逆イールドの何が問題か?

逆イールドとは何か?野村証券の用語辞典から引用すると「短期金利が長期金利を上回り、イールドカーブ(利回り曲線)が右下がりの曲線となっている状態のこと。 市場関係者が将来的に金利が下がるとみている場合に起こる現象で、一般的に景気後退の兆候として捉えられる。」ということだ。
米国ではこの逆イールドが3月31日と4月1日に発生したが、この状況をどのように捉えるべきなのだろうか。常識的には野村証券の用語説明にあるとおり、「景気後退のサイン」とみる見方が多い。
インフレ圧力の強い短期金利は上昇しても、将来的な景気後退を見越して長期金利は上昇せず、逆イールドが発生するという考えだ。
私の見方は少し異なる。「景気が悪いので長期金利は上がらない。インフレ懸念で短期金利が高くなる。それで逆イールドになる。」こうした状況で一番困るのは米国の銀行だ。米銀の多くが短期調達、長期運用により利ザヤを確保している経営だ。高度なALM手法を謳っていても、こうした経営は逆イールドに非常に弱い。経済の再生・成長の核となる銀行の収益体質が揺らぐと、景気後退になりやすい。
逆イールドは「景気後退の兆候」というよりも、「景気後退の引き金」とみるべきであり、イールドカーブの正常化が政策として採用されるべきだ。

(2022.4.2 Saturday)

世界の動き 2022.4.1 Friday

N.Y. Times 電子版より
今日の一言:「『プーチンは裸の王様。部下は怖くて耳に心地よい情報しか上げられない』という報道が出始めた。この王様は、裸に気付いて恥じいるか?逆に王様の行進を更に続けるか?どちらだろうか。」

1.戦争は世界のエネルギー状況を混乱させる
【記事要旨】
 木曜にホワイトハウスは戦略備蓄から1.8億バレルの放出を表明。これを受け原油価格は若干低下するもディーゼルは上昇。OPEC+は以前の緩やかな生産の増加決定を維持。欧州は露からのルーブルでの原油代金支払い要求を拒否。
 国連は世界の飢餓の拡大を懸念。ウクライナは戦争開始後15億ドルの食糧輸出が失われたと発表し、ウクライナは同国内で露のスパイによる妨害を懸念。露が11年間アサド政権を支持して来たシリアから数百人が露軍に参加。NATOは露軍が撤退している兆候は見えずと発表。
 多くのロシア人はプーチンを支持し、支持率は上昇。欧州銀行はウの国内生産は今年20%、露は10%減少と予想。
【感想】
 人命が失われ経済活動に甚大な影響を及ぼすこの戦争が、いつまでトップ記事でい続けるのだろうか。Sigh!

2.北朝鮮は発射を偽装か
【記事要旨】
 北朝鮮は新型の金星17号の発射成功を発表するも、対米・対韓交渉力の強化と国内での指導力強化を狙う北朝鮮が、以前の金星15号の発射映像を使ったものと韓国が発表。金主席はハリウッドスタイルの映像で大々的に成功を発表した。
【感想】
 発射されるたびに政府は「重大な違反だ」というが、「北朝鮮国民を窮乏化させる愚策だ」というべきだろう。この小型プーチンは何を言い出し、何をしでかすかわからない。兄を毒殺したことも思い出さないといけない。危険な人物だ。

3.香港でのパンデミックに緊張高まる
【記事要旨】
 香港での感染拡大に対し、中国は医療従事者を派遣し隔離施設の建設を支援するが一部住民は過大な介入を懸念。住人の強制隔離とロックダウンは長年の香港での自由を尊重する考えに合わない。中国のゼロコロナ政策は同国の繁栄と世界での指導力にも悪影響を与えるとNY Timesの記者は分析。

【感想】

    日本でもワクチン担当大臣の罷免やまん延防止の解除で政策に混乱。今でもほとんどの国民がマスクを着け大勢での飲食を自粛している。かかる羊の群れを脳細胞の乏しい羊飼いが率いている。

その他:
中国と豪の関係悪化の一つか
An Australian who worked for China’s global television network stood trial in Beijing on Thursday after 20 months of detention.
台湾は英断。日本ではワクチン関連死の対応をどうしてきたのか?
Taiwan will pay about $209,000 to the relatives of a patient who died after taking the AstraZeneca vaccine — the island’s first confirmed vaccine-related fatality.
ハンガリーは民主主義国?
Viktor Orban, Hungary’s populist prime minister, changed voting and registration rules ahead Sunday’s election. He faces an unexpectedly organized opposition.

(2022.4.1 Friday)

世界の動き 2022.3.31 Thursday

N.Y. Times 電子版より(今日は配信が40分遅れました。N.Y. Timesの記者も忙しいのでしょうか)
今日の一言:
「今日は年度末。戦争、中国コロナの影響による不況、インフレ、そして円安。課題が多い年度が終わり、来年度も「不確実性だけは確実」です。Happy-go-lucky(自分が幸せだと思うと幸運がやってくる)で過ごしていきたいものです」

1.ロシアは混乱させるサインをおくる
【記事要旨】
火曜の外交交渉での兵力撤退の表明にもかかわらずキエフとチェルニヒフ周辺では露軍の攻撃が続く。水曜にクレムリンのスポークスマンは交渉に進展は殆どなかったと語るが、停戦交渉の露交渉官はウは停戦に向け露との善隣の方向に向かっていると語る。
米の情報筋はプーチンが真相を知らされず国防省との関係が緊張していると分析。攻撃を受けるウの都市での生活はますます地獄絵に。
欧州でのエネルギー危機は悪化。ドイツは天然ガスの割当制を発表。英はフラッキング(水圧加圧)による原油の増産を図る。
【感想】
日本でも節電を真面目にやるべき時期かと思うが、危機感は足りない。

2.イスラエルは攻撃に備える
【記事要旨】
水曜朝のパレスチナ人の銃撃により5人が殺害されたのを受け警戒を強化。3月は5回の襲撃で11人が死亡する数年来で最悪の月になった。ラマダンと過越しとイースターという宗教上の祝日が重なり、共通の聖地に参拝者が重なる4月にはもっと襲撃事件が起こる恐れがある。近時はナイフを使った襲撃だったが銃が使用されイスラエルは警戒を強化。
【感想】
以前に出てきた「重なる祝日」は、ラマダンと過越しでした。宗教上の殺し合いは日本人には理解できない。高校の教科書検定の記事があったが、この辺はどのように取りあつかうのかな。

3.ミャンマーの若い反逆者
【記事要旨】
軍部のクーデターから一年以上たったが暴力による圧政が続いている。これに対し、若い普通の市民がジャングルに潜み武力による反抗活動を続けている。西側諸国は経済制裁以外には殆ど何も軍事政権への対応をしていない。ウクライナの戦争がミャンマーへの関心を削いでいる。
【感想】
全くミャンマーのことは忘れていた。岸田首相がカンボジアを訪問していたがミャンマーの解決に日本が出来ることは多い。
以前、新潟の国際大学で教えていたときにミャンマーからの留学生が沢山いた。証券市場も当時未整備で、説明するのが大変だった。彼らはいまどうしているのだろうか。

その他:
宇宙では仲良し
American and Russian astronauts on Wednesday returned to Earth from the International Space Station, as NASA and Russia’s space agency continue cooperating.
え、英人裁判官がHKの最高裁にまだいたのでしたか?
Two British judges resigned from Hong Kong’s highest court, citing the territory’s departure “from values of political freedom and freedom of expression.”
韓国はやるなー
The K-Pop star Luna will soon debut on Broadway in the musical “KPOP.”

(2022.3.31 Thursday)

世界の動き 2022.3.30 Wednesday

N.Y. Times 電子版より
今日の一言:
「さまざまの こと思い出す 桜かな」(芭蕉)
「花冷えの ふなあしおもき うれひかな」(万太郎)

1.外交交渉に進展
【記事要旨】
 トルコでの和平交渉でロシアはキエフとチェルニヒフ周辺からの戦闘行為の大幅な縮小を表明。和平内容のドラフトが出来ればプーチンはゼレンスキーと会談の用意あるとも言うも、西側情報は交渉戦術と見做す。ウ軍はキエフ周辺とイルピンで露軍を後退させる。ウクライナは和平の骨格について初めて触れ、クリミアについては15年間の協議機関に言及し露の支配地域と中立化への考えの基礎を示す。露マリウポリで市民を兵糧攻め。露軍による性的暴行の増加をウ政府が報道。
 和平交渉の進展で株式市場は上昇し原油は下落。
【感想】
 露のキエフ周辺での戦闘行為減少は敗退の糊塗に見える。話し合いの歯車が合ってきたのは一歩前進と評価したい。プーチンは「ウの非ナチ化」といったハードルを下げたのだろうか?秀吉の朝鮮出兵の際の小西行長のような動きをして和平を進める露要人がいるのだろうか。

2.中国でのロックダウンが国民の怒りをもたらす
【記事要旨】
 上海では当初特定ビルと近隣のみ閉鎖していたがそれでは不十分と政府は判断。非エッセンシャルな事業の停止、在宅勤務、交通機関の停止が打ち出され市東部の5日間の隔離検査につづき、市西部でも同様の措置が取られる見込み。市民の我慢は限界に近づき、上海は「鉱山のカナリア」という見方が出る。対応の不統一と支援の少なさに、政府批判が強まる。
【感想】
 トヨタがテスラが影響を受けている。中国がどう切り抜けるかは世界経済の行方に大きな影響を与える。

3.アフガンでは危険な鉱山で労働
【記事要旨】
 タリバン政権による飢餓が広がり北部アフガンでは危険な鉱山での労働が強化。タリバンは鉱山へのガス探知機、支柱の供給等をしないため鉱山労働は非常に危険になり先月は10人が死亡。
 鉱山労働には老人や子供も増える。人身売買や、臓器売買も増加している。
【感想】
 人道支援はどうなっているのだろうか?制裁で苦しむのは最貧層であるのはどこも同じ。

その他:
旅費は回復しない。航空会社は大変そうだ
Corporate travel spending is a third of what it was prepandemic. Experts say it may never bounce back.
ウィルスミスの殴打事件
Will Smith apologized to Chris Rock after he hit the comedian at the Oscars: “I was out of line and I was wrong.” Our critic Wesley Morris saw deeper undertones: In the midst of a celebration of Black achievement, Smith’s victory became a defeat.
木を大切に。良いアイデア
A forest management scheme in Melbourne, A meant to lower city temperatures and reduce carbon dioxide, has drawn worldwide notice for its success in engaging citizens. The decade-old program gives each tree an email address so residents can drop a line (“good luck with the photosynthesis,” one read).

(2022.3.30 Wednesday)

世界の動き 2022.3.29 Tuesday

N.Y. Times 電子版より
今日の一言:「昨日は桜坂の桜が満開でした。フレンチのランチでは、桜の花をアレンジしたデザートがきれいでした。桜道明寺も美味しい季節。今日は雨の予報です。桜が散らないと良いのですが」

1.バイデンはプーチン批判発言を擁護
【記事要旨】
 バイデンは週末の「この男を権力の座に置くことは出来ない」「道徳の破綻者」というコメントについて政策の変化を意味するものではなくプーチン政権転覆を目指したものではないと説明。戦闘は5週目に入り北西部でウは反攻するもののマリウポリでは破壊続く。今日、トルコで対面による停戦協議の予定。Nokiaは露のサイバースパイ活動に使われており企業責任が問われている。
 国連は民間人1100人が死亡、うち99人は子供と発表。
【感想】
 久しぶりの対面交渉に期待。トルコが何とか調整役をしてくれると良いのだが。ゼレンスキー大統領がロシアメディアの取材に応えたとの報道あり、ロシアの世論の行方にも注目したい。

2.中東のサミット終了
【記事要旨】
 2日間のIsrael, the U.S. Morocco, UAE, Bahrain, Egyptによる 歴史的サミットが終了。イラン問題、イエメンの混乱等が話し合われ、米国のイランとの核合意への政策転換に懸念を共有。イスラエルとアラブとの宗教的祝日の統一化も話される。これがパレスチナを刺激しイスラエル北部で銃撃事件発生。パレスチナはアラブ諸国に裏切られたと感じている。露ウ戦争により、ラマダン前の食料価格の高騰が懸念される。
【感想】
 ラマダンとイスラエルの祝日の何を一致させるのか調べてみます。

3.2日間のストがインドを麻痺させる
【記事要旨】
 公企業、私企業の従業員多数がストを決行し交通機関やサービスに混乱発生。労働組合は雇用者に自由度を与える雇用法の改正に反対。労働者の80%を占める非正規労働者への社会保障制度も要求。モディ政権の非効率国営企業の民営化にも反対している。 政権はrailways, airports, ports, oil industry and gas refineries and our power transmission sector をたたき売りしていると労組は非難。
【感想】
 この辺はインドは中国と対照的な政策。非正規が80%というのも驚いた。これだけ反労組的な政策を取っても政権支持率が高いのは何故かも大きな疑問。

その他:
トランプはいつまでも捕まらないが
A federal judge said Donald Trump had most likely committed felonies in trying to overturn the 2020 election.
医療でも性差別人種差別
Doctors are more likely to dismiss symptoms reported by women and people of color in what’s become known as “medical gaslighting.”
韓国では沈静化か
The average number of new coronavirus cases is going down in South Korea.

(2022.3.29 Tuesday)