世界の動き 2025年3月28日 金曜日

今日の一言
「前門の虎、後門の狼」
 驚くべき記事がBloombergにあった。
 『米国はウクライナで将来行われる主要インフラ投資全ての管理権を要求している。
 ブルームバーグが入手した草案では、トランプ政権が要求しているのはインフラと天然資源に関連する全ての投資プロジェクトの「優先交渉権」で、ウクライナとの改定版パートナーシップ協定で規定される。
 草案にはこのほか、ウクライナの特別復興投資基金を米政府が管理し、同基金に移管される利益について米国が優先的に請求できるとの内容も盛り込まれた。』
 第二次大戦直前のナチスドイツとソ連に侵食されるポーランドにそっくりだ。米国はウクライナを支援する意志は無く、この機会に自分の利益を極大化しているように見える。カナダ首相が言うように、米国は信頼できるパートナーでは無いようだ。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.トランプ大統領の自動車関税は貿易戦争のリスクを高めた
【記事要旨】
 トランプ大統領が米国に輸入される自動車と部品に25%の関税を課す計画は、世界の自動車業界に衝撃を与えた。昨日は多くの自動車メーカーの株価が下落し、アジア、欧州、米国の市場は動揺した。
 トランプ大統領は水曜日に関税を発表し、昨日はEUとカナダが報復に結束すれば標的にすると脅してリスクを高めた。報復措置の議論は世界的な貿易戦争の可能性を高めた。
 米国に輸出されるすべての自動車と一部の自動車部品に対する関税は4月3日に発効する予定である。メキシコ、日本、韓国、カナダは米国の自動車輸入の約75%を占めている。
 反応:カナダのマーク・カーニー首相は、米国は「もはや信頼できるパートナーではない」と述べ、来週には自国も報復関税を発表すると述べた。米国への大口輸出国である自動車産業を持つドイツでは、ロバート・ハーベック経済相が「EUが関税に対して断固たる対応をすることが極めて重要だ」と述べ、「我々が引き下がらないことを明確にしなければならない」と付け加えた。

トランプ氏についてさらに詳しく
・トランプ政権は、保健福祉省の職員1万人を解雇すると発表した。
・米国の戦闘機パイロットは、ピート・ヘグゼス国防長官が攻撃情報を漏らしたことに憤慨した。「誰かを殺すことになる」とあるパイロットは語った。
・トランプ氏は、下院で共和党が僅差で多数派を占めていることへの懸念から、エリーズ・ステファニク氏に議会に留まり国連大使を務めないよう求めた。
【コメント】
 自動車関税についてはやりやる詐欺では無かったようだ。アメリカの自動車メーカーが乗りたい車を消費者に提供できなかったのが輸入の原因だが、トランプ氏には原因を根治する意向は無いようだ。

2.ロシアはウクライナ交渉で優位に立っているようだ
【記事要旨】
 昨日パリで、欧州首脳らは、紛争終結後にウクライナに「再保証部隊reassurance force」を派遣するというフランスの提案について議論した。フランスのマクロン大統領は、そのような部隊の輪郭はまだ調整中であると述べた。
 この会合は、今週サウジアラビアで米国が仲介した3日間の協議でロシアとウクライナの間でエネルギーインフラと黒海に関する限定的な停戦合意が成立したことを受けてのものだ。
 タイムズのロシア担当記者とのQ&A。
Q: ロシアは協議にどのように臨んだのか?
A: ロシアが真剣に交渉に取り組んでいるのか、それとも時間を稼いでいるだけなのか、多くの疑問がある。黒海での停戦の前に特定の制裁と制限を解除するよう要求することで、クレムリンは交渉を長引かせている。その理由の1つは、要求している内容の一部は米国だけでなく欧州の行動も必要とするからである。
 今週の声明から判断すると、ウクライナにとって利益となるものはほとんどなかった。ウクライナはすでに黒海西部を経由して農産物を輸出しており、ロシア海軍をこの地域から追い出している。
Q: これらの制裁が解除された場合、モスクワはどのような利益を得るのだろうか?
A: ロシアの食品と肥料は制裁対象ではない。しかし、ロシアの海運、保険、銀行に対する制限は、モスクワにとって農産物の輸出をより困難かつ高価にするため、モスクワはこれらの制限の緩和を望んでいる。また、欧州もロシアの魚製品に対する制限を設けており、これも緩和を望んでいるようだ。
 ロシアはまた、国営農業銀行に対する制裁の解除と、国際決済システムSwiftへの再接続を望んでいる。しかし、そのためには、協議から除外されている欧州の同盟国の同意が必要になる。
【コメント】
 ウクライナにとって得るものの無い交渉を、成果があたったと声高に叫んでいるトランプ氏。裸の王様のように見える。

3.ガザで反ハマス抗議デモが拡大
【記事要旨】
 過去3日間、戦争とハマス支配の終結を求めるまれな抗議デモがガザの多くの町に広がった。デモのほとんどは小規模だが、2023年に戦争が始まって以来、ハマスの権威に対するこれまでで最も大胆な挑戦となっている。
 「ハマスは消え去る必要がある」とデモの呼びかけに協力したアフマド・アル・マスリ氏は語った。「そうしなければ、流血、戦争、破壊は止まらない」
 イスラエル:ベンヤミン・ネタニヤフ首相の連立政権は裁判官を選ぶ権限を拡大し、戦争前に国を分断した改革に戻った。
【コメント】
 紛争前まで得ていたガザ住民の支持をハマスは失いつつあるようだ。

その他の記事
韓国:1,000年の歴史を持つ仏教寺院2棟が、同国史上最大の山火事で破壊され、27人が死亡した。
トルコ:BBCは、同局の記者マーク・ローウェンが反政府デモを取材した後、イスタンブールで拘束され、国外追放されたと発表した。
考古学:カイロ南部で、推定3,600年前の無名のファラオの巨大な墓が発掘された。
分析
イエメン:中東の専門家は、トランプ大統領の側近がシグナルチャットで何を話し合ったかにかかわらず、イランが支援するフーシ派は簡単には倒されないだろうと述べた。
中国:北京はトランプ政権との関係の変化を模索する中で、米国の同盟国を説得し、また対立している。

2025年3月28日 金曜日