角野隼斗コンサート

昨夜、横浜のKアリーナにピアニスト角野隼斗氏のコンサートを聴きに行った。大変多くの聴衆が集まった。以下中日スポーツの記事から引用する。
・・・・・・・・・・
30歳のピアニスト、角野隼斗(すみの・はやと)が29日にKアリーナ横浜で開催したリサイタル「“Klassik Arena” supported byロート製薬」の公演チケットが1万8546枚を売り上げ、「屋内のソロピアノリサイタルで販売されたチケットの最多枚数」としてギネス世界記録に認定された。
幼少期からピアノを学んだ角野は開成高等学校、東京大学工学部を経て、東京大学大学院情報理工学系研究科修士課程を修了した知性派ピアニストとして知られる。音楽と情報工学の両面での研究成果が評価され、東京大学総長賞(学長賞)を受賞。2021年には第18回ショパン国際ピアノコンクールでセミファイナリストとして世界的に注目を集めた。
ベルリンを本拠地とするレーベル、ソニークラシカルインターナショナルと専属ワールドワイド契約を締結してリリースした世界デビューアルバム「Human Universe」は、日本ゴールドディスク大賞「クラシック・アルバム・オブ・ザ・イヤー」を受賞。ニューヨークのカーネギーホールやベルリン・フィルハーモニー大ホールでの協奏曲デビューを果たし、ドイツの権威あるクラシック音楽賞「オーパス・クラシック賞2025」では、優秀若手アーティスト賞と優秀ライブ・パフォーマンス賞(ソリスト部門)の2部門を同時受賞。単独アーティストによる複数部門受賞は史上初の快挙となった。
甘いマスクでも人気を集め、近年はAERAの表紙を飾るほか、フィギュアスケート鍵山優真選手への楽曲提供などで音楽活動の幅を広げている。来年1月21日には、新作アルバム「CHOPIN ORBIT(ショパン・オービット)」をリリースする。
・・・・・・・・・・
当方が、彼に注目したのは2021年のショパンコンクールで優勝者が決まっていく過程のTV番組だった。スタインウェイ、ヤマハ、カワイといったメーカーが演奏者を全力を挙げてサポートしてゆく姿を追った番組だった。東大の工学部でピアノの達人である角野は番組の中でも目立った存在だった。2位に日本人最高位で入賞した反田恭平さんよりも注目されたと言ってよいかもしれない。
先日、彼のポーランドをめぐるNHK特集を見たが、ワルシャワのショパンコンクールの会場や、ジャズのライブクラブ、第二次大戦のユダヤ人収容所をめぐる旅だった。ちょうど夫婦でポーランド旅行を終えたばかりだったので、とても懐かしく拝見した。
彼の演奏の特徴は、代表作のピアノ版のボレロのように全力で鍵盤をたたく奏法にあるとおもう。昨夜は2台のピアノ(1台は細工がしてあり変な音が出る)を使うピアノソナタで全力の演奏を見ることができた。腱鞘炎が心配だ。

引用した中日新聞の記事で、商業的に大成功していることがよくわかった。
まだ東大に在籍して情報工学を追及しているところは、見上げたものだと思う。

本人も意識しているのだろうが、ショパンに面持ちがそっくりなところも女性ファンを引き付けるところだろう。昨夜の18546人の聴衆の9割は女性客だった。

2025年11月30日 日曜日

2025年11月の株式市場動向 備忘録

【総論】
11月は、米国株は「やや軟調〜まちまち」、日本株は「中旬以降の調整で月間マイナス」という動きでした。 主要指数の月間騰落率は概略ベースで、米国は小幅なプラス・マイナスが入り混じり、日本は日経平均が▲4%前後、TOPIXがやや小さめのマイナスです。​

米国株式市場(11月全体)
S&P 500 は、月末にかけての反発で「ほぼ横ばい〜ごく小幅なプラス」で11月を終えた。​
ダウ平均(Dow Jones Industrial Average )は、月間を通じて相対的に底堅く推移し、11月トータルではプラス数%。​
ナスダック総合(Nasdaq Composite)は大型テックの調整の影響で他指数より弱く、11月は▲1〜2%程度の下落。7カ月続いた上昇トレンドに一服感が出た。​

日本株式市場(11月全体)
日経平均株価(Nikkei 225)は、11月5日前後にAI・半導体関連の急落を伴う大きな調整があり、月間では▲4%前後の下落で「2011年以降で最も厳しい11月」。​
TOPIX は構成銘柄の裾野が広いぶん日経平均より下落が緩やかで、月間では▲3%前後のマイナス。AI・高PER銘柄中心の調整という色彩が強かった。​

背景要因の概略
米国では、AI関連・大型テックのバリュエーション警戒や、Fedの追加利下げペースに対する思惑が交錯し、途中の急落と月末のリバウンドが混在する「ボラティリティの高い1カ月」となりました。​
日本では、年初からの大幅上昇で偏っていたAI・半導体・高額値がさ株への「ポジション調整」が11月に顕在化しつつ、米利下げ期待や国内景気指標の底堅さが中下旬の押し目買いを支えた形です。​

【金利と為替】
11月は、米金利は「やや低下」、日金利は「緩やかに上昇」、為替はドル高・円安基調(USD/JPY上昇)という組み合わせでした。 概略として、米10年金利は4%前後に低下、日10年金利は1.8%近辺に上昇し、ドル円は153円台前半から156円台方向へ円安が進行しました。​

米国金利(11月)
米10年国債利回りは11月末時点で約4.0%(4.02%)で、月間ではおおよそ▲0.06%ポイント低下(4.08%→4.02%程度)と報じられ、FRB追加利下げ期待が長期金利を押し下げました。​
イールドカーブ全体では2年〜10年スプレッドのマイナス幅がやや縮小する動きが続き、景気減速懸念と利下げ観測を背景に中長期ゾーン中心に利回り低下圧力がかかりました。​

日本金利(11月)
日本の10年国債利回りは、11月末に約1.81%とされ、1カ月で約+0.15%ポイント上昇(おおよそ1.66%→1.81%)しており、YCC終了後の「長期金利の自律的な水準調整」が続いた形です。​
政府の大型経済対策や国債増発観測に加え、インフレ率の高止まりを背景に、日銀の長期的な正常化を意識した金利上昇圧力が意識されています。​

為替(ドル円)(11月)
USD/JPYは、11月1日時点で1ドル=約153.99円から月末には約156.1円へと上昇し、月間でおおよそ+1〜1.5%程度のドル高・円安となりました。​
米金利低下にもかかわらず、日米金利差が依然として大きいことや、日本の10年金利上昇が相対的に小幅にとどまっていることが、円売り・ドル買い基調の継続要因とみられます。​

【12月の見通し】
12月は、米国株・日本株ともに「年末ラリー期待はあるが、政策イベントとAI関連の調整リスクに要注意」という相場付きになりそうです。 米国はFRB、 日本は日銀会合と金利動向が最大のテーマで、指数全体よりもセクター・個別物色の色彩が強まりやすい局面とみられます。​

米国株式市場の見込み
例年12月は統計的にダウ平均(Dow Jones Industrial Average )やS&P 500 にとって上位の「強い月」であり、今年も年末ラリーへの期待が意識されています。​
一方で、AI関連・大型テックの高バリュエーション調整が尾を引いており、ナスダック総合(Nasdaq Composite )を中心に、FRBの12月FOMCのトーン次第では一時的な下振れリスクも指摘されています。​

米国株の注目イベント・ポイント
12月上旬〜中旬の雇用統計・CPIと、12月FOMC(利下げ有無とドットチャート)が最大イベントで、「利下げ+ハト派トーン」なら株高、「据え置き+タカ派寄り」ならAI・高PER株中心に再調整というシナリオが意識されています。​
税損売り・ドレッシング(アンダーパフォーマー売りと勝ち組銘柄の買い増し)など、フロー要因によるボラティリティ上昇もリスクとして挙げられています。​

日本株式市場の見込み
日本株は11月の調整でバリュエーションがやや落ち着いた一方、年初来では依然として高水準にあり、「長期の上昇トレンドの中で一服局面にある」という見方が多い状態です。​
12月18〜19日の日銀会合での追加利上げの可能性が市場で意識されており、金融株には追い風、輸出・グロース株には逆風となり得るため、指数全体よりスタイル間のパフォーマンス差に注目が集まっています。​

日本株の注目イベント・ポイント
日銀の政策金利・長期金利誘導のスタンス(12月利上げか、来年以降への先送りか)、および総裁会見での物価・賃金認識が、円相場と日本株の方向感を左右します。​
コーポレートガバナンス改革、自己株買い・株主還元強化といった構造要因は引き続き日本株の中長期の支えとされており、短期の政策イベントでの調整は「押し目待ちの海外投資家の買い場」になり得るとの見方もあります。​

共通のリスク・チャンス
共通リスクとして、AI・ハイテク関連のバリュエーション調整継続、流動性の薄くなる年末特有の急変動、地政学リスクや米大統領の政策不透明感などが挙げられています。​
一方で、金利ピークアウトとインフレ鈍化が確認されれば、「グロース+クオリティ」株中心のリスク資産全体にとっては、来年に向けた再評価の起点となる可能性も意識されています。​

【PE市場とプライベートクレジット】
PE(プライベートエクイティ)市場とプライベートクレジット市場はともに「成長は続くが、資金循環とリスク管理が主要テーマ」という局面にあります。 PEはディール・エグジットの停滞による流動性制約が続き、プライベートクレジットは銀行融資の空白を埋めつつ規模とリスクがともに拡大している、という構図です。​

PE市場の現状と特徴
グローバルPEのファンドレイズは2021年ピークから減速したものの、2025年上期だけで約4,250億ドルを調達しており、年ベースでは直近数年の水準を維持し得るペースです(件数は減少し1ファンド当たり規模は大型化)。​
ディール件数・エグジットは依然2019〜2021年水準を下回り、「NAVが古いビンテージに滞留し、DPI(キャッシュ回収)が伸びない」流動性クランチが続き、セカンダリー取引が過去最高ペースで拡大しています。​

PEの構造変化・リスク
LPは「高IRRより現金回収の早さ(DPI)」や専門性を重視し、メガ・バイアウト一辺倒から、成長株・セクター特化・共同投資などへ配分をシフトさせています。​
IPO出口の細りや高金利環境の長期化でレバレッジ負担が重くなり、バリュエーション調整・デフォルトリスク・エクイティリターン低下の可能性が指摘されています。​

プライベートクレジット市場の現状
プライベートクレジット(ダイレクトレンディング等)は、オルタナの中で最も高いパフォーマンスを示すアセットの一つとされ、オウム全体は2024年時点で約1.8兆ドルから2025年に2兆ドル規模へ拡大するとの推計もあります。​
高金利環境の下で、公募債より高いスプレッドとカスタマイズされた条件を武器に、LBOファイナンスやリファイナンス需要を取り込み、特にミドル・ローワーミドル市場向け直接融資の伸びが目立ちます。​

プライベートクレジットのリスク・論点
直近ではディールボリューム鈍化や返済増加により、案件獲得競争が激化し、SOFR+500bp未満の案件が増えるなどスプレッド圧縮が進行しており、リスクに見合うリターン確保が課題になっています。​
欧州を中心に、機関投資家のオルタナ配分拡大が「流動性の低いローン・複雑なストラクチャー・グループ内のインセンティブ不整合」を通じて金融システムへの波及リスクを高めているとの規制当局の警戒も強まっています。​

投資家視点での位置付け
マクロ減速と金利ピークアウト局面では、PEよりも金利連動の収入が得られるプライベートクレジットや短期クレジットを好む機関投資家が増えており、「PE<プライベートデット」という相対評価が多くのハウスの見立てです。​
一方で、バリュエーション調整後のPEビンテージ(2024〜2026年頃)を「長期的な妙味が大きい投資タイミング」とみる見方も根強く、セカンダリーや共同投資を通じてコストを抑えつつエクスポージャーを取る戦略が提案されています。

2025年11月29日 土曜日

世界の動き 2025年11月28日 金曜日

今日の一言
「ウィトコフ特使」
 元不動産開発業者で現在「和平交渉役」とされるスティーブ・ウィトコフが面白い動きをしている。
●彼の動き(時系列でまとめる)
– 10月14日
 ウィトコフが、ロシア高官ユーリ・ウシャコフと会談。
→ ウィトコフは「プーチンがトランプに電話すべき」と助言し、会話内容まで提案(トランプをガザ和平で果たした役割を称賛し、ロシアが和平を望んでいると伝えるよう指示)。
– 10月16日
 プーチンが実際にトランプへ電話。通話は2時間以上続き、トランプは「生産的だった」と発言。ブダペストでの会談が検討されたが実現せず。
– 10月17日
 トランプがワシントンでゼレンスキー大統領と会談。
→ トランプは事前にはウクライナ軍へのトマホーク巡航ミサイル売却を示唆していたが、電話後は提供せず。代わりに感情的になり、ウクライナにドネツク州の領土放棄を迫る。これはロシアの長年の要求に沿うもの。
●ウィトコフの動きがもたらしたもの
– ウィトコフの助言によりプーチンがトランプの姿勢を変え、ウクライナへの武器供与が阻止された可能性がある。
– その後、ウィトコフはクレムリン関係者と共に「28項目の和平案」を提示。しかしこれは一時停戦を装い、将来のロシア再侵攻を容易にする内容だった。
– ウィトコフは外交経験がなく、プーチンへの敬意の念やロシアとのビジネス利害が背景にある可能性がある。実際にエネルギーや資源、AI、北極のレアメタル採掘など米国による投資の話もロシア側と進めていた。
●要するに
 ウィトコフの行動は和平促進ではなく、ロシアの立場を強め、戦争を長引かせている。彼の介入はウクライナ人の犠牲と欧州の安全保障危機を拡大させるものであり、通常の米国政権であれば即座に解任されるはずだが、現政権ではそうはなっていない。
●不動産屋の習性
 忘れてはいけないのが、彼は(トランプも)不動産屋だということだ。売り手と買い手から手数料をもらえる日本とは異なり、米国の不動産屋は買い手からしか手数料をもらえない。だからディールを成立させるためには買い手の歓心を買うために何でもするのだ。
 売り手(ウクライナ)には「こんなに良い条件はありませんから早く決めてください」と言って、売り手が条件を呑めば儲けものという感覚だ。彼を、自分たちの代弁者として見るべきではない。ロシアに利益のあるディールをまとめようとするロシアの代弁者とみるべきなのだ。

ニューヨークタイムズ電子版より
1.AIに関する1兆ドルの疑問
 2014年に広まった『The Second Machine Age』という本は、AIが超生産性と豊かさをもたらすユートピア的未来像が描かれていた。 しかし現実には、AIが経済に過度に支配的になる不安と、人間の仕事を本当に置き換えてしまう可能性への懸念が共存している。
– 技術革命に伴う不安
過去の技術革新同様、移行期には雇用喪失や企業倒産が起こり、不安が広がる。問題はその後に何が残るかである。
– AIバブルの可能性
現在のAIブームは「1兆ドル規模の疑問」と言え経済を支えているが、方向性は不透明。利益を出せていない企業も多く、評価額の正当性が問われている。
– 大手企業の優位性
Google、Amazon、Microsoft、MetaはAI関連以外の事業で巨額の利益を上げつつ、AI開発に必要な膨大な計算資源を提供し、他社からの需要で収益を拡大している。
– バブル崩壊の影響
崩壊すれば、ドットコムバブルのように多くの企業が消滅する可能性がある。ただし、2008年の金融危機のような全体経済への深刻な打撃になるかは不明だ。投資家の過剰な借入による「システミックリスク」も懸念されている。
– 成功と失敗の分岐
OpenAIのように数年以内に数百億ドル規模の収益を見込む企業もあるが、開発コストが非常に高く、競争は激しい。勝者と敗者が分かれる構図になる。
– 鉄道ブームとの類似
19世紀の鉄道建設ラッシュのように、現在は各社が巨大データセンターを競って建設している。供給過剰が生じれば、長期的には多くの敗者を生む可能性がある。
【コメント】
 この記事は、AIブームが「ユートピアへの道」か「バブル崩壊」かという両極の可能性を抱えつつ、歴史的な技術革命やバブルとの比較を通じて、その不確実性とリスクを描いている。
 ボストンコンサルティンググループの「成長市場シェアマトリクス」で考えるとわかりやすい。今「問題児」にある分野は、成長力が大きいが絶え間ない追加資金の投入が必要だ。競争で勝てばシェアが高まり「スター」の地位を占めることができる。成長が一段落してキャッシュフローが生まれれば「キャッシュカウ」になり安定する。「問題児」から「スター」、そして「キャッシュカウ」への過程で息切れした多くの企業は淘汰される。
 AI問題の本質はこうしたミクロの企業レベルの話ではなく、人類の生活と存続へのマクロの影響だと思うが、その点は今回は触れられていない。

2.香港大火災の生存者捜索
【記事要旨】
 香港の高層マンションが、約70年ぶりの最悪の火災に見舞われた翌日、消防隊員らが住民と遺体を収容した。死者数は少なくとも83人に上った。数十人が依然として行方不明となっており、死者数はさらに増える可能性がある。
 被災者の一人は、妻と二人でかろうじて炎から逃れたと語った。「誰も警告してくれなかった。警報も鳴らなかった。自力で逃げ出したんだ」
 当局は、可燃性の網と発泡スチロール板が火災の燃料になった可能性があると述べている。警察は、これらの資材を設置した建設会社と関係のある3人を逮捕した。うち2人は過失致死の疑いがある。【コメント】
 以前英国の高層アパートで火災があった。やはり可燃性の素材が延焼の原因になった。タワーマンションは怖い。戸建てに住んでいてよかったと思いたいが、佐賀関のようなこともある。火事は本当に怖い。

其の他の記事
・レオ14世はトルコで、教皇就任後初の外遊を開始した。日曜日には、アラブ世界最大のカトリック教徒コミュニティの本拠地であるレバノンへ向かう。
・フランスは、ロシアのウクライナ侵攻以降、軍を強化してきた他の欧州諸国に倣い、新たな兵役制度を発表した。
・米国は、ホワイトハウス近くで州兵2人が銃撃された事件に関与したとしてアフガニスタン人男性が拘束されたことを受け、アフガニスタンからの移民受け入れを一時停止した。男性はアフガニスタン戦争中、CIAの支援を受けた軍部隊に所属していた。
・ギニアビサウ軍は、大統領の側近であるホルタ・インタ将軍を新指導者に任命した。野党は、クーデターは大統領が敗北したと広く信じられている選挙後に行われたものだと主張している。
【ギニアビサウは、アフリカ大陸西部に位置する国で、北をセネガル、南東をギニアに囲まれ、西は大西洋に面しています。旧ポルトガル領ギニアであり、首都はビサウです 】
・ダニエル・ドリスコル米陸軍長官は、ウクライナ和平交渉において異例の積極的な役割を果たしている。ドリスコル長官は、ロシアが長距離ミサイルを備蓄していると欧州諸国に警告し、迅速な合意を促した。
【2024年12月の任命時の記事より:トランプ次期米大統領は4日、陸軍長官に投資家のダニエル・ドリスコル氏を指名すると発表した。ドリスコル氏は元陸軍兵で、イラクで従軍歴がある。退役後はエール大法科大学院を卒業し、投資会社で勤務したほか、バンス次期副大統領の上級顧問も務めてきた】

2025年11月28日 金曜日

世界の動き 2025年11月27日 木曜日

今日の一言
「まだ、ほんの始まり」
 今のAI主導の強気相場が懸念される中、超強気で知られるKeith  Fitz-Geraldの相場見通しを紹介したい。
 短期的には、サンタクロース・ラリーは神話ではない。S&P 500は、12月の最後の5営業日と1月の最初の2営業日において、約80%の確率で上昇して取引を終えている。市場心理が改善している状態でこの時期を迎えると、上昇の可能性は通常さらに高まる。
 2026年については、利下げがシステム全体に浸透し、次のイノベーションが本格化すれば、2026年は力強い年になる可能性がある。
 長期的には、イノベーションがもたらす急成長のまだ入り口にいるに過ぎない。AIは、新たな「豊かさの時代」と呼ぶ時代へと私たちを導こうとしている。最初は、それをどう定義すればいいのかまだわからないため、混乱し、不安を感じるかもしれないが、AIは医療から仕事、お金、生産性、アイデンティティに至るまで、あらゆるものを変革する。
 変化の例を挙げる。モルガン・スタンレーは、AIを全面的に導入することで、企業は年間1兆ドル近くのコスト削減が可能になると推定している。スタンフォード大学の最新データによると、世界の企業の78%が業務にAIを活用しており、わずか1年前の55%から増加している。生成型AIを活用する企業は、テクノロジー分野で最も高いリターンを得ている。マッキンゼーの調査によると、企業は1ドルの投資に対して約4ドルの価値を得ているという。彼の結語は以下だ。
 Don’t chase yesterday’s trends. Instead, position for tomorrow’s inevitabilities. 過去のトレンドを追うな。明日の必然に備えよう。

ニューヨークタイムズ電子版より
1.アジア太平洋の外交対立
【記事要旨】
– 背景
米国トランプ大統領は中国の習近平国家主席、日本の高市早苗首相と相次いで電話会談。台湾をめぐる安全保障問題で米国の立場が注目されている。
– 日本の強硬姿勢
– 高市首相は「台湾封鎖や侵攻は日本の生存問題」と国会で発言。これは自衛隊の動員を可能にする法的意味を持つ。
– 中国は日本に対し経済制裁(海産物輸入停止、観光・留学制限)、軍事的示威(艦船・ドローン接近)、外交的圧力(国連での批判要求)を展開。
– 日本は反論を提出し、与那国島に対空ミサイル配備を決定。中国ドローンに対し戦闘機を緊急発進させるなど防衛を強化。
– 中国の戦略的言説
– 習近平は「中国と米国は第二次世界大戦で共に戦った」と強調し、台湾防衛を戦後秩序への挑戦と位置づけ。
– 中国は戦後秩序の「保証者」として自らを描き直し、軍事パレードではロシア・北朝鮮と連携を誇示。
– 対立軸は核保有国(中・露・北) vs 非核保有国(日・韓・台)という構図も浮かび上がる。
– 米国の立場
– 歴史的に米国は台湾支持と日米同盟を維持してきたが、トランプは従来の方針を覆す可能性があり、台湾への姿勢を曖昧にしている。
– 現時点では中国の圧力に応じるか否か明言せず、4月に北京訪問予定。
【コメント】
 日本の強硬姿勢(tough stand)についての部分は以下だ。
 So few observers expected Takaichi to immediately take a tough stance. But this month, she told Parliament that an effort by China to blockade or invade Taiwan would be a “survival” issue for Japan. That term has legal implications, because it permits the mobilization of Japan’s military. Takaichi’s comments were among the strongest ever by a Japanese leader about helping to defend Taiwan.
 存立危機事態の前提が、米軍が台湾防衛のために出動し、日本の自衛隊は米軍を支援するために出動するという視点は欠落している。そのため、台湾をめぐり日本が戦後最も強硬な姿勢を示していると見られている。ややこしい国内法が対外説明を困難にしている。

2.香港の高層マンション火災
【記事要旨】
 昨日、香港の複数の高層マンションで火災が発生し、数百人の消防士が消火に奔走した。少なくとも36人が死亡、279人が行方不明となっている。警察と消防は、建物内に閉じ込められた住民から多数の救助要請があったと発表した。
 火災の原因は判明していない。大埔地区の1棟の建物で発生したとみられるが、火災発生から6時間以上が経過した夜遅くまで、建物は炎に包まれていた。
【コメント】
 まさにTowering Infernoだ。竹の足場が延焼をもたらしたのだろうか。

其の他の記事
・ギニアビサウの軍報道官は、大統領選挙の結果発表前日に、軍が国を掌握したと発表した。【どこにあるかわかりますか】
・ワシントンD.C.のホワイトハウス付近で、州兵2人が銃撃された。【一人は重体。犯人は逮捕された】
・英国政府は、主に個人所得税関連の政策を通じて、2030年までに約260億ポンドの増税を計画している。
・判事は、2020年の大統領選挙に関連するトランプ大統領に対する最後の刑事訴訟を棄却した。
・ウクライナ当局は、米国が支援するロシアに有利な和平提案を緩和しようと躍起になっている。今、問題は、ウラジーミル・プーチン大統領がこれを受け入れるかどうかだ。
・米国大統領選に選出された最高齢の人物であるトランプ氏には老化の兆候が表れている。
【コメント:具体的な「老いの兆候」としては、公務スケジュールの短縮、居眠りのような場面、国内活動の減少、健康情報の不透明さが挙げられている。ただし、本人はこれを全面的に否定し、むしろ精力的に活動していると強調している。】

2025年11月27日 木曜日

世界の動き 2025年11月26日 水曜日

今日の一言

ニューヨークタイムズ電子版より
「紅葉」
 昨日は自宅近くの九品仏へ紅葉を見に行った。京都の名刹に匹敵する紅葉のグラデーションに、銀杏の巨木の黄葉とその下に黄色の絨毯が広がっている。
 あまり知られていないのか訪問する人が少ないのが嬉しい。巨大な阿弥陀様がまつられる本堂では七五三を祝う読経が響いていた。
 10月に東京で再開した米国の友人からメールと写真が届いた。I made it home just in time to marvel at the beauty of the fall season. The red, brown, and yellow leaves of New England are nearly gone now, but I have included a couple of photos taken near our home.
 落葉の美しさを愛でる感情は洋の東西を問わないようだ。竹内まりやの歌ではないが、あと何回楽しめるのだろうか。

ニューヨークタイムズ電子版より
1.ウクライナ問題で揺れるヨーロッパ
【記事要旨】
– フランスの発言と反響
フランス陸軍司令官マンドン将軍が「ヨーロッパ防衛のために若者が命を落とす可能性を受け入れるべき」と訴えたが、国内では好戦的だと批判を浴びた。
– 欧州防衛の現状
– 冷戦後、欧州主要国は軍事費を削減し兵力も縮小。
– ロシアの侵攻後、防衛費増加や再軍備が進むが、経済低迷の中で国民の支持は限定的。
– 世論調査では「自国のために戦う」と答えたEU市民は3分の1未満。ドイツでは23%。
– 一方、ロシアに近い国々(ポーランド、フィンランド、バルト三国など)は徴兵制や軍事訓練を維持・拡大。
– 外交と軍事力の乖離
ドイツ・フランス・イギリスが外交交渉を主導し、トランプ大統領の親ロシア的和平案を修正する動きが見られる。しかし、欧州の外交努力は十分な軍事力に裏付けられていないため、持続的効果には疑問が残る。
– ウクライナの立場
ゼレンスキー大統領は欧州の外交的支援を頼りにしてきたが、軍事的裏付けの不足に不満を抱いている。欧州の高尚なレトリックが交渉の場でどのような意味を持つかは今後の展開次第。
– 最新の動き
ロシアはキエフにミサイル・ドローン攻撃を行い死者が発生。米国とロシアはアブダビで協議。トランプ大統領の和平案は「ロシア寄り」と批判され、修正案が模索されているが、米議会内でも意見が分裂している。
【コメント】
 ヨーロッパは外交的には積極的に動いているが、防衛力や市民の戦意の不足が大きな課題。ウクライナ支援の実効性は、欧州がどこまで軍事的裏付けを整えられるかにかかっている。防衛はアメリカの軍事力頼みなのがアキレス腱だ。

其の他の記事
・トランプ政権は、イスラエルが支配するガザ地区におけるパレスチナ人のための住宅団地の急速な建設を推進している。
・英国政府は本日、年次予算を発表する。これは労働党と、財務大臣として苦難の日々を送ってきたレイチェル・リーブス氏にとって大きな試練となる。
・エチオピアで噴火した火山は、アジア全域に噴出した灰雲を噴き出し、インドでは航空便に乱れを生じた。
・ブラジルの最高裁判所は、クーデター未遂事件を指揮したとして、ジャイル・ボルソナーロ前大統領に懲役27年の刑期開始を命じた。
・リッツ・カールトンはケニアに1泊3,500ドルのサファリキャンプを開設した。マサイ族の一部は、これが野生動物の回廊を塞いでいると批判している。

2025年11月26日 水曜日