世界の動き 2025年1月6日 月曜日

今日の一言
「USスチールの買収頓挫」
バイデン大統領の決断は米国でも驚きを以って受け取られている。以下Bloombergより。
『USスチールは日本製鉄への売却が生き残る唯一の方法だと主張していたが、バイデン米大統領は同盟国である日本の企業による買収であっても、国家安全保障上の懸念を解消するには不十分だと結論づけた。「友好国や同盟国を安全保障上の脅威と宣言するのは異例だ」とクリントン政権で商務省高官を務めたビル・ラインシュ氏は指摘。米商工会議所のジョン・マーフィー氏は「米国への国際投資に悪影響を及ぼす可能性がある」と懸念を示した。多くの通商法専門家は、トランプ氏の大統領就任後、国家安全保障を理由とする措置がさらに強化されると予想している。』
筆者は以前日本製鉄は早くこのディールから手を引くべきだと書いたが、巨額の違約金の存在は知らなかった。
今年6月までに買収が完了しなければ、日鉄がUSスチールに5億6500万ドル(約890億円)の違約金を支払う義務が生じる可能性があると言うのだ。 政府の拒否は起こりうるわけで、そういう際は違約金の対象にならない契約にしておくのが普通だが、そうなっていないとすれば間抜けな契約だ。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.トランプが1月6日の暴動を「愛の日」と再定義した
【記事要旨】
4年前の今日、ドナルド・トランプの選挙が盗まれたという嘘に激怒した抗議者たちが、棍棒や化学刺激物、その他の武器を持って国会議事堂を襲撃した。
暴動中および暴動後には、抗議者1人が銃で撃たれ、警察官4人が自殺するなど、数人が死亡した。140人以上の警察官が負傷した。襲撃後、トランプの政治生命は終わったかに思われた。しかし、今から2週間後にトランプは就任宣誓を行う。
暴動以来、トランプ自身も支持者も、この日の出来事を再現することに多大な努力を注いできた。彼らは、自分たちの究極の政治的利益のために陰謀説を広めてきた。議会やメディアの同盟者が襲撃を軽視し、責任を転嫁したため、起訴され、有罪判決を受け、投獄された暴力的な暴徒たちは、愛国的な殉教者と化した。
今やトランプ氏は、この襲撃事件を「愛の日」と自ら呼ぶものに仕立て上げる基盤を手にした。トランプ氏は新政権発足後最初の1時間で暴徒を赦免すると誓い、一方で議会の支持者たちはトランプ氏の行動を調査した者たちを刑事告発するよう求めている。このようにトランプ氏は暴動のあった日をひっくり返し、政治的な利益に変えたのだ。
分析:トランプ氏は米国が危機に見舞われ、犯罪、混乱、経済的困難の荒涼とした地獄の様相を呈していると述べている。数字はまったく異なる物語を物語っている。
【コメント】
驚くべきどんでん返しだ。トランプのペテンともいうべき詭弁に同調する米国民が多いのには驚かされる。ナチスによるユダヤ人虐殺への一歩となった「水晶の夜」を美化するようなものだと言えば言い過ぎだろうか。民主主義への大きな危機だ。

2.ロシアなどは、西側諸国を標的にハイブリッド戦術を駆使【記事要旨】
ロシア、イラン、その他の敵対国は、機密コンピュータシステムのハッキング、暗殺計画、軍事基地付近を飛行する監視ドローンなどの「グレーゾーン」攻撃を西側諸国に対してますます大胆に利用している。
英国、ドイツ、米国、ロシア国境に近いバルト諸国、北欧諸国は、ウクライナへの支援が目立っていることもあり、ハイブリッド脅威の最も大きな標的となっていると当局者は述べた。ロシアはNATOに対するハイブリッド攻撃を否定しているが、NATO当局は、モスクワが攻撃の実行に特化した特別局を設置したと述べている。
より広範な紛争を引き起こすことなく、各国がこうした行為を抑止するにはどうすればよいのか。攻撃の責任の所在をどのように特定すればよいのか。国防当局に複雑な問題を提示している。
【コメント】
GPSを混乱させる妨害電波は怖い。飛行機の安全な飛行に懸念が生じるからだ。

3.シリア人は普通の自由を取り戻しつつある
【記事要旨】
かつては下方の反政府勢力支配地域に発砲する兵士以外は立ち入り禁止だった山頂で、今ではピクニックや花火が行われている。今では、禁止されていた抗議の歌が聞こえる。活動家の演説を聞くために人々が集まり、ドルと輸入ネスカフェの取引が公然と行われている。
しかし、この自由への急速な流れの中で、人々はイスラム反政府勢力が樹立する新政府に注目している。彼らがどのように統治するつもりなのか、どのような新しい制限や制約を設けるのかについての手がかりを捜している。
【コメント】
ひと時の平穏で終わらないように期待したい。以前ドバイでショッピングセンターに行ったときにシリア出身の愛想の良い店員がいた。彼はどうしているのだろうか。

その他の記事
韓国:
179人が死亡した墜落事故以前から、済州航空はすでに多額の負債を抱え、株価は過去最低水準に近かった。
ニューヨーク市:
昨日、世界で最も混雑する道路があるマンハッタンの一部への入場料として9ドルを課す混雑料金制度が始まった。
チリ:
ガブリエル・ボリック大統領は金曜日、南極を訪問し、南極の一部に対する自国の領有権主張を強化しようとした。

日本:中国への投資の難しさから、多くの企業が米国で取引を行うようになっている。トランプ大統領の関税提案により、この傾向がさらに強まると予想される。

2025年1月6日 月曜日