東京都議選

 あまり争点がはっきりせず、どの党も物価高に対応するための補助金策で有権者の支持を得ようとしているように見える。地盤沈下する日本の首都であり、唯一の希望にも見える東京の今後をどうするかという議論は殆どない。

 学費・医療で無償化される学童がおらず、教育や医療で各党が言う恩恵にあずかることのない老齢一家。行政のお世話になっていると感じるのは「ごみの収集」ぐらいだ。

 時あたかも地方税の納付通知が届き、あまりの高さに頭がくらくらする。「ごみの収集」だけなら年間数万払えば業者が受託してくれると思う。先日払った固定資産税にもくらくらした。所得の多い個人や企業の多い東京都は、小池さんのいう「ワイズ スペンディング」に徹し、余剰金を還付してもらいたいものだ。

 前回の都議選の投票率は42%だった。今回は50%に届くだろうか。

2025年6月22日 日曜日

利尻島、礼文島、稚内の旅

3泊4日で、利尻島、礼文島、稚内と旅行してきた。花が咲き乱れる北の離島めぐりが目玉のツアーだった。

フライトは行は、羽田-新千歳ー利尻。帰りは、稚内-羽田というANAのフライトで、いずれも満員だった。

利尻島は島の中心に利尻岳を擁し、周回道路の延長が50kmほどの小さな島だ。いくつかの観光地を見たが、どこもとても素朴だ。土産物は利尻昆布が一押しだ。
島の東西で利尻町と利尻富士町の二つの町があるがいずれも人口は2000人弱。20年前に比べて人口は半減しているそうだ。主産業は昆布、ウニ、ニシンといった海産業だ。

礼文島は島の東側と西側の地層が大きく異なり、かつ日本本土では高山にのぼらないと見ることの出来ない花々が間近に見られる「花の浮橋」だ。宗谷岬にわずかに日本最北端の地位を譲るスコトン岬は、記憶に残る景色だった。人口は約二千人。こちらも人口減が激しい。学校の児童に都会に慣れさせるためにわざわざ信号を設置したそうだが、本当だろうか。

稚内では宗谷岬の日本最北限と鉄道最北限のJR稚内駅の表示を確認した。

今回の旅のまとめ
・手つかずの自然が残ったいる礼文島では花の名前を勉強したなー。「レブンアツモリソウ」「ミヤマオダマキ」「エゾカンゾウ」等々
・利尻島のウニと昆布は美味しい。
・中国人の団体は居なかったので静かでよかった。
インバウンド依存の日本の地方としてはとても欲しいところだろうが。
・夏の混雑を冬にどう持ち越せるかは課題。
・礼文島には澄海(スカイ)と香深(カフカ)という
素敵な地名がある。これを活かして冬場に観光客が呼べないだろうか。
・利尻島、礼文島、稚内共に高台には自衛隊のレーダーサイトがあり、ロシアを巡る緊張を実感した。
・市街地を見下ろす稚内公園には第二次大戦終結後の昭和20年8月20日にソ連軍の侵攻を受けて自決した9人の電話交換手だった乙女の碑が設置されており国家に翻弄される国民の姿に深く考えさせられた。

何より気温が30度台の東京に比べ、最高気温18度程度の北の旅は命の洗濯になった。

2025年6月21日

休載のお知らせ

読者の皆様

当方の事情により6月17日(火)から20日(金)まで

ブログを休載します。

21日(土)からは通常通り、再開しますのでご了解ください。

水島 正

世界の動き 2025年6月16日 月曜日

今日の一言
「Top3記事」
 毎朝、ニューヨークタイムズから届くニュースレターを読む前に、今日は何がトップ3か考える。
 今朝はイランとイスラエルの戦争、トランプの軍事パレードと予想。3つ目は見当がつかなかった。
 米国での州議会議員へのテロ行為が大きく取り上げられた。確かに民主主義の危機だ。
 ウクライナ戦争は小さな扱いだが、この間にも市民を巻き込んだ戦争が続いている。
 株式市場ではリスクオフの動きが顕著になった。G7で先進国の協調が打ち出されなければ、軟調な市場が継続するのは不可避だ。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.イスラエルとイラン、ミサイル攻撃を交互に実施
【記事要旨】
 イスラエルとイランは昨日、人口密集地への攻撃を交わし、双方とも国際的な緊張緩和の呼びかけを無視した。
 イランの核開発計画の将来について、テヘランとワシントンの間で日曜日に予定されていた協議が当局によって中止されたことで、外交交渉への道は狭まったように見えた。イスラエルは、金曜日に実施した強力な攻撃の目的はイランの核インフラの無力化だと述べた。
 トランプ大統領は、戦闘の停止を呼びかけた。「イランとイスラエルは合意すべきであり、必ず合意するだろう」と、彼はソーシャルメディアへの投稿で述べた。「現在、多くの電話会議や会合が行われている」と付け加えた。
 イラン革命防衛隊は、攻撃が止まらなければイスラエルへの攻撃を強めると警告した。イスラエル軍報道官は、イスラエルはイランへの攻撃を「一瞬たりとも」止めないと述べた。
 準備不足:イラン高官6名へのインタビューから、彼らはイスラエルが次の協議の前に攻撃を仕掛けるとは予想していなかったことが明らかになった。彼らは大きな誤算を犯したとタイムズの同僚は述べた。
【コメント】
 両国は本格的な戦争状態に入ってしまった。
 日本への懸念はホルムズ海峡の封鎖だ。日本への原油の80%がここを通るからだ。

2.警察は、米国の政治家への襲撃事件の容疑者を追っている
【記事要旨】
 捜査当局は昨日、中西部ミネソタ州で、州議会議員1人を暗殺し、さらにもう1人を殺害しようとした容疑者の捜索を行った。警察は、容疑者の所有とみられる車を発見した。
 車は、容疑者が土曜日に警察官に扮して州議会議員であり州下院議長のメリッサ・ホートマン氏とその夫の自宅に侵入し、殺害したとみられる場所から車で約1時間の距離で発見された。警察との銃撃戦の後、容疑者は徒歩で逃走した。州上院議員ジョン・ホフマン氏とその妻は別の襲撃事件で銃撃されたが、生き残った。
 容疑者ボルター氏(57歳)の友人は、容疑者は中絶に強く反対し、トランプ氏に投票したクリスチャンだと説明している。ある上院議員は、容疑者が他の議員(全員民主党員)の名前を含む70人の標的候補リストを持っていると述べた。
 背景:米国で政治的暴力が蔓延する中、政治的礼儀正しさで知られるミネソタ州にとって、この襲撃は衝撃的な出来事でした。
 その他の政治ニュース:土曜日、トランプ大統領が米陸軍創立250周年を記念する軍事パレードに3時間以上を費やした直後、全米各地でトランプ政権に対する抗議活動が行われた。
【コメント】
 意見の違う政治家を殺害しようとするテロ行為だ。トランプ大統領の米国議会襲撃犯への恩赦がこうしたテロ行為を助長する原因になっていると思う。本当に米国の民主主義は危機的状況だ。

3.エア・インディア墜落事故の遺族、遺体を待つ
【記事要旨】
 エア・インディア171便墜落事故から3日が経過した現在、犠牲者270名のうち遺体はわずか35名しか遺族に引き渡されていない。悲しみに暮れる遺族たちは遺体安置所の外で連絡を待っている。
 医療関係者によると、墜落による炎の激しさが遺体の身元確認を困難にしたという。墜落したボーイング787-8ドリームライナーはロンドン行きで、アフマダーバードを離陸した直後に燃料を満載した状態で墜落した。
 機体のフライトデータレコーダーを回収した捜査官らは、機体が医科大学に激突する前に、パイロットが「メーデー」をコールする時間さえほとんどなかったことを突き止めた。
 唯一の生存者、11A席に座っていたヴィスワッシュ・クマール・ラメシュさんは、何とか無事に墜落現場から生還した。
【コメント】
 飛行機に乗って離陸時に100メートルぐらい上昇し、やれやれ離陸したと思うことがある。ちょうどあんな高さから墜落したようだ。燃料満載だから大爆発は避けられない。ロンドンへ向かうインド人一家5人が亡くなたとの報道もあった。痛ましい話だ。

その他の記事
G7サミット:
カナダ:G7諸国と同盟国の首脳は本日、アルバータ州の山岳リゾートで首脳会議を開催する。
緊張:2018年に首脳がトランプ大統領との首脳会議に出席した際、事態は芳しくなかった。今回は、事態の悪化を避けることが最優先事項だ。
米国の同盟国:トランプ大統領は政権が敵意を向けている、アメリカの最も近い同盟国の首脳と対峙することになる。

その他のニュース:
ウクライナ:ロシアによる東部での夏の攻勢は、戦場の進展につながっている。
中東:パレスチナ国家の樹立を模索する国連会議は、イスラエルとイランの紛争により延期されました。
気候:国連海洋会議で20以上の新たな海洋保護区の設置が発表された。専門家はさらに数千の保護区が必要だと指摘している。

ジェフ・ベゾス:アマゾン創業者と婚約者のローレン・サンチェス氏がベネチアで予定している豪華ゲストの結婚式に対し、一部の住民が激怒している。
欧州:昨日、バルセロナではマスツーリズムに反対する抗議活動が行われ、街頭で水鉄砲が再び使用された。イタリアとポルトガルでも抗議活動が行われた。

ビジネス:
鉄鋼:日本製鉄とUSスチールの契約に関する詳細は依然として不透明だ。

2025年6月16日 月曜日

コーポレート・ガバナンス・サーベイ(CGS)

 我が国では各種のCGSが実施されている。その中でも有名なものの一つに HRガバナンス・リーダーズ株式会社(以下「HRGL」)によるものがある。

 2025年度のHRGLによるCGSについて以下のプレスリリースが6月13日に有ったので紹介したい。
・・・・・
 HRGL社は、この度、神田 秀樹 東京大学名誉教授、久保 克行 早稲田大学商学学術院教授、水口 剛 高崎経済大学学長 監修のもと、2025年コーポレートガバナンス(以下「CG」)サーベイを実施いたします。従来の取締役会・人的資本・指名・報酬の各ガバナンス領域に加え、本年からはサステナビリティガバナンス領域の調査項目を拡充しています。「稼ぐ力」強化の要諦となる5ガバナンス領域をカバーしたサーベイへと進化を遂げたことにより、日本企業のプラクティスについて最新かつ網羅的な情報提供が可能となります。
・・・・・

 具体的な調査項目を見てみよう。

取締役会:
取締役会あり方、取締役会・指名委員会の構成・運営、取締役会への期待役割、社外取締役の機能発揮

人的資本:
人的資本経営の開示・取組状況、ダイバーシティ

指名:
役員の任期・定年、スキルマトリクス、後継者計画、役員のダイバーシティ

報酬:
役員の報酬水準・比率、報酬委員会の構成・運営、報酬制度の評価指標(非財務含む)、社外取締役・従業員への株式付与状況、クローバック・マルス条項の制度設計、ペイレシオ

サステナビリティ(新設):
サステナビリティの監督、マテリアリティ解決に向けた取り組みの推進、インパクト可視化への取組、人権、生物多様性、CSRD

 いくつか一般的でない言葉を説明したい。

マルス条項とクローバック条項:
 どちらも役員報酬の返還・減額に関する条項だが、その対象とタイミングが異なる。マルス条項は、未支給の報酬を減額または消滅させるものであり、クローバック条項は、既に支給済みの報酬を返還させるだ。

マテリアリティ(重要課題)の特定:
 企業が持続可能な社会の実現に向けて、優先的に取り組むべき課題を明確にするプロセスである。具体的には、自社の事業活動が環境・社会・経済に与える影響や、ステークホルダーの期待・関心を踏まえ、課題の重要度を評価・分析し、優先順位をつけることで、マテリアリティを特定する。

インパクトの可視化:
 企業や団体の活動が社会や環境に与える影響を、定量的・定性的に測定・評価し、それを分かりやすく示すこと。これにより、企業の取り組みの成果を明確にし、ステークホルダーとのコミュニケーションを円滑にすることが期待できる。

CSRD:
 EU(欧州連合)が導入した「企業サステナビリティ報告指令(Corporate Sustainability Reporting Directive)」の略称だ。これは、EU域内の大企業や上場企業に対し、環境、社会、ガバナンス(ESG)に関する情報を開示することを義務付ける指令であり、2023年1月に発効され、2024年1月1日以降の会計年度から適用が開始されている。日本企業で欧州で活動する企業は対象になる。

 さて、本論に戻りたい。
 HRGL社は『「稼ぐ力」強化の要諦となる5ガバナンス領域をカバーしたサーベイへと進化を遂げたことにより、日本企業のプラクティスについて最新かつ網羅的な情報提供が可能となります。』と謳っているが、どうだろうか。

 「稼ぐ力」の源泉は、いかに起業家精神を発揮し貪欲に儲ける施策を繰り出すかにあると思うのだが、ガバナンス領域を押さえることでそれが達成されるかは疑問だ。

 創業者や経営者=大株主が、世間の常識を逸脱した独裁的な権勢をふるうのにブレーキを掛けるためには、三様監査の有効性を高めることが最も効果が高い。取締役会が代表取締役あるいは創業者及びその一族にブレーキが掛けられない際には、監査役、内部監査人、会計監査人がタッグを組んで活動すべきだ。

 人的資本、指名、報酬、サステナビリティはいずれも、業界のベストプラティスを提示し、取締役会に最善の選択を促すことが重要だ。ただ、それで「稼ぐ力」が高まるとは、筆者は必ずしも考えない。

 「稼ぐ力を削がないように、こうした項目をどうマネージするか」という観点が重要ではないかと思う。

 「この度、神田 秀樹 東京大学名誉教授、久保 克行 早稲田大学商学学術院教授、水口 剛 高崎経済大学学長 監修のもと」サーベイを行うと謳っているが、企業経営の経験のない著名な3名のアドバイスをいただくのも、ピントがずれているように思える。

 サーベイの結果に注目したい。

2025年6月15日 日曜日