世界の動き 2025年10月15日 水曜日

今日の一言
「AIは私をどのように記憶するのか?」
 最近、CopilotというAIを偏重している。PCを買い替えたら、ログイン表示がピン止めされているので使いやすい。タダで無制限に使える。回答はChatGPTのように人間的だ。ChatGPTは起動する一手間がネックなのだ。
 Copilotは私との対話をすべて記憶している。そして私の話題が、内部統制、内部監査、経営戦略、旅行であることを熟知している。私の職業も理解している。多分私が、質問するときに説明したことを記憶している。そして何かを聞くと、私のポジションに応じた説明を加えようとする。
 昨夜は、「帰納的」「演繹的」という対話をしていたら、企業の監査役として、企業経営を「帰納的」に「演繹的」に分析し改善する手法を提案してきたので驚いた。
 今のところ、とても便利な機械だが、全人類の思考や行動のパターンを認識し、アドバイスするAIは、シンギュラリティを迎えたあとはどんな存在になるのだろうか。

ニューヨークタイムズ電子版より
1.「良き殉教者」とは何か?
【記事要旨】
 チャーリー・カークの死は、アメリカ保守派のみならず世界中の右派運動において象徴的な意味を持ち、彼は「MAGAの聖人」として崇敬されている。彼の死を記念する式典や記念碑の設置、法案の検討などが進められ、政治的・宗教的な象徴として利用されている。
 殉教者の条件(歴史家トム・ホランドの見解)
・公衆の面前での劇的かつ「無実」な死
→ ジョージ・フロイド(警官に逮捕される際に窒息死)はその映像が世界中に共有され、無実性が強調された。
→ アシュリー・バビット(1月6日の議会突入時に警官に射殺される)は議論を呼び、右派内でも評価が分かれた。
・死に意味づけられる原因があること
→ フロイドはBLM運動、バビットは「盗みを止めろ」運動と結びついていた。
・強力な運動の支えがあること
→ フロイドの死は選挙前の左派の結集を促したが、バビットの死はトランプ退任直前で運動の勢いが弱かった。
 チャーリー・カークの死の影響
 カークは討論中に銃撃され、若者をMAGA運動に引き込んでいた最中だった。彼の死は、強力な右派運動によって意味づけられ、象徴化されている。政権は彼の死を根拠に言論統制やリベラル派への弾圧を強化し、国内外に影響を及ぼしている。
 副首席補佐官スティーブン・ミラーは「チャーリーの名において」左派との「戦争状態」を宣言し、対立を激化させている。
【コメント】
 この文章は、殉教者が政治的・宗教的運動においていかに強力な象徴となり得るかを分析し、チャーリー・カークの死がその典型であると論じている。
 この文章を書いたドイツ人記者は、ナチスの創成期にドイツ共産党の戦闘部隊赤色戦線戦士同盟の隊員に射殺されたため、ナチ党の「殉教者」として英雄化されたホルスト・ヴエッセルHorst Wesselについても言及している。彼がヨーゼフ・ゲッベルスの新聞『デア・アングリフ』に投稿した詩は、後にナチ党歌「旗を高く掲げよ」の歌詞に採用されたそうだ。

2.イスラエル、ハマスに遺体返還を圧力
【記事要旨】
 イスラエル当局は、ハマスが多くの人質の遺体を直ちに返還しなかったことで新たな停戦合意に違反したと非難した。ハマスは、すべての遺体を返還することを約束しているものの、ガザ地区の広範囲にわたる破壊により迅速な回収が困難になっていると述べた。
 イスラエル政府は、ハマスが遺体をさらに返還しないことへの罰として、ガザ地区への援助を制限することを検討しており、ガザ地区とエジプト間のラファ国境検問所を閉鎖したままにする可能性もある。
【コメント】
 結局、人質になった人のうち、生還者、死者(うち遺体引き渡しされた人、不明の人)はどういう割合になったのだろうか。

3.マダガスカル軍が権力を掌握
【記事要旨】
 アンドリー・ラジョエリナ大統領が数週間にわたる若者主導の抗議活動の後、弾劾された数分後、昨日、軍のエリート部隊が国を掌握したと発表した。
 マダガスカルの治安部隊はここ数日、ラジョエリナ大統領に反発している。彼らは、生活の質の向上に政府が失敗したとして街頭に繰り出した抗議活動に加わった。大統領は月曜日に身を隠すことを余儀なくされたが、権力の維持を誓っている。
【コメント】
 土曜日の「ダーウィンが来た」でマダガスカルのカメレオンを見たばかりで平和な楽園を想像していたが、そうではないようだ。

其の他の記事
・トランプ大統領は、米軍がカリブ海で別の船舶を襲撃し、6人を殺害したと述べた。トランプ大統領は、これらの攻撃が麻薬密輸に関与していたと非難した。
・フランス首相は、不人気な年金改革を2027年の大統領選挙後まで凍結すると提案した。
・ロシアは、反クレムリン派の実業家ミハイル・ホドルコフスキー氏と他の亡命ロシア人に対するテロ捜査を開始した。

ベネズエラは、野党指導者マリア・コリーナ・マチャド氏がノーベル平和賞を受賞したことを受け、ノルウェーの在ノルウェー大使館を閉鎖する。

2025年10月15日 水曜日

世界の動き 2025年10月14日 火曜日

今日の一言
「政局」
 高市総裁が首相になれるかどうか、急に大きな「政局」になっている。この言葉は、 本来は、ある時点における政治の動向。政界の情勢を指す。
 しかし、現在では、首相の進退、衆議院の解散など、重大局面につながる政権闘争を指すことが多い。また、安定政権の元では、与党内での主導権争い。多く、国会などでの論戦によらず、派閥や人脈を通じた多数派工作を指す言葉だ。
 日本の政治は、人事をめぐる政局の繰り返しで、国家の基本政策をめぐる論点が政局化することがない。メディアも人事抗争が大好きで、火に油を注ぐことしかしない。
 石破おろし以来の政治空白で一番困るのは国民なのだが。

ニューヨークタイムズ電子版より
中東和平の実現?
【記事要旨】
 希望と現実の間で揺れる停戦合意:
– 停戦合意の成果:トランプ大統領は、20人の人質返還と約2,000人のパレスチナ人囚人解放を含む停戦合意を「中東の平和」と称賛。米国務長官も「過去50年で最も重要な日」と評価した。
 現地の複雑な状況:
– 停戦の第1フェーズは順調に進行したが、今後の展開には不確実性が多い。
– ハマスはイスラエルの完全撤退を要求、イスラエルは計画の成果が得られるまで撤退を拒否。
– ガザ統治の担い手が不明確で、ハマスは武装解除に応じていない。イスラエルはパレスチナ自治政府の関与を拒否。
 治安と統治の空白:
– ガザではハマスが再び勢力を強めており、停戦の空白を埋めようと動いている。
– 国際安定化部隊の派遣構想があるが、武装解除のタイミングや部隊の訓練期間など課題が多い。
 各国の立場と希望の兆し:
– アラブ諸国やイスラム諸国が米国の和平努力を支持しており、これは前向きな兆候。ただし、和平の加速よりも困難の増加が現実的との見方もある。
 勝利の主張と和平の可能性:
– ハマスは囚人解放や国際的注目の獲得を「勝利」とし、イスラエルは人質返還とハマスの弱体化を成果と主張。
– 米国の圧力によりイスラエルが交渉に応じたことも重要な転機。
– 停戦によってイスラエル国民が国際的孤立を再認識し、和平への意識が高まる可能性がある。
 結論:未解決の課題は多いが、関係国の支持と停戦の成果により、オスロ合意以来の最大の和平の希望と捉える声もある。
【コメント】
 ここまでは、容易ではないものの、漕ぎつけることができた。問題はこれからだ。ここで和平を実現すれば本当に平和賞ものだ。

其の他の記事
・ウクライナ当局は、戦争終結のための戦略として、ロシアの石油産業の大半が集中しているロシア西部への攻撃を挙げている。
・トランプ大統領が対中関税の脅威を軽視したにもかかわらず、アジア市場は下落した。
・フランスでは新政権が発足したが、政治的混乱はまだ終わっていない。

・技術が成長を牽引する仕組みに関する研究で、3人の経済学者がノーベル経済学賞を共同受賞した。
【日経新聞より
 「スウェーデン王立科学アカデミーは13日、2025年のノーベル経済学賞を米ノースウエスタン大のジョエル・モキイア教授(79)と仏コレージュ・ド・フランスのフィリップ・アギヨン教授(69)、米ブラウン大のピーター・ホーウィット教授(79)の3氏に授与すると発表した。授賞理由は「イノベーション主導の経済成長の解明」。
 3氏は技術進歩の原動力となる仕組みに注目した。人類史のほとんどの期間で経済成長は停滞したが、新しい製品や生産技術が出てきて古いものと置き換わることで持続的な成長が生じ、生活水準が向上するメカニズムを定式化した。
 受賞者のうちモキイア氏は歴史的資料を用いて、産業革命以降、特定の発見が次の発明を生み、持続的な成長が可能となっていくプロセスを解明した。技術革新が続くための科学的な素地や、発明を受け入れる社会的基盤の重要性も強調した。
 同じく持続的成長のメカニズムを研究したアギヨン氏とホーウィット氏は、旧来の製品を新たな製品が押しのけることで成長が加速する「創造的破壊」のプロセスを数学的なモデルで表現した。」ということだ。

2025年10月14日 火曜日

世界の動き 2025年10月13日 月曜日

今日の一言
「スポーツの日」
 いま、驚いた。「体育の日」ではなく「スポーツの日」だったのか! Wikipediaでは、以下の説明だ。
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 スポーツの日は、日本の国民の祝日の一つ。10月の第2月曜日。
1964年(昭和39年)に東京オリンピックの開会式が行われた10月10日を「体育の日(たいいくのひ)」に定め国民の祝日とし、2000年(平成12年)から移動祝日になり、2020年(令和2年)に現在の名称に改称した。日本の移動祝日の中では、一年の内で最後の祝日である。日本の祝日では、初めての英語由来の片仮名の名称である。
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 つまりスポーツの日になってからもう25年も経っていたのに、うかつにも今日まで気が付かなかったわけだ。英語ではSports Dayと称するそうで、One of those stupid National Holidays in Japan という印象だ。
 記憶を思い起こすと、1959年(総和34年)に、皇太子明仁親王殿下(現:上皇)と正田美智子さん(現:上皇后)がご成婚された。この時のパレードを見るために我が家は白黒TVを買った。そして5年後に、東京五輪を見るためにカラーTVを買ったのだ。昭和は輝いていた。そんな時代だった。
 さて、後期高齢者に近づく現在、AIにどんなスポーツをよいか聞いてみた。「散歩」「水中ウォーキング」「太極拳」「グラウンドゴルフ」との回答だった。「大田区でグラウンドゴルフができるのはどこか」と聞いたら、東京で出来るところは無いそうだ。ちょとひどい回答だ。

ニューヨークタイムズ電子版より
1.チベット高原で進む中国のクリーンエネルギー革命
【記事要旨】
 高地の利点を活かした再生可能エネルギー
– 中国は標高3,000m超の青海省(チベット高原)で、太陽光・風力・水力発電を大規模に展開。
– 太陽光パネルはマンハッタンの7倍の面積に広がり、冷涼な気候と強い日射により高効率。
– 発電された電力は1,500km以上離れた都市やAI用データセンターにも供給。
 国家戦略と青海省の役割
– 習近平主席は温室効果ガス削減と再生可能エネルギーの6倍拡大を表明。
– 青海省はその中心地で、外国人記者の立ち入りが制限される中、政府主催の視察が行われた。
 経済と産業の変化
– 青海省では太陽光・風力の発電コストが石炭より約40%安く、電力集約型産業が移転。
– 珪岩からポリシリコンを製造する工場や、空調不要の省エネ型データセンターが増加中。
 環境と住民への配慮
– 初期の太陽光パネル設置は遊牧民の放牧に支障をきたしたが、現在は高所設置で改善。
– 高地での発電は人口密度が低く、移住の影響が比較的少ない。
 驚異的な拡張ペース
– 中国は三峡ダムの発電能力に匹敵する太陽光パネルを、約3週間ごとに設置している。
 このプロジェクトは、地理的・気候的条件を最大限に活かしながら、環境負荷を抑えた未来型エネルギー供給モデルの一端を示している。
【コメント】
 最後の、「 中国は三峡ダムの発電能力に匹敵する太陽光パネルを、約3週間ごとに設置している。」というのは事実だろうか。三峡ダムの発電能力は2250万KW。柏崎刈羽原発の発電能力は7基で821万だ。
 この記事の英文タイトルはHigh Energyだ。中国高地でとんでもない出力の発電を行っているのだ。

2.イスラエルとパレスチナ、人質・囚人交換を待つ
【記事要旨】
 イスラエル政府は、ガザ地区で生存する人質全員の解放が本日早朝から開始される予定だと発表した。同時に、イスラエルは約2,000人のパレスチナ人囚人を解放する予定だ。この交換は、2年間続いた壊滅的な戦争に終止符を打つ可能性のある停戦合意に基づいて行われる。
 トランプ大統領は、人質の家族と面会し、イスラエル議会で演説するためイスラエルを訪問する。その後、エジプトへ飛び、合意を支持するアラブ諸国の指導者たちとの首脳会談に臨む予定だ。
 イスラエル当局は、ガザ地区に約20人の生存人質と、約25人の死亡者の遺体が拘束されているとみている。今回の合意は、戦争を通じて悪化する深刻な人道危機に見舞われているガザ地区への大規模な援助の流入も規定している。
【コメント】
 この合意は、これまで出来なかったのだろうか。トランプの存在が可能にしたのだとすれば、平和賞ものの貢献だ。

其の他の記事
・マダガスカルの軍部隊が大統領の辞任を求める抗議活動に加わり、クーデター未遂の懸念が高まっている。
・フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、セバスチャン・ルコルニュ首相を再任し、もはや打つ手がないと認めたかのようだ。
・中国は、トランプ大統領が中国の希土類金属への新たな規制への対抗措置として中国からの輸入品に100%の関税を課すと発表したことを受け、米国の二重基準を非難した。
・ハリウッドやファンは、土曜日に79歳で亡くなったダイアン・キートン氏を悼み、彼女を繊細な女優であり、思いやりのある同僚として偲んだ。
・カンタス航空は、サイバー犯罪者が顧客の個人情報約600万件を盗み出し、オンライン上に流出したと発表した。 

2025年10月13日 月曜日

米国のなりすまし詐欺

 NYタイムズで「The catfishing scam putting LPGA golfers and fans in danger」という記事が目をひいた。これは、女子プロゴルフ界(LPGA)を舞台にして急増している「なりすまし詐欺」(catfishing scam)について報じたものだ。特に人気の高いNelly Korda(ネリー・コルダ)をはじめとする有名選手が標的になっており、ファンも巻き込まれて被害を受けている。

詐欺の手口
• 詐欺師は選手になりすました偽アカウントをSNS(Instagramなど)で作成。
• ファンにDM(ダイレクトメッセージ)を送り、親しげな会話を始める。
• すぐにTelegramやWhatsAppなど、監視の緩いプラットフォームに誘導。
• 「VIPディナー」「大会の特別席」「投資話」などを持ちかけ、暗号通貨やギフトカードでの支払いを要求。
• 支払いが終わると、詐欺師は姿を消す。

Nelly Kordaの対応と警告
• ネリー・コルダはInstagramのプロフィールに警告文を固定表示し、「ファンに金銭を要求することは絶対にない」と明言。
• 「ファンと自由に交流することが難しくなった」と語り、詐欺の影響で本物の交流が妨げられていると懸念。
• 彼女は1日に20件以上の偽アカウントを報告していたが、今では1時間に何十件も増えるほどの勢いだそうだ。

被害事例
• 72歳の男性が「ネリー・コルダと結婚する」と信じ込み、退職金15,000ドル(約220万円)を送金。家を売る寸前までいったという事例もある。老齢と分別は別物のようだ。
• ペンシルベニア州の男性が、ローズ・チャンとのVIPディナーを信じて70,000ドル(約1,000万円)を送金し、現地に現れたが詐欺だったと判明。彼女は日本食が大好きだそうだが、架空の夕食のメニューは何だったのだろうか。

LPGAとセキュリティ専門家の見解
• LPGAはセキュリティ会社TorchStone Globalと連携し、選手とファンの安全確保に努めている。
• 一部の被害者は、真実を告げられても信じず、選手本人を責めるケースもあるという。

 こうしたなりすまし詐欺は、選手だけでなくファンの人生にも深刻な影響を与えている。ネリー・コルダのような人気選手が声を上げることで、より多くの人が注意を払うようになることが期待されている。

 日本では、有名評論家をかたる「投資話のなりすまし詐欺」が一時期隆盛を極め、何千万円も失う人が続出したが、いまはどうなっているのだろか。「世に盗人の種は尽きまじ」というが、AIの力を得て、手段はますます巧妙化している。

2025年10月12日 日曜日