世界の動き 2024年5月13日 月曜日

今日の言葉:
「横綱大関が全滅」
 大相撲5月場所が始まった。2週間の楽しみだ。
 初日は、横綱大関が全滅する波乱があった。大関に昇進後、大いに期待していた霧島はカド番の初日黒星スタートで前途多難だ。琴の若あらため琴桜も体格ほどの圧倒的な力は無さそうだ。横綱は身体がボロボロでいつ引退してもおかしくない。
 幕内の上位まで含めて実力差が極めて少ない状況になっているということだろう。
 前頭西二枚目の豪の山は地元の力士で応援している。先場所は千秋楽で尊富士に優勝を献上する負けを喫したが、今場所の初日は霧島に快勝した。期待している。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.ロシアがウクライナ北部に侵攻
【記事要旨】
 過去3日間、ロシア軍がウクライナ北東部の国境を越えてなだれ込んでいる。 彼らは、戦争の初期を除いて、戦争の他のほぼどの時点よりも1日当たり多くの土地を獲得し、ハリコフ近郊に近付いている。
 ロシア軍は金曜日、複雑な攻撃を開始した。 少なくとも9つの村が占領された。 現在、ウクライナ軍の一部は撤退しており、一部の指揮官は互いを非難するという事態になっている。
 ウクライナ軍最高司令官オレクサンドル・シルスキー大将は、状況が「著しく悪化した」ことを認めた。 しかし同氏は、ロシアのウクライナ防衛線突破の試みはこれまでのところ失敗していると述べた。
 数千人が村に最も近い大都市ハリコフに避難した。 国境から約32キロのところにあるが、今のところは安全だ。 「機関銃の発砲音がどんどん近づいてくるのが聞こえました」と、最近到着した女性の一人は語った。
 ウクライナがロシアを押し返した後、ヘルソン地方の村人たちは生活を立て直してきた。 彼らは今、新たな攻撃に備えている。
 ロシアのプーチン大統領は、ショイグ国防大臣を国家安全保障会議を運営するポストに異動させた。 これは侵略が始まって以来、彼の国家安全保障チームにとって初めての再編となった。
 タイムズの衛星画像の分析で、ロシアがおそらく核兵器を保管するための弾薬庫をベラルーシで改修していることが判明した。
【コメント】
 ウクライナは本当に正念場だ。徴兵を免れようと国境を越えハンガリーに脱出しようとする若者の映像が多くのTVニュースで流れていた。厭戦気分が広まっているとしたら本当に心配だ。

2.ガザ北部で戦闘勃発
【記事要旨】
 ガザ市と近隣のジャバリヤでは先週末、ハマスの戦闘員とイスラエル軍との間の接近戦が激化した。
 それは今ではよく知られたシナリオと一致する。戦争初期にハマスを打ち破った地域、特に北部に戻ってきたイスラエル軍は、後に残された無法な権力の空白をハマスが埋めるだけだった。
 軍事アナリストらは、イスラエルがこれらの地域を自ら管理したり、ハマス以外のパレスチナ人の支配下に移管したりすることを拒否しているため、ハマスがこれらの地域で再構築する可能性があると述べていた。 パレスチナ自治政府の国営通信社ワファによると、北部の別の町ベイトラヒアでは先週末の戦闘で少なくとも12人が死亡した。
 ラファ:米国諜報機関は、ガザ地区ハマスの最高指導者ヤヒヤ・シンワルがラファに隠れていないと述べた。 このような評価は、約30万人が避難したと国連機関が発表している同市での大規模な軍事作戦に対するイスラエルの根拠を損なう可能性がある。
 援助:国連によると、ガザへの食料と物資の流れは過去1週間でほぼ完全に枯渇した。
【コメント】
 ガザの住民は、あちこちと避難を強いられ、行った先々が戦場になる。物資は枯渇している。まさしく地獄のような状態だ。

3.アフガニスタンで致命的な洪水が発生
【記事要旨】
 アフガニスタンと国連の当局者らによると、鉄砲水により300人以上が死亡、数千戸の家屋が破壊され、村全体が飲み込まれた。 洪水は、最悪の被害を受けたとみられる北部バグラン州と、少なくとも他の3つの州で季節性の大雨によって引き起こされた。
【コメント】
 昨年はパキスタンで国土の3分の一が水没する大洪水だった。経済も政治も大混乱させる天災だ。

その他の主要記事
インドネシア:
 土曜日、卒業式から帰る生徒と教師を乗せたバスが衝突し、少なくとも11人が死亡した。
ドナルド・トランプ:
 ポルノスターのストーミー・ダニエルズに元大統領が口止め料を支払った検察の証人であるマイケル・コーエンは、今日トランプのマンハッタン刑事裁判で証言する予定だ。
南アフリカ:
 ジェイコブ・ズマ前大統領が新党を設立し、急速に支持を集めている。
ブルキナファソ:
 軍は、ジハード主義者に協力している、あるいは単に近くに住んでいると疑われる民間人を繰り返し標的にしてきた。 人権団体によると、2月には兵士らが2つの村で223人以上を殺害した。
医学:
 遺伝子組み換え豚から腎臓を移植された最初の人が、手術から約2か月後に死亡した。 病院は、彼の死が最近の移植の結果であるという「兆候はない」と述べた。
オリンピック:
 パリで夏季オリンピックが始まる数か月前に、世界反ドーピング機関がスポーツから違法薬物を排除するという使命を果たせていないのではないかとの懸念が高まっている。

文化
ユーロビジョン:
 スイスが勝利した。 この夜にはアリーナ近くで親パレスチナ抗議活動が行われ、ステージ上では花火が打ち上げられた。
K-POP:
 人気バンド NewJeans のプロデューサーが、BTS の背後にある会社である彼女の雇用主である Hybe との珍しい公の場での論争に巻き込まれている。

ビジネス
貿易:
 バイデン政権は米国の自動車メーカーを保護するため、中国の電気自動車に対する関税を最大100%引き上げる計画だ。
イーロン・マスク:
 テクノロジー界の大物は、インドのナレンドラ・モディのような右翼指導者に取り入ることで、自身の政治とビジネスを推進してきた。
深海:
 クック諸島沖の鉱物は電気自動車の動力に利用できる可能性がある。 鉱山業はこの小さな国に富をもたらす可能性があるが、環境活動家らは断固として反対している。
テクノロジー:
 Apple は、より洗練された反応をする AI を提供するために Siri を改良している。

2024年5月13日 月曜日

トランプが大統領になると・・

プロジェクト2025を読むと、トランプがもし大統領に選出されると、ファシスト政権になりそうだと懸念する。ChatGPTにそうした懸念を聞いてみたら以下の答えを得た。

「政治家に関する仮説的なシナリオについて議論することは、推測的でデリケートな内容になる可能性があります。 仮定ではなく、観察可能な行動や政策に基づいて評価を行うことが重要です。 ドナルド・トランプの過去の行動や発言は確かにさまざまな解釈の対象となり得るが、そのような議論には慎重に取り組み、憶測ではなく事実の証拠に頼ることが重要である。

トランプ大統領の政策や行動の一部は、一部の観察者によって権威主義的または分裂的であると見なされるかもしれないが、彼や他の政治的人物をファシストと呼ぶには、ファシズムが何を伴うのかを明確に理解し、その文脈での彼らの行動を注意深く分析する必要がある。 ファシズムは、権威主義、ナショナリズム、そして多くの場合、階級主義と軍国主義を強く強調することを特徴とする、複雑で歴史に基づいたイデオロギーです。

センセーショナリズムや誇張表現に頼るのではなく、政治的人物やイデオロギーについて、情報に基づいた微妙なニュアンスの議論に参加することが重要です。 政治的議論は証拠、合理的な分析、そして異なる視点の尊重に基づいていなければなりません。」

なかなか冷静な回答だった。
確かに、冷静に見守る必要もあるかもしれないが、とにかくは、トランプを当選させない努力が必要だ。ただし、トランプは敗北を認めないだろうから、内乱の危機があることも理解しておく必要がある。

2024年5月12日 日曜日

プロジェクト2025

 プロジェクト2025と言われてピンとくる日本人は少なかろう。「もしトラ」が実現したらどんな政策が採られるのか、具体的なロードマップがあるのだ。

 プロジェクト2025とは何か?
定義
 プロジェクト 2025(正称 Presidential Transition Project)は、2024 年の米大統領選挙で共和党が勝利した場合に、米連邦政府の行政部門を再編成するために保守系のシンクタンクであるヘリテージ財団が準備している政策提案集である。
企画理由
 「保守派は選挙に勝つだけでは十分ではない。急進左派の支配からこの国を救うには、次期保守政権の初日からこのアジェンダを実行に移せるような統治アジェンダと適任者の両方が必要だ。」 (プレスリリースより)
議題
 このプロジェクトは、4 つの柱に基づき、効果的な保守政権への道を切り開くものである。(プレスリリースより)

使命の 4 本柱
1. アメリカ人の生活の中心としての家族の存在を取り戻し、子供たちを守る。
2. 行政主導の国家を解体し、アメリカ国民に自治を取り戻す。
3. グローバルな脅威から、わが国の主権、国境、恵みを守る。
4. 我が国の憲法が「自由の恵み」と呼ぶ、自由に生きるための神から授われる人権を確保する。

 石油王のコーク兄弟など数十億ドルの財力持つ大富豪が主導し、資金を提供する保守派は、減税、ビジネスの規制緩和、中絶の禁止、公民権保護や公衆衛生・環境規制の撤廃、公立学校や刑務所といった政府機関の民営化、そして社会保障、メディケア、メディケイド(医療費交付金)、食糧扶助といった福祉制度の撤廃を求めて長年戦ってきた。

企画者
 計画の策定は、アメリカの保守系シンクタンクであるヘリテージ(米国文化遺産保護)財団が主導し、チャーリー・カーク率いるターニングポイント USA 財団、マーク・メドウズ元トランプ首席補佐官をシニアパートナーとする保守パートナーシップ研究所、ラッセル・ヴォート元トランプ大統領任命管理予算局長率いるアメリカ再生センター、スティーブン・ミラー元トランプ大統領上級顧問率いるアメリカ・ファースト・リーガル弁護士事務所など、100 を超えるパートナーとの共同作業で進められている。

実行プラン
 プロジェクト 2025 は、特に経済・社会政策と連邦政府および連邦機関の役割に関して、政府全体に亘る広範な変
化を想定している。
 「上記のすべての問題に対する解決策は、あれやこれやの政府プログラムを弄ったり、官僚を入れ替えたりすることではない。これらは技術主義的な問題ではなく、国民主権と憲法上の統治の問題なのだ。
 私たちは、葉を刈り込んだり形を変えたりすることによってではなく、木を根こそぎ枝ごと切り取ることによって解決する」(「保守派の誓約」より)

 2023 年 9 月、元トランプ政権高官であるポール・ダンス氏プロジェクト・ディレクターは、プロジェクト2025 は、「ディープ・ステートとの戦いに備え、整列し、訓練され、本質的に武器化された保守派の(官僚の)新しい軍隊を、政権に進軍させ、連れてくるために組織的に準備している 」と述べた。
 実際に、MAGA 理念を教える大統領行政アカデミーというオンラインコースと、委任移転計画策定のためのガイドも一般公開されているので、企画者の計画は決して隠し事ではない。

政府にどのような変化を意図されているのか?
 企画者はまだ具体的な提案の草案を作成中だが、時計の針を100 年前に巻き戻すいくつかの政策や法律の考案について原則的な合意点を表明している。
 先ず、トランプ大統領第二次就任後の最初の6ヶ月間で、なるべく早く連邦政府一新計画に参画するつもりだ。何をするかについて複数の情報源より以下でまとめた。

文化でのアジェンダ
o キリスト教ナショナリズム:
 アメリカは元よりキリスト教国家である、と企画者は確信している。それで、政府及び公共生活に於いて、キリスト教の教義に沿った政策を導入したがっている。実際に、憲法上の宗教と国家の分離を認めながらも、キリスト教の聖句に基づいた統治システムを提案し、これには「キリストに定められた」文民司政官を全国に配置することも含まれます。
o 伝統的家庭構成:
 女性が結婚し、家庭で家族を養い、男性が世帯主を務めるという「伝統的家族モデル」を強く支持すると表明しており、このアジェンダを強化する諸政策が実施されるだろう。
o ポルノ禁止:
 あらゆるメディアにおけるポルノが非合法化され、製作者や販売者(配信者)は「性犯罪者」に指定され投獄される。違反したメディア企業は法的に閉鎖されてしまう。
o 生殖制限強化:
 妊娠中絶は、妊娠のごく初期にのみ許可されるか、全く許可されない方針だ。”Fetal personhood” (受精時点より胎児人格保護)の政策採用が予想される。同様に、医薬品による避妊は自然避妊に置き換えられるよう市民に訓戒する。また、連邦政府に、中絶件数などの定期報告書の届け出が各州に義務付けられる。
o さらば Woke :(「目覚め」)という社会改良意識)
 Wokeのリベラルな運動には根本から反目し、LGBTQ への差別解消は先ずななる。
o 教育制度再編:
 教育省は閉省され、(連邦政府指令の)公教育は義務づけられなくなる。企画者は教育省を 「醒めた教育カルテルの拠り所」と呼んでおり、特に大学の存在に対して激しい怒りを抱いている。大学とは「ダイバーシクラッツ」(社会多様性に拘る鼠)にはびこられ、「連邦認定のグルによって事実上独占されている組織」だと蔑視している。

移民と人口でのアジェンダ
o 人種置換理論:
 企画の上級指導者は、主に置換理論を支持する白人男性です。この理論とは、アメリカ共和国は中心的にヨーロッパ系白人によって建国され、これらの白人がアメリカを偉大にする制度を作り上げてきたというものだ。
 しかし近年、白人以外の人々、特に外国生まれの人々が、トランプによれば 「国家の血を汚す 」存在となっている。新政権は、特に発展途上国(トランプの言う「肥溜め諸国」)からの移民を全体的に制限することが予想される。
o 国籍届け出義務:
 以前トランプ大統領は国勢調査局に対し、居住者が合法的な米国市民かどうかを尋ねるよう指令を試みたが、裁判で敗訴した。今後は国勢調査の質問欄に市民権が追加されることになる筈で、これは明らかに非正規移民を特定する手であるように思われる。
o  違法移民の大量強制送還:
 「国境崩壊」が今大多数の有権者にとって厄介な問題であることを企画者が察知している。それでトランプ陣営は「史上最大の強制送還」を約束している。プロジェクト 2025 は、移民管理のために州兵を派遣することを考えて、具体的には、共和党寄りの州の州軍が移民保護する民主党寄りの州に越境して、連邦政府の命令を執行する考えだ。数百万人の不法移民は強制送還できるまで強制収容所に拘束するという案だ。現時点でも、連邦政府に逆らい、多くの州が移民取締りに州兵を起動する用意があると言うのだ。しかし、各州政府は、他州の州兵(若しくは国兵)が不法入国者の検挙に動員されることを果たして許すだろうか。州政府対連邦政府また州間の争いに成りかねない。
 因みに、一部の企画者は、ホームレスに対しても同様の計画を求めて、トランプ候補はそれに沿ってホームレスを集る都心から都外の大規模テントキャンプに移すことを提案している。

経済でのアジェンダ
o 気候変動対策の見送り:
 企画者は反温室効果ガス排出政策の廃止を呼び掛けている。環境問題への警戒は大げさであり、バイデンの政策は不必要に経済にダメージを与えるからと言う。企画者は化石燃料産業と手を組み、天然ガスを推進している。目下、石油生産量とエネルギー独立を更に高めるため、トランプは「ドリル、ドリル、ドリル!」(掘れ、掘れ、掘れ)と誇張している程だ。企画者も同調して「アメリカの膨大な埋蔵量の石油と天然ガスは環境問題ではなく、経済成長の活力源なのだ」 (企画書)と公言する。その延長線で、EPA(環境保護局)は縮小され、商務省も冗長とされると想定される。
o 財政の新方針:
 2段だけの軽減且つ簡素化された個人所得税「フラット課税」を採用し、見込まれる税率は 15%と 30%(社会保険賃金で調節)です。法人税は18%とする。FRB(米連邦 準備制度理事会)に対し、雇用より物価インフレ抑制に焦点を置くよう指示する。全体的に、新政権は大企業の厚い味方をする。
o 孤立貿易:
 トランプ候補は、米国に入る全ての外国製品に 10%の関税を課すと公言しています。但し、現在 WTO のルールでは、MFN(最恵国待遇条項)は 2 国間の互恵的な貿易政策を目的と しています。(WTO を出るつもり?)トランプ に拠る恣意的な「一律」政策は、却ってアメリカのグローバル経済の勢力に有害となる可能性が高い。最近の研究では、外国製品に 10%の関税をかけるだけでも、アメリカの家庭は平均年間 1,500 ドルの負担を強いられると推測されている。
o 中国からの切り離し:
 トランプは、2 期目の任期が終わるまでには、重要品は中国に一切依存しなくなると宣言した。その上に、他の中国製品には巨額の(60%)関税を課すとともに、中国製自動車の米国市場への参入を一切阻止すると約束している。

政治統制のアジェンダ
o 大統領権限の拡大:
 The Unitary Executive(大統領の単独行動原則)はブッシュJrの時代にディック・チェイニーをはじめとするネオコたちによって提唱されたもので、湾岸戦争において大統領が(憲法上、宣戦布告の責任を負う)議会を回避して自己裁量で戦争を遂行することを可能にした手段に用いられた。
o 憲法より大統領に誓う:
 企画者は2回までの任期を外し、事実上トランプを終身独裁者にすることを提案している。また、現在の政府機関の職員は、雇用条件の「スケジュール F」の下で忠誠を誓うものだけが雇用される。
o 大統領を取締まる省庁を無力化:
 司法省は縮小し、FBI と国土安全保障省は解体すると企画者が言う。恐らくトランプ政権がその役割を引き継ぐでしょう。その政権は保守派の組織からなる諮問委員会と協力して天下を取る見込みだ。
o 反体制派の弾圧:
 計画では、奴隷の反乱を鎮圧するために指令された「1807 年の暴動抑制法」を発動し、国内に軍隊を配備することが大統領の選択肢内と主張している。現在、国家の軍隊の国内派兵を違法としている。

外交のアジェンダ
 プロジェクト 2025 は主に国内政策に焦点を当てているものだが、ドナルド・トランプ自身が「アメリカ第一主義」の考え方を示す複数の声明を表明しており、プロジェクト2025は大統領制を支援するメカニズムであるため、新政権は彼の見解を政策に反映させるために動くと推測するのが妥当だ。
o NATO からの離脱:
 トランプの NATO 蔑視は決してニュースではない。彼はプーチンのウクライナ侵攻を理論的に支持していると率直に語っていた。勃発時に「賢い行動だ」と口が滑ったのは有名な話だ。
      《トランプ大統領の再登場は、米欧の軍事的協力関係の終焉を意味するだけでなく、ヨーロッパがアメリカから経済的にも切り離されるようになる可能性が非常に高く、最終的にはアメリカの孤立を深めることになるに》違いない。》
o 太平洋圏共同防衛や経済政策の見直し:
 大統領時代に日本、オーストラリア、韓国、フィリピンの「クアッド」同盟に、この地域で好戦的になっている中国への対抗に加盟している。その一方で、環太平洋経済連携協定(TPP)へのアメリカの参加には反対した。
 気まぐれで急にパキスタン同盟を見捨て、その目の敵のインドに転じたりする経歴がありる。北朝鮮の金委員長への求愛は、悲劇的なものでなければコメディーになるほどだった。大統領在任中の政策は、しばしば思いつきで行われ、結果的に中国に有利に働くことに成った。

 以上、プロジェクト2025の概要を詳しく見てきた。
 トランプ2.0は、単なる保守政治への回帰でなく、米国社会の根幹を揺るがす問題であることが理解いただけるだろう。

2024年5月11日 土曜日

世界の動き 2024年5月10日 金曜日

今日の言葉:
「認知症」
 日経新聞の報道で、「認知症の患者数が2030年に523万人にのぼる見通しとなった。 高齢者の14%にあたる7人に1人が認知症患者となる。 仕事と介護の両立が困難な人が増えると、経済的な損失は年9兆円に及ぶとの試算もある。」と言うのが目についた。
 7人に一人と言うのは盛り過ぎだと思うのだが、それにしても大きな数字だ。大学や職場での同期が集まるとみんな元気だが、元気でない人は来ていないのかもしれない。
 有吉佐和子さんが「恍惚のひと」を書いたのが1972年。実の娘に向かって「あなたはどちらさまでしたかな?」と問う痴呆症の父親が出て来て、世間に衝撃を与えた。
 当時は随分自分とかけ離れた世界と感じていたが。うかうかすると7人に一人に分類されそうだ。頑張ろう!

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.ストーミー・ダニエルズの法廷での緊張した一日
【記事要旨】
 ドナルド・トランプ氏の弁護士らは、昨日もストーミー・ダニエルズ氏が2006年の性的関係に関する証言について嘘をついているかのように見せかけようとした。 しかし、トランプ氏が直面している34件の重罪の中心で13万ドルの口止め料を受け取ったダニエルズ氏は反発した。
 「これはすべてあなたが作ったものですよね?」 弁護士が尋ねた。ダニエルズ氏は力強く「ノー」と答えた。
 火曜日に始まり昨日も続いた激しい反対尋問中、ダニエルズは弱さと反抗の間で揺れ動いた。 支持者に装備品を売りつけているとして弁護側が彼女を攻撃したとき、彼女はそれをトランプ大統領自身の商品販売に例えて反論した。
 トランプ氏の弁護士スーザン・ネチェレス氏はダニエルズ氏に2時間以上にわたり厳しい尋問を行った。 ネチェレスが彼女の信頼を傷つけようとしたとき、ダニエルズは絶えず受け流した。 あるやりとりの中で、ネチェレスさんは、ダニエルズさんはポルノ業界でのキャリアがあるため、「セックスに関する偽りの話」については豊富な経験があるのではないかと示唆した。
 ダニエルズは「映画の中のセックスはとてもリアルだ。あの部屋で私に起こったことと同じだ」と言い返した。
 ダニエルズとトランプの要約: 彼らは 2006 年 7 月に出会ったが、彼らの人生は次の 10 年で交差した。
【コメント】
 意地悪な弁護士の質問にダニエルズは良く耐えている印象だ。トランプ支持者でも性的関係が無かったと思うものは誰もいないだろう。ただ、口止め料をもらいながら、ぺらぺら話すダニエルズに反感を持つ人も多いかもしれない。法廷では話さざるを得ないということを割り引いてもだ。

2.ガザ合意への期待は交渉の行き詰まりで縮小
【記事要旨】
 カイロでのハイレベル交渉は昨日保留された。 イスラエルとハマスの代表団は去り、CIA長官も同様に去った。 早期に合意に達する可能性への期待に打撃を与えた。
 今週初めに合意が近いかもしれないという兆候を一部の人が見ていたことを考えると、今回の一時停止は後退だ。 それでも、ある当局者は、交渉担当者は停止を脱線ではなく一時停止と解釈していると述べた。
 ラファでのイスラエルの行動は、今後の議論の方向性を決める可能性がある。 バイデン大統領は水曜日、イスラエルがガザ地区の民間人を殺害するためにアメリカ製の爆弾を使用したことを認めた。 同氏は、イスラエルがラファで大規模な作戦を強行する場合、米国は砲弾の供給を差し控えると述べた。
 イスラエルのネタニヤフ首相はバイデン氏のコメントに反抗的に反応し、「我々が孤立する必要があるなら、我々は孤立するだろう」と述べた。 米国との亀裂がイスラエルの戦争継続能力に影響を与えるのではないかとの懸念が高まっている。 ネタニヤフ首相は停戦協定を求める同盟国と、侵攻を進めるという自国の右派の要求の間で板挟みになっている。
【コメント】
 何度も同じコメントを繰り返す。停戦合意は無い。「国を脅かす勢力は殲滅する。たとえ小の虫を殺しても。」イスラエルの国是だ。

3.ウクライナ、ロシア深部を攻撃
【記事要旨】
 キエフがロシアの軍事力とエネルギー産業の弱体化に取り組んでいる中、ウクライナがロシアのはるか奥深くにある製油所を攻撃したと双方の当局者が昨日発表した。
 ウクライナ国境から700マイル(1,100キロメートル以上)以上離れたロシア最大規模の施設への無人機攻撃は、キエフが敵領土のさらに内側の目標に到達できるようになってきていることを示している。
 背景: この攻撃は、2 つの石油貯蔵所に対する他の攻撃と同様、進行中の作戦の一部だ。 キエフは、ロシアの戦車、船舶、航空機に燃料を供給する施設を標的にすることで、ロシアの軍事兵站を混乱させることを望んでいる。 ウクライナはまた、自国経済の中心であるロシアのエネルギー産業を弱体化させたいと考えている。
 影響:ベルギーのエネルギー専門家は、今回の攻撃によりロシアの石油精製能力の10パーセント以上が停止し、原油をガソリン、ディーゼル、ガソリンなどの製品に変える能力が一時的に低下したと述べた。
【コメント】
 攻撃は何によってなされたのだろうか。日本の護衛艦「いずも」がドローンによって上空から撮影された映像が出回った。ドローンを多用する戦法は、従来の戦争の概念を変えた。
 GDPの2%に増える防衛予算。現代の戦争に対応できる形で賢明に使わなければならない。防衛の主体たるべき自衛隊の制服組からは声が聞こえない。

その他主要記事
ロシア:
 戦勝記念日の祝賀行事は昨年の行事よりも大規模なものであり、この国が戦争の最初の衝撃から立ち直り、戦場で有利な立場にあることの表れであった。
ハンガリー:
 中国の指導者、習近平氏は熱狂的な歓迎を受けた。 ハンガリーは欧州のEV製造拠点としての地位を確立するため、中国からの投資に期待している。
英国:
 イングランド銀行はインフレが緩和する中、金利を据え置いたが、近く利下げする可能性があることを示唆した。
気候:
 ドナルド・トランプ氏は非公開の会合で、石油会社幹部やロビイストに対し、当選すれば環境規制を撤回するため、選挙陣営に10億ドルを寄付するよう伝えた。
メキシコ:
 当局者らは、ドナルド・トランプ氏が2025年に政権に復帰した場合の米国関係の潜在的な変化に備えて計画を立てようとしている。
ボーイング:
 セネガルで飛行機が滑走路から外れ、少なくとも10人が負傷した。
南アフリカ:
 月曜日の建物倒壊後、救助隊が大量のコンクリート瓦礫の中から行方不明者数十人の捜索を行っている。

スポーツ
サッカー:
 スペインの元サッカー監督ルイス・ルビアレス氏が、選手に強制的にキスしたとして性的暴行の罪で裁判を受けることになった。
フェンシング:
 審判の誠実さと優遇措置を巡る出場停止や告発が、オリンピックを前にフェンシング競技に影を落としている。

2024年5月10日 金曜日

世界の動き 2024年5月9日 木曜日

今日の言葉:
「パリ祭」
 フランスの革命記念日に合わせて7月にはシャンソンの集いが「パリ祭」として各地で行われる。
 シャンソン歌手と言えば思い出すのは越路吹雪さんだ。今年で生誕100年だそうだ。現役の歌手としては加藤登紀子さんだろうか。
 シャンソンの集いに行くと、聴衆の高齢化が目立つ。歌手の高齢化に連れて聴衆も高齢化しているようだ。魅力的な若い歌手が出て来ず、若いファンの開拓ができていない。
 ビジネスマンとして、老齢化に対応するビジネスモデルとして注目している。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.米国はイスラエルに停戦合意に達するよう圧力
【記事要旨】
 バイデン大統領はイスラエルに対し、ラファ作戦を制限し、ハマスとの停戦合意に達するよう圧力を強めた。 彼はイスラエルへの大型爆弾の送付を保留し、CIA長官を派遣したことを公表した。
 米国は先週、イスラエルへの軍事援助の一部がラファへの全面攻撃に使用される可能性を懸念し、供与を保留したと発表した。 CIAのバーンズ長官はネタニヤフ首相と個人的に会談した。
 イスラエルは武器輸送の一時停止を軽視したが、専門家らは、この一時停止は米イの関係が新たな緊張に直面していることを示しており、イスラエルの戦争への米国国民の支持が低下する中、さらなる亀裂が生じる可能性があることを示しているが、そのような意見の相違が紛争の経過を変える可能性は低いことを認めた。
 バイデン氏は、米国の援助と忍耐には限界があると示唆しながらも、引き続きイスラエルに深くコミットしていることを明らかにした。
 詳細: 一時停止された武器輸送には、イスラエルの兵器庫の中で最も破壊力のある2,000ポンドの爆弾が含まれている。 戦争開始から最初の6週間、同国は民間人にとって安全と指定されたガザ地区でこのような兵器を日常的に使用していたことがタイムズの調査で判明した。
 会談:イスラエルとハマスの交渉担当者は昨日カイロに到着したが大きな立場の開きがある。
 分析:ネタニヤフ首相は国内外の批評家を安心させたいと考えているようだ。
【コメント】
 ネタニヤフはバーンズにハマスが受け入れている停戦案は拒否すると伝えたそうだ。毎日の報道に一喜一憂せず、具体的な進展を待ちたい。

2.米中気候変動交渉が始まる
【記事要旨】
 バイデン政権の気候公使トップであるジョン・ポデスタ氏は昨日ワシントンで北京の劉振民氏と初めて会談した。 会談は今日も続いている。 タイムズの国際気候記者は語った。
 両国はさまざまな地政学的問題で対立している。 彼らは世界最大の汚染者でもある。 「もし彼らが団結できなかったら、私たち全員が窮地に陥ることになるでしょう」とタイムズの国際気候記者は語った。
 貿易摩擦が交渉に大きく影を落としている。 中国はグリーンエネルギー技術を独占しているが、物が安くなり、エネルギー転換を加速できるので、良いことかもしれない。
 「しかし、リスクも伴う。 ホワイトハウスはアメリカ人、あるいは世界の他の国々が中国に食べ物を口に運んでもらうこと(eat from one’s hand)を望んでいない。 それは北京に過剰な権力を与えている。 現時点で中国と本当に競争できる人がいるかどうかは不明だ。」と記者は語る。
 米国の不満:大量の安価な中国製品がバイデン政権の標的となっており、バイデン政権は米国の工場に脅威を与えていると警告している。
【コメント】
 気候対策は米中で合意可能な少ない分野の一つだが、産業全体やサプライチェーンに関連するので容易でないと知れる。

3.オリンピックは安全に建設されたというフランスの主張
【記事要旨】
 オリンピック聖火は昨日フランスに到着し、フランスが夏季オリンピックの準備を整える中、パリへの1週間にわたるリレーを開始した。
 そして、エマニュエル・マクロン大統領は、これらのオリンピックは、2022年サッカーワールドカップカタール大会のような建設上の危険や移民虐待もなく、安全に建設されたと宣言した。 政府のデータによると、4年間の建設期間中、オリンピック会場での負傷者は200人未満、死亡者はゼロだった。
 しかし、検査記録やその他の文書は別の物語を示唆している。 労働者や当局者らによると、不法移民の負傷はしばしば帳簿外に扱われ、政府の統計に記載されないという。 合法的に働いている労働者の死亡事故でさえ、オリンピックのカウントから除外されることもあった。
【コメント】
 セーヌ川を使う開会式とかちょっと楽しみだ。

国際報道
ブラジル:
 洪水により少なくとも100人が死亡、少なくとも128人が行方不明となっている。
香港:
 裁判所は、民主化賛歌「香港に栄光を」の禁止を求める政府の要請を認めた。
ウクライナ:
 ロシアは、国内全域への電力供給を遮断するキャンペーンの一環として、複数の発電所を攻撃した。
脅威:
 気候変動、生物多様性の損失、外来種の蔓延により、感染症が人、植物、動物にとってより危険になっていることが新しい研究で判明した。

ビジネス
仮想通貨:
 FTXの顧客は現在、2022年の同社倒産時に失った資金と利息の全額を取り戻す態勢が整っていると、同社の破産弁護士らは述べた。
A.I.:
 Google は、科学者が人間の細胞を動かすメカニズムを理解するのに役立つ、より強力な新しいバージョンのテクノロジーを発表した。

薬物
カナダ:
 政治的反発を受けて、カナダはブリティッシュコロンビア州で公の薬物使用を再犯罪化した。
タイ:
 首相はマリファナの再犯罪化を目指している。

日本の女性活用
 日本は長年にわたり、深刻な労働力不足に対処するため、女性の職場での活躍を推進してきました。 一部の雇用主は、男性優位の職場文化を変えようとしている。
 多少の進歩はある。2020年以来、外務省の入省者のほぼ半数を女性が占めており、多くの女性が結婚後もキャリアを続けている。 しかし、女性は依然としてキャリアと家庭内での義務のバランスを取るのに苦労している。

2024年5月9日 木曜日