世界の動き 2025年5月29日 木曜日

今日の一言
「NVIDIA決算」
 エヌビディアが発表した先月までの四半期決算で、売上高は前の年の同じ時期と比べて、およそ1.7倍の440億6200万ドル(約6兆3800億円)で過去最高となった。
 一方、純利益はおよそ1.3倍の187億7500万ドル(約2兆7200億円)だった。
 アメリカ政府による中国への輸出規制に関連する費用を計上したため、2年ぶりに最高益の更新が止まった。売上高、純利益ともに市場予想は上回った。
 5月から7月までの売上高の見通しは半導体の輸出規制の影響でおよそ80億ドル減少し450億ドルになると予想している。
 28日の米株式市場の時間外取引で、米エヌビディア株が同日終値に比べ一時、6%高の143ドル台をつけた。1株当たり利益(EPS)が市場予想を上回ったことで買いが優勢となった。予想は0.74ドル。結果は0.76ドルだった。
 エヌビディア株は4月に、中国向けに設計した人工知能(AI)半導体「H20」が米政府による輸出規制の対象になったことなどを受け下落し、4月21日には株価が100ドルを割り込んでいた。だがトランプ米政権によるAI半導体の輸出規制の緩和方針などを受け、それ以降は株価は反転。米株式相場が上昇する原動力の1つとなっていた。
 これ程、成長力・瞬発力のある企業はないから、これからも米国株式市場を牽引するのは間違いがない。運用担当者にとっては必ず保有しておかなければならない銘柄だ。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.国連、イスラエルの混乱した援助プログラムを非難
【記事要旨】
 国連は昨日、イスラエルがガザ地区で開始した新たな援助活動を批判した。ガザ地区での戦争をめぐる欧州からの怒りの高まりと、停戦を求める米国からの圧力の高まりに直面しているからだ。
 国連の人道問題担当高官は、イスラエルによるパレスチナ人への援助抑制の試みは「彼らの人間としての尊厳への攻撃」に等しいと述べた。援助プログラム開始直後の火曜日、食料供給拠点への人員集中により、多数の負傷者が出た。
 国連世界食糧計画(WFP)は、昨日、ガザ地区中心部にあるWFPの倉庫に「飢えた人々の群れが押し入り」、少なくとも2人が死亡したと発表した。
 「国連からの新たな批判は、驚くには当たらない。国連は数週間前から、国連機関が運営するシステムに取って代わるこの新たなシステムが、パレスチナ人を危険にさらす可能性があると警告してきた。イスラエルは、この新システムによりハマスによる食糧の盗難や備蓄が困難になると述べているが、国連は、このシステムにより民間人がイスラエル支配地域にある少数の拠点まで何マイルも歩かざるを得なくなり、危険にさらされる可能性があると警告している。また、イスラエルによるガザ北部住民の強制退去計画の一因となる可能性もある」とタイムズのエルサレム支局長は語る。
 EUの怒り:欧州の外交官たちは、援助プログラムとイスラエルの攻撃の両方を批判した。「過剰な武力行使と民間人の死は容認できない」とEUのカヤ・カラス外相は述べ、援助は「決して政治利用も軍事化もされてはならない」と付け加えた。
 協議:トランプ大統領の中東担当特使、スティーブ・ウィトコフ氏は、ホワイトハウスが新たな提案を準備しており、「長期停戦の実現について非常に前向きな感触を持っている」と述べた。
【コメント】
 食料配給所でイスラエルはガザ住民に発砲しているという報道がある。まさに地獄絵だ。
 新たな和平案が米国から出てくるようだが期待薄だ。ネタニヤフへの米国の圧力はもう効かない。

2.ドイツ、ウクライナへの武器供与を約束
【記事要旨】
 ドイツのメルツ首相は昨日、長距離兵器を含む兵器製造への資金拠出を増やし、ウクライナ政府にさらに多くの軍事装備を供与すると発表した。この発表は、ウクライナのゼレンスキー大統領のベルリン訪問中に行われた。
 ドイツ国防省によると、支援には兵器製造、防空システム、携帯兵器などの協力、衛星通信への資金提供が含まれる。その規模は約50億ユーロだ。
 ゼレンスキー大統領は長年にわたり兵器調達のために世界中を旅してきたが、今週、キエフが国内の兵器生産をフル稼働させるには年間約300億ドルの資金が必要だと述べた。
 米国では、トランプ大統領は昨日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領がウクライナを攻撃したことを改めて批判したが、政策への影響については言及を避けた。
【コメント】
 ドイツは思い切った動きをする。国内の極右や左翼をどのように舵とりしてゆくのだろうか。メルツ首相の手腕に注目したい。

3.米国は外国人学生ビザの面接を一時停止
【記事要旨】
 ルビオ国務長官は、学生ビザおよび交換ビザを申請する外国人との海外での面接を一時停止する命令を出し、申請者のソーシャルメディア投稿の監視を強化した。トランプ大統領は、ハーバード大学などの大学に対し、特に反イスラエル的な発言を中心として、キャンパス内での発言内容を制限するよう圧力をかけようとしている中で、この命令が出された。
 海外からの客員教授もこの新たな制限の影響を受けることになる。既に任命を受けている外国人は、理論上は引き続き客員教授の面接を受けることができる。
【コメント】
 自分も50年程前に、アメリカ大使館で留学についての面接を受けたことを思い出した。国務省の人員減のなかで負担が増える。面接が再開されても長い待ち時間が予想される。

その他の記事
宇宙:中国は本日、地球近傍小惑星のサンプル採取を目的としたロボット探査機「天問2号」を打ち上げる。
イエメン:イスラエル軍機は、フーシ派によるミサイル攻撃への報復として、イエメンの主要国際空港を爆撃した。
ロシア:モスクワの地下鉄駅にスターリン像が新たに設置され、通勤客を出迎えている。これは、ソ連の独裁者スターリンの復権を目指すクレムリンの新たな試みである。

科学:スペースXのスターシップロケットが試験飛行中に制御不能に陥り、同宇宙船の記録に新たな紆余曲折が加わった。

ビジネスと金融
・中国:新たな調査によると、欧州企業は同国での事業展開が困難になっている。
・日本:激戦が予想される選挙を数ヶ月後に控え、与党は支出と9兆ドル近くに膨れ上がった債務の増加を迫られている。
【コメント】
 海外ではこのように見えるようだ。日本では政府債務の削減が政治的な論争の対象になることは無い。
・ドイツ:ポルシェは国内生産のみを行っているため、トランプ大統領の関税の影響を特に受けやすい。

2025年5月29日 木曜日