世界の動き 2024年9月12日 木曜日

今日の言葉
「監査役」
 これまで多くの会社の監査役をしてきた。
 この簡に得た教訓は「監査役は自分が考える方向に会社を導くことは出来ないが、会社が望ましくない方向へ動くのに竿を指すことは出来る」と言うものだ。
 取締役会の決裁では監査役は案件への同意、不同意を問われる。監査役が不同意の場合は(建前としては)同意を得られるまで決議を繰り返さなければならない。こうした点で、監査役はとても重要な役割を果たしていることがわかる。監査役会のない一人監査役の場合は、一人に重責がかかるのだ。
 監査等委員も同様だが、委員会の決定になるので一人で会社の決議に影響を与える比重は下がる。監査等委員は、役員の指名には意見をいうことが出来、特に監査等委員の指名には監査等委員会の同意が必要だ。

 どう見ても望ましくない方向に会社が進もうとしている際には、積極的に竿を差すのは、監査役・監査等委員の矜持だ。

 

ニューヨークタイムス電子版よりTop3記事
1.ハリス対トランプの討論会で勝ったのは誰か?
【記事要旨】
 カマラ・ハリス副大統領は、ドナルド・トランプとの火曜日の討論会の大半を、主に前大統領のエゴをうまく狙ってコントロールした。
 しかし、彼女は自身の大統領としての計画を詳しく説明する機会を逃し、トランプの政策について話すときが一番落ち着いているように見えた。討論会の後、まだ決めていないアメリカ人の中には、ハリスの方がトランプよりも大統領らしいが、彼女の税制や経済政策についてもっと詳しく知りたいと言う人もいた。
 分析:両候補者は米国について対照的な見解を示したと、タイムズの同僚は書いている。トランプのアメリカは暗く、略奪する移民でいっぱいだ。ハリスは、トランプ時代から立ち直る準備ができている、疲れているが希望に満ちた国を描写している。
 世界観:どちらの候補者も、ガザでの戦争を終わらせたり停戦を確保したりするための具体的な計画を提示しなかった。トランプは、ウクライナにロシアを倒してもらいたいかどうかの回答を避け、当選したらキエフへの米軍支援を終わらせるのではないかという懸念を深めた。
 記憶に残る瞬間:トランプ氏は移民が猫を食べるという誤りとされた噂を繰り返し、ハリス氏は視聴者に自分が銃を所有していることを思い出させた。
【コメント】
 直後の世論調査だとハリスが勝ったと思う人は67%、トランプが勝ったと思う人が37%だった。この結果が浮動票にどの程度影響を与えるのかは疑問だ。

2.ロシアの着実な前進がウクライナ東部を脅かす
【記事要旨】
 ロシアは戦争初期以来最も速い進撃でプロクロフスクに迫っている。ここを占領すれば、ウクライナの主要補給線が遮断されるだけでなく、ロシア軍はドンバス地方の残りの地域を奪取する立場に立つ。
 ​​ウクライナは先月のクルスク地方への奇襲侵攻でロシア政府がドンバスから軍を転向させることを期待していたが、ロシア軍は東部戦線の大半で着実に前進した。
 背景:ロシアの前進はウクライナにとって困難な課題を突きつけている。先月のある時点では、キエフ軍は1日1マイル以上後退した。昨日の米国務長官アントニー・ブリンケンとの会談で、ウクライナ高官はロシア領土の奥深くを攻撃するために西側諸国の兵器を使用する許可を求める要請を繰り返した。ブリンケン氏はその後、バイデン政権はキエフにさらなる自由を与える可能性を排除していないと述べた。
【コメント】
 ロシア内部・あるいはウクライナ内部で反戦の動きが大きくならないとこの戦争は終わらないだろう。
 強力な情報統制の下、そうした動きは期待薄だ。特にロシアでは。

3.メキシコの有権者はまもなく裁判官を選出できる
【記事要旨】
 メキシコ上院は昨日、同国の司法制度を選挙制に移行する提案を僅差で可決した。この計画では、最高裁判所長官を含む7,000人の裁判官が職を解かれることになり、主要民主主義国で最も重要な司法改革の1つとなる。
 ​​憤慨:この措置は、司法関係者、法律専門家、投資家、裁判官、学生、野党議員、その他の批判者から激しい抵抗を受けている。火曜日には抗議者が建物に押し入ったが、最終的には警察によって解散させられた。
 今後の展開:この法案は州議会に送られ、今後数カ月以内に承認される見込み。有権者は早ければ来年にも連邦、州、地方の裁判官を選出し始めることができる。一部の専門家は、この法案の影響が完全に理解されるまでには何年もかかると述べている。
【コメント】
 この改革は民衆が求めていたものでは無かったのだろうか?ロイターによれば、『改革案について、ロペス・オブラドール大統領とシェインバウム次期大統領は、裁判官の責任追及と汚職撲滅に不可欠と説明しているが、国内で数週間にわたり抗議活動が行われている。また米国とカナダが「USMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)」への悪影響に懸念を示し、市場でも通貨ペソの圧迫要因になっていた。』そうだ。

その他の記事
ベトナム:
 台風ヤギによる死者数は143人に上った。雨が続き、小さな村では土砂崩れが起こり、ハノイでは洪水が続いている。
北朝鮮:
 制裁を無視して、平壌はロシアに最新鋭の短距離弾道ミサイルを供給し続けている。
米国:
 最高裁が積極的差別是正措置を制限したため、ハーバード大学の黒人学生の入学者数は今年減少している。

2024年9月12日 木曜日