolling stone gathers no moss is an old proverb, credited to Publilius Syrus, who in his Sententiae states, People who are always moving, with no roots in one place or another, avoid responsibilities and cares. Inversely, a common modern meaning is that a person must stay active to avoid stagnation.

つまり、今のアメリカでは、「転がる石のようにアクティブにしていないと、さび付いちゃうぜよ」という使い方なのだ。継続よりChange(オバマ大統領のキャッチフレーズを想起されたい)が重要だ。

安倍首相の辞任表明で安倍内閣の支持率が20%あがり、菅官房長官による安倍政権の政策の継続表明で自民党の支持率が10%以上上がったそうな。日本人の継続好きもここに極まれりという印象を持つのは筆者だけであろうか。

(2020.9.8)