世界の動き 2025年3月14日 金曜日

今日の一言
「押し目買い‐怖くてできない」
 米国株式市場の反転力は弱い。理由は投資家が押し目買いをしないからというBloombergの記事を紹介したい。
 『ウォール街では過去20年にわたって、相場が下げれば押し目の好機というムードがほぼ常態化していたが、この常態は数週間前から、トランプ米大統領によって打ち消された。
 代わりに台頭してきたのは、利益を確定して、トランプ氏の貿易戦争がもたらす混沌が経済見通しを一変させるのをじっと見守ろうという声だ。
「今押し目で買いを入れるのは、誰が演奏するのか分からないコンサートのチケットを割引価格で買うようなものだ」とラウンドヒル・インベストメンツのデーブ・マッツァ最高経営責任者(CEO)は話した。』
 押し目買いはBuy the dipと言う。ポートフォリオにどうしても加えたい米国のハイテク株については押し目買いの好機だと私は思う。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.プーチン大統領はウクライナとの停戦に前向きな姿勢を示した
【記事要旨】
 ロシアのウラジミール・プーチン大統領は昨日、停戦への暫定的な支持を表明したようだが、急いでいないことは明らかだった。トランプ大統領との交渉を継続したいと述べたが、モスクワで記者団に対し、ロシアは多くの条件付きで30日間の停戦に賛成していると語った。
 プーチン大統領は、キエフが停戦期間中も武器の輸送を受け続けるかどうか、停戦がどのように監視され、執行されるかなど、対処したいと考えている問題を挙げた。同大統領は、クルスク地域の土地を占領しているウクライナ軍が平和的に撤退することは認められないと述べた。その代わり、キエフは彼らに「単に降伏する」よう命じることができる。同大統領は、停戦と引き換えにキエフが4つの地域の土地を割譲するという要求を繰り返さなかった。
 トランプ大統領は昨日、米国とウクライナは戦争終結の合意の一環としてキエフが放棄しなければならない土地について協議していたと述べ、記者団に対し「最終合意の詳細の多くは実際に協議された」と語った。
 引用:ウクライナのゼレンスキー大統領は、プーチン大統領は戦争を継続することだけを望んでおり、あまりにも多くの前提条件を設定したため「何もうまくいかないか、できるだけ長くうまくいかないだろう」と述べた。
 最前線:ロシアは、ウクライナが昨年夏に占領したロシアのクルスク地方の一部にある主要な人口密集地であるスジャを奪還したと主張した。
 波及効果:米国がウクライナ戦争をめぐってモスクワのロシア当局者との協議に目を向けたため、イスラエルとハマスの停戦交渉は宙ぶらりんの状態だ。
【コメント】
 東部4州の割譲はロシアにとって当然の前提だからプーチンは言及しなかったのだろう。ロシアが全力で奪回を目指すクルスクの前線をウクライナが持ちこたえられるか心配な状況だ。

2.トランプ大統領、欧州に200%のアルコール関税を課すと脅す
【記事要旨】
 トランプ大統領は昨日、EUとの貿易戦争を激化させ、EUが4月1日に予定している米国への関税を撤回しない場合、欧州のワインおよびシャンパンに「まもなく」200%の関税を課すと発表した。
 S&P 500は1.4%下落し、調整圏に落ち込み、投資家のトランプ大統領の政策に対する気分の悪化を浮き彫りにした。
 欧州の指導者らは、関税を課すよりもトランプ大統領と取引する方がよいと明言している。昨日のインタビューで、ハワード・ラトニック米国商務長官は他国に報復を警告した。「彼を不機嫌にすれば、彼はあなたを不機嫌にする」とラトニック長官はトランプ大統領について語った。
 今後の展開: EUの貿易委員は本日、ワシントンで米国の同僚らと電話会談を行う予定であると報道官が述べた。
 ブドウ園:200%の関税は「事業を完全に潰すだろう」と、年間生産量の10~12%を米国に輸出している小さなシャンパンハウスのオーナーは語った。

トランプについてさらに詳しく
・裁判官は、トランプの政府削減計画の一環として解雇された数千人の労働者を再雇用するよう6つの連邦機関に命じた。
・イーロン・マスクの効率化グループは、納税者の​​お金を節約した成功を誇張する誤ったデータを繰り返し発表してきた。現在、同グループはミスを隠そうと一層努力している。
・21人の民主党の司法長官の連合は、教育省を骨抜きにしたトランプ政権を訴えた。
・米国の退役軍人は、渡航禁止令で入国が禁止される前に、タリバンと戦ったアフガニスタン人を米国に入れようと躍起になっている。
・トランプ政権は、学校や低所得世帯に食料を提供する農家に報酬を支払うバイデン政権時代の2つのプログラムを終了した。
【コメント】
 いま日本ではEUのワインに関税をかけていない。1000円以下の欧州ワインが店頭にあふれている。米国の郊外の商店街には素敵なワイン店が必ず一つある。200%の関税をかけたらこうしたワイン店は商売が成り立たないだろう。

3.多くのシリア人にとって、帰国は無への帰還である
【記事要旨】
 13年間の内戦で、600万人以上のシリア人が国を離れ、約700万人が国内で避難した。昨年、アサド大統領が追放された後、暫定指導者は数百万人が帰国できると述べた。しかし、10年以上の戦闘の後、何千もの家屋は瓦礫しか残っていない。
 家の中にどれだけ傷んでいても、そこに住み続けることを選んだ人もいる。当面は、トルコやヨルダンのキャンプなど、シリア国外に留​​まることを決めた人も多い。彼らは、同国の沿岸部で最近起きている宗派間の暴力を目の当たりにしている。
【コメント】
 内戦が一応落ち着いても、13年間の戦禍は余りに大きい。米国が手を引く空白を埋める努力を日本はすべきだが、海外に目を配る余裕は元経済大国には無さそうだ。

その他の動き
中国:
 テスラは米国以外で最も重要で長年支配してきた中国市場で敗北しつつある。
インド:
 イーロン・マスク氏のスターリンクは同国の2大通信会社と契約を結び、巨大市場に参入するチャンスを高めた。
イエメン:
 同国に密輸された水素燃料電池部品により、フーシ派の戦闘員はより高速でステルス性の高い戦闘用ドローンを製造できると報道されている。

ビデオゲーム:ポケモンGOを開発する会社は、ビデオゲーム事業をサウジアラビアの政府系ファンド所有の企業に35億ドルで売却することに同意したと発表した。

2025年3月14日 金曜日