投稿者: mizushima

中国のデベロッパーの過剰債務が清算せざるを得ない状況になっている。中国での不動産バブルの崩壊は世界経済への影響は殆ど無いという楽観論が主流だがそうだろうか。

金曜のNYTimesの記事を引用する。「商業用不動産の問題が世界中の銀行に重くのしかかっている。 金融機関であるニューヨーク・コミュニティ・バンコープ、日本のあおぞら銀行、スイスのジュリアス・ベアの株価は、それぞれが不動産会社への貸し倒れに関するエクスポージャーを詳細に説明したことを受けて昨日下落した。 オフィス空室率が依然としてパンデミック前の水準を大幅に下回っているため、これは商業用不動産市場の衰退を金融業者が考慮していることを示す最新の兆候だ。」

金曜の日経新聞ではあおぞら銀行の問題だけが取り上げられていたが、不動産向け融資の問題は欧米の銀行へも広がっているようだ。

注意しないといけないのは、日本の経済システムは復元力がとても弱く、世界からの影響が大きく出る点だ。サブプライムローンの問題を思いだそう。邦銀はサブプライム融資の金額は欧米の銀行に比べて少なかったが、問題の影響は最も大きく受けることになった。

現状、日本もアメリカも株価の高騰で湧いており、実体経済を隠している。米国で言えば、Magnificent 7に支えられた株価高騰で、それ以外の株が高騰しているわけでは無い。米国での不動産ローン、自動車ローン、消費者ローンの延滞率の増加に気を付けたい。過去の経験則は、邦銀が米銀以上に打撃を受けるのだ。

2024年2月3日　土曜日

　寒い日にストーブの暖かさは格別だ。
　しばらく留守にして冷えきった家に入り、まず、薪ストーブの火を起こす。エアコンやファンヒータでは温かさが一気に家中に広がらない。

　新聞紙を切って火をつけやすくして、その上に小枝や割り箸を取っておいたものを乗せる。その上に小さい薪。さらにその上には大きな薪を置く。夕方から夜まで家を温めるためには大きな薪が４－５本必要だ。

　「ストーブの 火を見て少し 書き進む」
　いま、新刊本の原稿を書いているのだが、薪の暖かさと、時々木の弾ける音が、「頑張れ」と声援をくれているように思える。厳冬の少ない楽しみの一つだ。

2024年2月2日　土曜日

今日の言葉：
「利食い」
　３月のFOMCでの金利引き下げ見込みが薄らぎ、強気の投資かも利食いする時期だと言い始めている。
　私が愛読しているKeith Fitz-Gerald発行のFive with Fitsでは以下の記述をしている。
『（Putの買いに加え）私が推奨する特化型インバースファンドを活用したヘッジを検討するのに適切な時期であるとも述べました。 この3銘柄はいずれもバーゲン終了を維持しており、S&P500が下方に向かう中、順調に上昇している。
　さあ、テーブルからお金を取り出す（利食いする）時が来ました。』
　利食いで得たCashをどこに向ければよいだろうか。難しい投資時期だ。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
１．EU ウクライナ援助合意に達した
【記事要旨】
　EU 昨日、約540億ドル相当のウクライナ向け複数年資金調達協定に合意し、同国にとって重要なライフラインを提供した。 ゼレンスキー大統領は近隣諸国に感謝の意を表し、米国議会で審議が滞っている600億ドルの支援策の速やかな承認を求めた。ゼレンスキー氏は、欧州の関与は「大西洋を越えて信号を送ることになる」と述べた。
　米国のウクライナへの資金提供が議会で保留されている中、この画期的な合意は特に重要だ。 ウクライナにとって、それは激しい戦争を戦い続ける中での安定と保証を意味する。 そしてEUにとっては、ロシアに対して団結して立ち向かうという指導者の決意を示した。
　ハンガリー首相でロシアのウラジーミル・プーチン大統領の緊密な同盟者であるヴィクトル・オルバン氏が反対を撤回した後、合意が成立した。 オルバン首相は長年、自らをEUの敵対者としてきた。
　 欧州議会はおそらく今月中にこの基金について投票する予定だ。 ウクライナは基本的なサービスを維持するために2027年まで続く予定の資金を緊急に必要としている。
　ロシアは海外に住む反戦国民の財産を没収する計画だ。 他の国々にも同様に取り締まるよう呼び掛けている。
【コメント】
　EUが意思統一できたのは良かった。米国議会での支援策承認が望まれる。

２．バイデン氏、イスラエル入植者に制裁を発動
【記事要旨】
　バイデン大統領は、ヨルダン川西岸のパレスチナ人を攻撃した疑いのあるイスラエル人入植者に対し、広範な渡航と金融制裁を命じた。 同氏の大統領令は、ガザ戦争でイスラエルを支援したことに激怒しているアラブ系アメリカ人の有権者をなだめることも一部の目的とみられる。
　この措置により、入植者は米国の金融システムや米国内に保有する資産から切り離され、米国への渡航もできなくなる。 これは、ヨルダン川西岸で暴力行為を行った数十人の入植者にビザ発禁を課した国務省が12月に出した指令よりもさらに踏み込んだものだ。
　背景: イスラエル入植者による暴力行為はパレスチナ人を家から追い出すことを目的としており、10月7日の攻撃前には記録的なレベルに達していた。 攻撃以来彼らは動きを加速してきた。
【コメント】
　これが有効な策になるのだろうか。疑いのある人だけでなく、やるなら入植者全体に網を変えるのであれば少しは効果があると思われるが。

３．TikTokはテイラー・スウィフトや他の音楽アーティストを失った
【記事要旨】
　テイラー・スウィフト、ラナ・デル・レイ、ドレイク・グランデなどのスターの曲を使用した多くのTikTokビデオが沈黙した。 それは、このプラットフォームと世界最大の音楽会社であるユニバーサル ミュージック グループの間で公の場で論争があったためだ。
　今週初めに、ユニバーサル ミュージックは TikTok に書簡を発行し、同社はプラットフォーム上で AI によって生成された音楽に対する懸念に適切に対処していないか、満足のいくロイヤルティ レートに同意していないと述べた。 TikTokとの契約が水曜日に期限切れとなったレコード会社は、合意に達しなければライセンスを取り消すと述べた。TikTokは昨日、曲の削除を開始したことを認めた。
　わずか数年で、TikTok の無限に見える魅力のスクロールは、ジャンクの引き出しの中を漁ることにさらに似てきた。
【コメント】
　TikTokは以下のように反論している。
「TikTokは『才能ある人を無料でプロモーションする／発見する手段として機能』する10億人を優に超えるユーザーを持つプラットフォームであるとし、その『強力なサポートから離れることをUniversal Music Groupが選択した』のだ。」

その他の記事より
・英裁判所の判断
　A British court threw out Trump’s lawsuit against Christopher Steele, who compiled a dossier detailing unproven claims of links between Trump and Russia.
・尹大統領苦境に
　South Korea’s president is facing a major political crisis ahead of parliamentary elections: His wife was caught on film accepting a $2,200 Dior purse as a gift last year.
・フランスの農民スト中止へ
　France’s main farmer’s unions called for an end to countrywide roadblocks after the government announced proposals intended to appease protesters.

2024年2月2日　金曜日

今日の言葉：
「如月」
　もう２月になった。如月はきさらぎと読む。
　如月(きさらぎ)の由来は、まだまだ寒さが厳しい時期ために、更に衣を重ね着するという意味から「衣更着（きさらぎ）」になったという説が最も有力とされている。
　では、なぜ「如月」の漢字が使われているかというと、中国の2月の異名「如月（にょげつ）」が由来になっているようだ。
　如月（にょげつ）には、寒い冬が終わり、春に向かって万物が動き始める時期という意味がある。
　同じ漢字を使っているものの、「きさらぎ」と「にょげつ」で表している意味は違っているようだ。
　家の近くの桜坂の桜並木を遠くから見るとうっすらと桃色に色付いているように見える。春遠からじだ。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop３記事
１．イランは「戦争は望んでいない」と表明
【記事要旨】
　イラン革命防衛隊のトップは昨日、イランは「戦争を望んでいない」と述べ、米国との緊張を高めるつもりはないことを示唆しているようだが、イランが攻撃された場合には反撃する用意があるとも述べた。
　イラン国営報道機関は、軍事組織の最高司令官ホセイン・サラミ大将が「アメリカ当局者から脅迫的な言葉を聞いている」と述べたと伝えた。 「あなたたちは私たちを試しました、そして私たちはお互いを知っています。私たちはどんな脅威も未解決のままにしません。」
　サラミ氏のコメントは、バイデン大統領がヨルダンで米兵３人が死亡、４０人以上が負傷した週末の無人機攻撃への対応を決定したと述べた後に出た。 米国は、この攻撃はこの地域のイランの支援を受けた民兵組織によるものだった、と述べた。 バイデン氏は米国がどのような対応をするかについては言及していない。
　イランはヨルダンでの無人機攻撃を含む米軍への攻撃命令を否定している。 そして、イランが緊張を緩和しようとしている明らかな兆候として、ヨルダン攻撃の背後にいる可能性が最も高いと米国が主張する民兵組織カタイブ・ヒズボラは、火曜日、イラクでの軍事作戦を停止すると発表した。 この驚きの声明は、民兵組織がイランとイラク双方から圧力を受けていることを示した。
　ヨルダン川西岸: イスラエル人とパレスチナ人は離れて暮らしているが、多くの場合、たった一本の道路、つまり障害物によって隔てられているだけの地域で、怒りと憤りが高まっている。
【コメント】
　米国が拳を振り上げたので紛争を望まないポーズを取っていると見る。分断化しているヒズボラの制御が出来るのだろうか。行方に注目したい。

２．EUはウクライナ支援に関するサミット
【記事要旨】
　欧州連合の首脳らは本日ブリュッセルで会合し、ウクライナへの540億ドルの複数年にわたる支援策で合意に達することを目指す。 ウクライナは、さらなる援助がなければ経済危機に直面すると述べており、アナリストらは、ロシアとの戦いを成功させる能力を著しく損なう可能性があると指摘している。
　「戦争に勝つのは経済だ」とロンドンに本拠を置く研究グループ、チャタム・ハウスのウクライナプログラム責任者は語った。
　この援助は今年のウクライナ国家予算の約4分の1をカバーし、教師の給与、年金、国民の医療費などを賄うことになる。
　しかし、ロシアのプーチン大統領の緊密な同盟者であるハンガリーのオルバン首相は、 12月には援助パッケージを阻止した。 今度は、彼が援助の邪魔をし続ければ、EUの指導者らは、ウクライナを支援するために必要なことは何でもする用意があり、同氏を回避する、あるいは同氏を罰する用意さえあることを明らかにしている。
　米国では：バイデン政権も今年、600億ドル相当の軍事、人道、金融援助の可決を目指している。
　ウクライナではゼレンスキー大統領とその最高司令官との間の緊張は頂点に達しつつあるが、ザルジニー将軍の解任は戦争と国内の両方で多くの問題を引き起こす可能性がある。
【コメント】
　ウクライナの経済は深刻な状況だが、経済制裁を受けているロシアの経済には大した影響が無いようだ。一致団結した制裁でない限り経済での締め付けには限度があると知れる。

３．タイの裁判所がMove Forward（前進党）に反対する判決を下した
【記事要旨】
　タイの裁判所は前進党に打撃を与え、王政批判を禁じる法律改正の推進は憲法に違反するとの判決を下した。 この決定により、進歩党はさらなる法的異議申し立てを受けやすくなり、最終的には解散への道が開かれる可能性がある。
　裁判所は前進党に対し、タイの保守勢力にとって神聖な国王名誉毀損法の改正に関連するすべての活動を停止するよう命じ、この提案は王政打倒の試みであると批判した。
　前進党は昨年の総選挙でピタ・リムジャロエンラット氏を党首として勝利した。 その後、彼は首相になることを阻止され、党は野党に追い込まれた。
【コメント】
　ピタ氏は無罪となり政界復帰が可能となる判決が先日出たが、今回の判決はそれとは反する動きだ。タイ王室を神聖視することは国民の尊敬を集めた全国王が亡くなり、現在のワチラーロンコーン国王が即位してから大きく変わっている。バンコクでは国王の写真がめっきり少なくなった。

その他の記事より
・パキスタン野党指導者に更に14年
　Imran Khan, Pakistan’s former prime minister, was sentenced to 14 more years in prison yesterday, a day after he got 10 years in a separate case.
・ニューヨークフィルの音楽監督が韓国へ
　The conductor Jaap van Zweden took over as music director of the Seoul Philharmonic Orchestra, months before he was set to leave the New York Philharmonic.
・東京子がくつろぐ場所
　（長いので日本語訳を記します）
　九州の南端を囲む鹿児島県は、龍の頭に似ていると言われています。 東京や京都には欧米人観光客が押し寄せる一方、鹿児島には日本やアジア周辺からの観光客が多い。
　私たちは地元の人たちに、宮崎駿監督の 1997 年のアニメ映画「もののけ姫」の風景のインスピレーションとなったこの地域のガイドを作成してもらいました。 森林は息を呑むような美しさで、日中気温が氷点下になることはほとんどありません。 買い物客は陶器の村に行くことができ、歴史愛好家は封建時代の富を見つけることができます。

2024年2月1日　木曜日

今日の言葉：
「Tone at the Top」
　アメリカで良く使われる言葉だ。トップの姿勢と訳せばよいのだろうか。
　昨日、岸田首相と豊田会長が謝罪あした。日本の政治と経済のトップだ。政治の裏金問題、トヨタグループ企業の品質不正問題、共に大きな課題だが、問題に根は、組織の体質を作り育ててきたトップの責任だ。
　Tone at the Top. 重い言葉である、トップへの戒めだ。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
１．パキスタン元指導者に有罪判決
【記事要旨】
　昨日、パキスタン元首相イムラン・カーンに懲役10年の判決が言い渡された。 この判決は同氏と同党を排除するための軍部の動きと見られており、2022年4月にカーン氏が追放されて以来初となる国政選挙の約1週間前に下された。
　アナリストらは、今回の選挙はパキスタンの76年の歴史の中で最も信頼性の低い選挙になるだろうと述べている。 長年パキスタンの政治を指導してきた見えざる手である軍は、これまでにも選挙に介入したことがあるが、今回はその干渉がより顕著に現れる。
　カーン氏の人気は、いくつかの訴訟で投獄され、国政選挙への立候補を禁止されているにもかかわらず、権力の座から追放されてからも高いままだ。 軍はカーンの「追放は軍のせいだ」という告発を否定している。 カーン氏を支持するエリート層にも逮捕が広がっているが、軍に対する国民の怒りは高まっている。
　カーンは国家機密を漏洩した疑いで告発された。 この判決は、昨年設立された特別裁判所によって下されたが、アナリストらは、この裁判所は軍の意向を尊重したものであると主張している。 カーン氏はこの裁判を「八百長試合」と呼び、同氏の党は判決に対して控訴すると述べた。
【コメント】
　パキスタンは南アジアの大国だ。まがりなりにも民主主義が維持されてきたが軍部の介入が露骨になっているようだ。経済的な安定をもたらせないと軍への批判は更に高まり国内で動乱が起こって行くだろう。

２．ハマス、戦闘停止計画を検討
【記事要旨】
　ハマスはガザでの戦闘を一時停止する提案を検討しており、それはより多くの人質の解放を可能にする６週間の停戦から始まる。 合意の枠組みはカタール、エジプト、イスラエル、米国の協議から浮上した。
　ハマス指導者が提案を検討することに合意したことで、依然として大きな意見の相違があるとしても、合意の可能性があるとの期待が高まった。
　ハマスの政治責任者、イスマイル・ハニヤ氏は声明で合意に前向きであることを示唆した。 しかし、彼はガザからのイスラエル軍の全面撤退という長年の要求を堅持したが、イスラエルの指導者ベンヤミン・ネタニヤフは即座に拒否した。
　イスラエル軍は昨日、ヨルダン川西岸の病院内でハマスの司令官と他の2人の過激派を殺害した。
【コメント】
　ガザ住民の苦悩を救うためには一刻も早く停戦に合意して欲しいものだ。

３．香港、新たな安全維持法を強行
【記事要旨】
　香港政府は長年棚上げされていた治安維持法の制定を計画していると当局者が昨日明らかにした。 外国の影響力を抑制し、国家機密の窃盗や反逆罪などの犯罪の定義を拡大することになる。 この措置は、2020年に中国政府が可決した包括的な法案と並行して存在することになる。
　この法律は反対意見をさらに沈黙させることが期待されており、当局者は、この法律によって市の行政長官ジョン・リー（李家超）が「私たちの社会にまだ潜んでいる」敵対勢力を排除するだろうと述べている。 批評家らは、これにより人権がさらに削減されることになると主張している。
　背景: 政府は 2003 年に初めてこの法律を制定しようとしたが、この法律が市民の自由を制限することを懸念した住民による大規模な抗議を受けて撤回した。
【コメント】
　香港での新たな締め付けの展開だ。そういえば、香港には戻らないと声明を発表した民主活動家の周庭（アグネス・チョウ）さんは無事でいるのだろうか。最近報道が無く、心配だ。

その他の記事
・長期化する中国の不動産不況
　China’s real estate market downturn, the longest on record, is accelerating.
・ミャンマーの権力構造
　An arms dealer with close ties to Myanmar’s military junta was acquitted of drug trafficking and money laundering by a Thai court. Some fear he will return to aiding the regime.
・ウクライナで大統領と軍部に溝か
　Ukraine’s government is in tumult as rumors swirl that President Volodymyr Zelensky may fire his top commander.

2024年1月31日　水曜日