週間市場動向 2025年10月20日から24日 備忘録

先週(2025年10月20日~24日)の米国と日本の株式市場の動きをまとめました。最後にPEとPrivateCredit市場についてもまとめています。

米国市場(主要インデックス終値と週間騰落率):
S&P 500:10月24日終値 6,772.07、週間騰落率 約+1.3%の上昇
NASDAQ:10月24日終値 約22,942 前週20日比でほぼ横ばい
ダウ工業株30種平均(Dow Jones):10月24日終値 約46,700台で推移、週間では小幅上昇

日本市場(主要インデックス終値と週間騰落率):
日経225:10月24日終値 49,095.27、週間騰落率 約+2.0%の上昇
TOPIX(詳細はデータ取得できず)

市場動向:
 米国市場は企業決算好調で戻りを見せ、特にテクノロジーセクターの一部銘柄が引き続き好調だったものの、一部地域銀行の信用不安が警戒された。
 日本市場は自民党新政権樹立の期待感などもあり、堅調に推移。

 米国の10月FOMC政策決定前のインフレ指標発表を控え、投資家心理はやや慎重だったものの全体としては上昇基調。
 日米ともに先週は概ね上昇トレンドで推移し、特に日本市場の強さが目立つ週だった。

今週(10月27日週)の米国および日本株市場
 今週は、イベント集中週となり、相場の変動が一段と活発になる見通しだ。主な論点は、米国の大型ハイテク決算、FRBの金融政策会合、トランプ・習近平会談の行方だ。​

米国市場の注目点
重要イベント:10月28〜29日のFRB会合と、耐久財受注や新築住宅販売など重要経済指標の発表が焦点となる。政府閉鎖による統計遅延もあり、FRBの判断には不透明感が残ります。​

注目セクター:
テクノロジー(AI・半導体):アルファベット、アマゾン、アップル、メタ、マイクロソフトの決算発表が予定。決算次第で指数全体を左右する可能性。​

ヘルスケア:薬品・バイオ系の新薬承認発表が近く、年末にかけて資金流入が期待されます。​

エネルギー・資源関連:中東情勢と原油価格動向が要因でボラティリティが高まる見込み。

注目株:アップル(AAPL)、マイクロソフト(MSFT)、テスラ(TSLA)、ジョンソン&ジョンソン(JNJ)、バイオジェン(BIIB)が焦点。​​

日本市場の注目点
 政策・経済要因:27日に発表予定の日本銀行政策決定会合では、金利据え置きが予想されつつも、「株式市場の過熱」リスクが議論される可能性が指摘されている。​

注目セクター:
AI・半導体関連:高市新政権のAI産業支援策期待で引き続き上昇基調。アドバンテスト、ディスコ、キーエンス、ソフトバンクグループなどが買われやすい。​
防衛産業・エネルギー:地政学リスクを背景に関連需要が高まる可能性。
金融セクター:日銀の金利政策据え置き観測で一服感。ただし円相場次第で再評価余地も。

相場全体の動き予想
米国株:決算次第でS&P500は引き続き6,800前後の高値圏でのもみ合いを想定。シナリオとしては「テック決算好調→上昇継続」または「ガイダンス下方修正→短期調整」の二極化。​

日本株:Nikkei225は49,000~50,000円台で推移見込み。外国人投資家による買いが続けば史上高値更新の可能性も。

総じて、短期的なボラティリティ上昇に注意しつつも、中長期ではAI・医療・半導体のテーマに買い意欲が集中する週になる見通しだ。

​2025年10月時点でのプライベート・エクイティ(PE)市場およびプライベート・クレジット市場は、いずれも利下げ環境の兆しを背景に活発化しており、特にテクノロジー・エネルギー分野を中心に再成長局面に入っています.​

プライベート・エクイティ(PE)市場の動向
 2025年第3四半期の世界PE投資額は約1.5兆ドルに達し、過去4年間で最高水準となりました。特に米国では「テイク・プライベート」案件(上場企業の非公開化)が急増し、四半期ベースで2022年以来の高水準だ。​
 セクター別では、テクノロジーと金融が全取引件数の50%以上を占め、エネルギー分野は前年同期比で150%の価値増加となりました。一方、メディア・通信と消費財では活動減速が見られます。​

資金流入と出口環境
 FRBの9月利下げ(25bp)および年末までの追加利下げ観測により、資金コストの低下がM&A・IPO市場の再活性化を促進。PEファンドは投資・エグジット双方での活動を再加速させる見通しだ。​

注目トレンド
 セカンダリー取引市場(既存ファンド持分の売買)が急拡大中。ブラックストーン等は2025年に2,200億ドル規模へ成長すると予測。
 テーマ型投資(AI・インフラ・再エネ)が活発化し、長期資本志向の投資家がリスク選好度を回復。​
 PE取引全体の75%超が「アドオン投資(既存企業への追加買収)」で、規模の経済を活かす戦略が主流となっています。​

プライベート・クレジット市場の動向
 プライベート・クレジット市場は2025年上半期の資金調達額が1,240億ドルと過去最高を記録。年内にも2024年の総額を上回る見通しです。​
 特にダイレクトレンディング(中堅企業向け直接融資)とオポチュニスティック・クレジット(高利回り特化型)が投資家からの資金流入を牽引している。

市場構造の変化
「エバーグリーン・ファンド」や「BDC(Business Development Company)」など、機関投資家と富裕層マネーを取り込む長期型ビークルが主流化。運用資産は5,000億ドル超に拡大。​
 金融緩和を背景に、銀行代替の資金供給者としての存在感が上昇しており、保険会社・年金基金資金の流入も顕著。​

リスク要因と信用状況
 借り手企業の利払い負担は高止まりしており、平均インタレストカバレッジ比率(ICR)は2021年の3.2倍から現行1.5倍へ低下。47%の借り手がICR1.5倍未満に位置。​
 表面的なデフォルト率は低水準ながらも、多くが「Payment-in-Kind(利払い繰延)」を通して実質的に返済を延ばしている。将来的には債務再編・リスク移転の増加が懸念されます。​

総括:
マクロ環境と見通し
 利下げ基調とAIインフラ投資需要の高まりを背景に、PE・プライベートクレジットともに「再成長フェーズ」に入っている。
 PEはM&A・IPO出口再開で分配金回復。
 プライベートクレジットは金利収入維持と資本多様化が支え。

注目分野
テクノロジー(特に生成AI関連企業、半導体・データセンター投資)
再生可能エネルギー・インフラファイナンス
医療・医薬セクターの買収・メザニンファイナンス

2025年末に向け、PEとプライベートクレジットはいずれも流動性回復と選別的なリスクテイクを特徴とする新局面にあると評価されている。​信用状況の全般的な劣化は懸念材料。

2025年10月25日 土曜日