『大企業ハック大全』を読んで

『大企業ハック大全』 ONE JAPAN著 ダイヤモンド社刊

 表紙に、「なぜウチの会社は変われないんだ!と悩んだら読む」とあり、帯には「変わらない企業の中でそれでも「やりたいこと」を実現するためのスゴ技44」とあるのにひかれて購入。読む時間がなかなかなかったが、週末に読了。

 まずは、いつもどおり、目次の紹介。

 はじめに なぜ大企業の若手・中堅のスキㇽが「大企業病」に効くのか
 序章  「大企業病」とは何なのか
 第一章 社内の「空気」を吹っ飛ばそう!
 第二章 「サイロ」を軽やかに乗り越えろ!
 第三章 あの手この手で「ワープ」しよう!
 第四章 「根回し2.0」で社内外に網の目状の繋がりを!
 第五章 「壁打ち」できる場を作ろう!
 おわりに 同じ志を持つ仲間たちへ

 ONE JAPANという組織のメンバーである大企業の中堅からの44の具体的なアイデアが第一章から第五章の内容としてちりばめられている。目次を見るだけで大体の内容は想像できる類の本の一つだ。

 読後感は、結論から言うと、私自身の「社内改革」の経験とは大分異なるものだった。

 私の考えを述べてみたい。
 社内改革を目指すというのは、1.自分の働きやすい会社にしたい。2.会社にもっと儲けさせたい。3.その結果自分への報酬・処遇を良くしたい。という目的があると思う。

 特に若手のうちは、言われたことは何でもやり、よく働く人間だという印象を上司に持ってもらうのがとても大切だ。仕事の過程で改善すべき点を見つけたらどんどん意見を出してゆけばよいが、前提として、こいつはよく働くやつだ、という周りの理解が不可欠だ。

 最初の役付きになるのが5-7年目ぐらいと思うが、昇格・昇給試験にはしっかり合格しなければ話にならない。大企業であればこのころ留学や出向の機会があるかもしえないが、是非チャレンジしたい。

 30前後の中堅初期は自分の仕事をしっかり回し、目標を達成し、新機軸を打ち出す時期だ。我が国の大企業ではローテーション人事でいろいろな部署を経験するが、新たに担当した業務でもきちんと実績を出したい。

 40過ぎの中堅後期になると、組織内での先行きの見当がつく時期だ。最近いくつかの企業が言い出した45歳定年制は一理ある考え方だ。

 45になったら、もう一度原点に戻って、1.自分の働きやすい会社にしたい。2.会社にもっと儲けさせたい。3.その結果自分への報酬・処遇を良くしたい。という観点から考えたい。会社に残るか、転職するか見極める時期だ。組織内で出来なかったことが実現できるなら転職は明らかな選択肢だ。

 「会社を変える」という観点から私の考えをまとめると、自分の実力を磨いて、おかれた場で努力すれば何らかの改革は出来るはずだと考える。本書に描かれた44のテクニックを弄すればもっとよりよく実現するのかどうかわからない。

 私が好きな「一燈照遇、万燈照国」は、伝教大師の言葉だ。自分の持ち場で一隅を照らす努力をすることが大事だ。そのような努力を我々個々人が重ねれば、企業はもちろん、国も清々しく明るくなる。

(2022.3.12 Saturday)