世界の動き 2025年4月29日 火曜日

今日の一言
「たまには風邪もひく」
 昨日の朝から風邪の症状がひどい。私の場合は、鼻水と咳で、熱は出ない。
 昨夜は早く寝て今朝の8時までほぼ熟睡することが出来た。症状は随分改善した。というわけで今朝の配信が遅れました。申し訳ありません。
 ニューヨークで勤務していた時、部下の米国人から「fluなので休む」という連絡をしばしば受けたことを思い出した。病欠を10日間ぐらい見ておくのは当時の業務計画の常識だった。
 同じ米国人でも、私より5歳年上のトランプ大統領が病気で休んだという報道を聞いたことが無い。世界一の権力者は風邪をひく暇もないのだろうか。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.トランプ大統領の脅しによって混乱した選挙で、カナダ国民は投票を終えた
【記事要旨】
 昨日、カナダの6つのタイムゾーンで投票が開始され、トランプ大統領の貿易戦争と併合の脅しに対する国の対応が決まる重要な選挙が行われた。多くのカナダ人は、この選挙が人生で最も重要な選挙だと考えている。
 世論調査では、マーク・カーニー首相率いる自由党が、ピエール・ポワリエヴル党首率いる保守党をわずかにリードしていることが示された。
 さらに3つの政党が、カナダの国会である下院で少数議席を獲得すると予想されている。カナダの次期首相を争う2人のリーダーは、有権者の選択において中心的な存在であり、この重要な局面に、それぞれ異なる個性、経験、そして国家に対するビジョンを提示している。
 トランプ効果:投票開始直後、トランプ氏は再び、カナダ国民は「カナダをアメリカ合衆国の51番目の州にしてくれる人物に投票すべきだ」と主張した。オタワの新政権は、カナダを景気後退に追い込んだトランプ氏の関税措置と、同国の膨大な資源を貪欲に狙うトランプ氏の政策に対処しなければならないだろう。
【コメント】
 昨日に続いてカナダの総選挙の記事だ。やはり隣国の選挙への関心が高いのだろう。トランプの発言はカーニーへの援護射撃だ。

2.プーチン大統領、ウクライナで3日間の停戦を宣言
【記事要旨】
 露大統領府は昨日、プーチン大統領が5月8日からウクライナで3日間の停戦を命じたと発表した。トランプ大統領が停戦拒否に苛立ちを示したためだ。ウクライナはこの予想外の発表に懐疑的な反応を示した。
 クレムリンの声明によると、ロシア軍は5月9日の第二次世界大戦におけるソ連の勝利を祝う祝日(ロシアの主要な祝日)を記念して、72時間戦闘を停止する。
 「なぜ5月8日まで待つ必要があるのか​​?」と、ウクライナのシビハ外相はXに書き込んだ。さらに、「ウクライナは永続的かつ永続的な完全な停戦を支持する用意がある」と付け加えた。
 プーチン大統領の今回の宣言は、先週ソーシャルメディアでウクライナへの爆撃を「止めろ!」と強く求めたトランプ大統領を宥めようとする新たな試みとみられる。迅速な合意を拒否するプーチン大統領の姿勢は、トランプ政権の苛立ちを募らせている。
 戦場にて:ウクライナは米国の支援に不安を抱え、国産ドローンの使用拡大に賭けている。
 北朝鮮:金正恩委員長は、ロシアのために戦死した北朝鮮兵士の慰霊碑の建立を命じた。北朝鮮が戦争への関与を認めたのは今回が初めてだ。
【コメント】
 72時間が更に伸ばされ、永続的な停戦につながることを希望する。前線の兵士にはつかの間の平安だ。

3.スペインとポルトガルで停電が発生し、数百万人に影響
【記事要旨】
 スペインとポルトガルは昨日、大規模な停電に見舞われた。企業だけでなく、鉄道、地下鉄、航空機の運行も停止した。スペインの病院は発電機での稼働を余儀なくされた。停電の原因は不明だ。
  停電から数時間経っても、当局は緊急対応モードを維持した。EU当局者は、サイバー攻撃の兆候は見られないと述べた。午後遅くには、多くの地域で電力が再び供給され始めた。フランスのバスク地方も一時的に影響を受けた。
【コメント】
 記事には、畑の真ん中で停車したスペインの特急電車から降りる乗客の写真が添付されている。旅行中にこんなことになったら大変だ。

その他の記事
米国:トランプ大統領は、移民取り締まりを強化する2つの大統領令に署名する予定だ。これは、いわゆる「聖域都市」への対策の一環である。
南アジア:カシミール攻撃を受け、インドとパキスタンはビザをキャンセルした。混血の家族は引き裂かれた。パキスタンによるインド国境警備隊員の拘束は、新たな緊張要因を生み出している。
東南アジア:フィリピンは、中国が南シナ海の領有権が争われているサンディ島を制圧したという中国の主張に反論し、緊張を高めないよう強く求めた。
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ゴルフ:LPGA史上最大のプレーオフは、23歳の西郷真央がシェブロン選手権でメジャー初優勝を果たして幕を閉じた。

2025年4月29日 火曜日

世界の動き 2025年4月28日 月曜日

今日の一言
「黒磯板室インター」
 土曜の夜に逆走事故があり、3人が死亡し10人が重軽傷だった。原因は黒磯板室インターの進入路のわかりにくさにあるようだ。
 那須への往復で東北道は頻繁に使う。上記のインターも使ったことがあるが、進入路には信号があり、確かにわかりにくかった記憶がある。
 アメリカでは道路に大きな金属性の突起を設置し、逆走するとタイヤがパンクする装置がある。やや乱暴な手段だが、日本でも検討が必要だ。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.カナダの選挙で、アメリカが最優先事項
【記事要旨】
 カナダでは本日、誰が政権を率いるのかを決める議会選挙が行われる。元銀行家のマーク・カーニー首相率いる自由党か、それともベテラン政治家ピエール・ポワリエヴル率いる保守党か。注目すべき点は以下のとおりだ。
 有権者を悩ませているのはトランプ大統領だ。カナダに対する関税攻撃と、カナダを51番目の州として併合するという繰り返しの主張が、選挙戦の焦点となっている。
 カナダ支局長に話を聞いた。
Q: 今回の選挙で最大の争点は何か?
A: カナダ国民は経済とトランプ大統領のことを考えており、この二つは大きく絡み合っている。カナダ経済は関税の影響で比較的弱い状態にある。一部の有権者は、過去10年間政権を握ってきた自由党に対し国を弱体化させた責任を問おうとしている。
 こうした有権者は保守党に投票する可能性が高い。保守党は変革、小さな政府、減税、規制緩和を約束している。しかし、他の有権者(世論調査では過半数を占める可能性が示唆されています)は、カナダが米国にどう対抗していくかを主に懸念している。これは関税のような経済的な問題にとどまらず、政治的、さらにはトランプ大統領がカナダ併合をちらつかせていることを考えると、存在そのものに関わる問題だ。
 こうした考え方に駆られた有権者は、自由党を選ぶ可能性が高いでしょう。マーク・カーニー氏は経験豊富な国際経済政策立案者であり、民間企業の幹部でもあります。経済危機における彼の経験から、多くのカナダ人は彼が今回の危機において信頼できる人物だと考えている。
Q: 選挙日に何に注目するか?これまでのところ、どのような点が目立っているか?
A: 世論調査の予想通り自由党が勝利し、過半数政権を獲得できるかどうかに注目している。トランプ氏がアメリカの同盟国に対して強力な政治的影響力を持つことを示すものとなる。同盟国は皆、ホワイトハウスの政策と姿勢の変化に動揺しています。
 自由党は、年初までは惨敗に直面すると思われていたが、今回の急激な運命の転換は、まさに目を見張るものがあります。そのような状況下で、カーニー氏が政治経験ゼロでありながら、エリート経済学者から瞬く間に首相へと上り詰めたことは、実に驚くべきことだ。
 結果:ほとんどの投票は東部時間午後9時30分に締め切られ、結果は同日夜遅くに判明する見込みだ。
【コメント】
 トランプが政権に着いてから初のG7の国で国政選挙の結果に注目したい。

2.ウクライナ交渉の行方は今週決まる、とルビオ国務長官
【記事要旨】
 マルコ・ルビオ国務長官は昨日、トランプ政権はロシアのウクライナ侵攻について、交渉による解決を引き続き追求するか、それとも他の問題に目を向けるかを今週決定すると述べた。
 「我々は近づいているが、まだ十分ではない」とルビオ氏はテレビのインタビューで述べた。これが交渉戦術なのか、それともトランプ氏とその側近が本当に離脱に近づいているのかは不明だ。
 一筋の希望の光:土曜日、トランプ氏とウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領はローマで約15分間、非公式に会談した。トランプ氏はその後、米国が戦争終結の仲介を試みているにもかかわらず、ロシアがウクライナへの攻撃を続けている理由を疑問視した。ゼレンスキー大統領は、トランプ氏と「新たな戦争を防ぐ、信頼できる永続的な平和」について話し合ったと述べた。
 関連:モスクワは、ウクライナがロシアのクルスク地方で保持していた最後の村を奪還したと主張した。ウクライナは村から追い出されたことを否定した。

トランプ氏についてさらに詳しく
・先週、米国市民権を持つ4歳と7歳の子供が母親と共にホンジュラスに強制送還されたと、家族の弁護士が明らかにした。
・トランプ氏は、関税をめぐって、州当局者、中小企業、さらにはかつて同盟関係にあった政治団体からも、相次ぐ訴訟に直面している。
【コメント】
 ゼレンスキーにはクリミアを放棄する英断を下してほしい。

3.教皇葬儀に世界の指導者たちが集結
【記事要旨】
 フランシスコ教皇は土曜日、ローマで埋葬された。葬儀には世界の指導者や数十万人の信者が集まった。タイムズのローマ支局長は、葬列は「厳粛で荘厳」だったと記している。
 教皇が埋葬される前から、フランシスコが教会の伝統を危険にさらしたと感じていた保守派の枢機卿たちは、次期教皇を選出するコンクラーベ(枢機卿会議)に影響を及ぼすための政治的駆け引きを始めていた。
【コメント】
 日本からは岩屋外相が参加したが全く注目されなかった。

その他の記事
カナダ:土曜日、バンクーバーで開かれていたストリートフェスティバルで、運転手がSUVを突っ込み、パーティー参加者の群衆に突っ込み、少なくとも11人が死亡した。
イラン:港で爆発が発生し、少なくとも14人が死亡、700人以上が負傷したと国営メディアが報じた。当局は攻撃ではないとしている。
ドミニカ共和国:ジェットセット・ナイトクラブの屋根崩落に、音の振動が影響したのではないかとの見方が出ている。

2025年4月28日 月曜日

最恵国待遇

 最恵国待遇とは、世界貿易機関(WTO)の基本原則の一つで、いずれかの国に与える最も有利な待遇を、他のすべての加盟国に対しても同様に適用しなければならないというルールである。

 言い換えれば、ある国との間で有利な条件で条約を締結した場合、その条件を他の加盟国にも適用しなければならないということである。

 現在、トランプ大統領の「相互関税政策」に対応し、日本は赤沢経済再生担当相、加藤財務相等が米国詣でを行っている。もし他国に先駆けて、日本が他国よりも有利な関税条件を米国と結んだとして、他国も同様な条件に帰着する可能性は無いのだろうか。

 米国はWTOへの資金拠出を停止し、脱退の意向があると言われているので、日本が抜け駆けに成功する可能性があるということなのだろうか。

 WTO体制を堅持している日本は、米国との間で関税の取り決めを優遇すると(例えばコメの関税を米国に対して下げる等)他国にも同条件を提供しないといけないのではなかろうか。

 これまでのシンプルだった常識が、横紙を破る大国の登場で、連立方程式を解くように複雑になる。関税交渉の進展に、米国と日本との交渉の帰結に加えて、他国への影響に注意を払いたい。

2025年4月27日 日曜日

朋あり遠方より来る

  孔子の言葉、「朋あり遠方より来る 亦楽しからずや」は誰もが知っている。その意味を「遠くから友人が来てくれて一緒に酒を飲むことは何と楽しいことなのだろう」と解釈する人が多い。自分もそうだったが、これは間違いだ。

 孔子は、「学問をしてそれを自分のものとして、知識が豊かになれば、道を同じくする友人が遠い所からでもやって来て、学問について話し合うようになる。」ということを述べているのだ。

 今日は親しい友人夫妻が自宅を訪ねてくれて、酒を飲みながら楽しい時を過ごした。こんな時は井伏鱒二の漢詩の名訳が相応しい。

   コノサカヅキヲ受ケテクレ
   ドウゾナミナミツガシテオクレ
   ハナニアラシノタトエモアルゾ
   「サヨナラ」ダケガ人生ダ」
   ・・・井伏鱒二訳 (漢詩「勧酒」作:于武陵)

2025年4月26日 土曜日

世界の動き 2025年4月25日 木曜日

今日の一言
「米中交渉」
トランプは中国との交渉は上手くいっていると言う。中国の報道官は交渉は全くないと否定している。
これまでの言動で考えれば、トランプは虚言を弄しているように見える。ベッセント氏の税率半減の言葉は、米国から中国への働きかけの始まりのように聞こえる。
つまりトランプは自分で振り上げた拳を下さなければ中国との交渉が全くできない状況のようで、米国の不戦敗だ。

さて、高関税は、米国内での物価上昇と失業の増加をもたらす恐れがある。パウエル議長は物価上昇に備え金利を下げる時期ではないと主張。FRBでは、失業率の上昇に備え金利を下げる可能性を指摘する理事も出てきた。
中国への姿勢の軟化。金利の引き下げの可能性。いずれも株式市場にとってはプラスの話だ。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.トランプ大統領、プーチン大統領に「ウラジーミル、止めろ!」
【記事要旨】
昨日、ロシアによるキエフへのミサイルとドローンによる攻撃で、少なくとも12人が死亡、90人が負傷した。この攻撃を受け、トランプ大統領は珍しくモスクワへの非難を表明した。
「ウラジーミル、止めろ!」トランプ大統領はソーシャルメディアに、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領に向けて投稿した。「ロシアによるキエフへの攻撃には満足していない。必要もないし、タイミングも非常に悪い」
今回の攻撃は、ウクライナの首都で約1年ぶりの死者数となった。トランプ大統領と側近が、ゼレンスキー大統領に対し、ロシアに有利なアメリカ主導の計画を受け入れるよう要求した数時間後に発生した。
昨日、大統領執務室で演説したトランプ大統領は、どちらの側に尽くそうということは無く、戦争を止め、人命を救うことが唯一の目標だと述べた。しかし、プーチン大統領は紛争終結のために「かなり大きな譲歩」をしたと主張した。その譲歩とは何かと問われると、トランプ氏は「国全体の占領をやめることだ」と答えた。
クリミア:ウクライナにとって、米国が提案しているようにロシアによるクリミアの支配を正式に承認することは危険な譲歩であり、そこに居住するウクライナ人を見捨てることになるだろう。
外交:欧州諸国はウクライナの将来を自国にとって極めて重要だと考えている。当局者は、米国が和平交渉から離脱した場合でも、キエフを支援し続ける用意があると述べている。
将軍の投獄:戦場の問題についてロシア軍指導部に苦情を申し立てたために解任されたイヴァン・ポポフ少将は、汚職の罪で懲役5年の判決を受けた。
【コメント】
プーチンはどう考えているのだろうか。これだけ自分寄りのトランプとの関係を反古にすることなく、一層有利な条件をどのように引き出すか、注目だ。

2.インドとパキスタンの緊張が急激に高まる
【記事要旨】
パキスタンは昨日、インドに対する一連の報復措置を発表した。これは、カシミール地方で26人の観光客が死亡した武装勢力の攻撃を受け、インドがパキスタンへの報復措置を取った翌日のことである。
パキスタンはインドの航空機に領空を封鎖し、イスラマバード駐在のインド外交官の削減とインドとの貿易停止を命じると発表した。インドは火曜日にパハルガム近郊で発生した攻撃について、公式には特定のグループを特定しておらず、パキスタンも関与を否定している。
しかし、インド当局が軍事攻撃の可能性を示唆したことで、パキスタン全土で国民が不安を抱いている。テレビ報道では、敵対行為が激化した場合の予測不可能な結果を​​警告する国防アナリストの声が相次いでいる。
詳細:インドが重要な水資源条約を停止したことを受け、パキスタンは河川を封鎖するいかなる試みも「戦争行為とみなす」と述べた。パキスタンは、農業の約90%をインドを流れるインダス川水系の水に依存している。
【コメント】
いずれも核兵器を保有する地域の大国だ。世界中で乾燥した巻藁が大量にあり、すぐ山火事になりそうな状況だ。

3.フランシスコ教皇、明日埋葬
【記事要旨】
バチカンは昨日、フランシスコ教皇の墓の写真を初めて公開した。遺志に従い、簡素で装飾のない安息の地。墓石は大理石で造られ、「フランシスコ」の銘が刻まれている。
数万人のカトリック信者が、サン・ピエトロ大聖堂に安置されているフランシスコ教皇に敬意を表している。葬儀は明日執り行われる。
【コメント】
歩き回る枢機卿たち。色鮮やかなスイスの傭兵。バチカンに特有の風景が広がる。

その他の記事
フランス:ナントで、高校生が昼休み中に4人を刺し、そのうち1人を殺害した。動機は不明である。
韓国:文在寅前大統領が贈賄罪で起訴され、刑事裁判に直面する元指導者の新たな事例となった。
シリア:英国は、バッシャール・アル・アサド政権下で複数の政府機関に課されていた制裁を解除した。

エネルギー:米国当局は、日本と韓国に対し、アラスカ州で440億ドル規模の天然ガス開発プロジェクトへの参加を強く求めている。
マレーシア:100歳の誕生日を間近に控えたマハティール・モハメド氏は、首相としての長年の在任期間を振り返り、強権政治家や反ユダヤ主義者との非難に反論した。

関税
ドイツ:政府は、関税による混乱を理由に、2025年の経済成長率予測をゼロに引き下げた。
米国:トランプ大統領は、関税によって企業は米国内に工場を建設せざるを得なくなると述べているが、予測通りの効果は期待できないかもしれない。

2025年4月25日 金曜日