日本ではトランプの受諾演説は好意的に受け取られている。以下、読売新聞オンラインの記事を引用する。
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【ミルウォーキー(米ウィスコンシン州)=田島大志、淵上隆悠】米ミルウォーキーで開かれている共和党大会は最終日の18日、党の大統領候補に正式指名されたドナルド・トランプ前大統領(78)が指名受諾演説を行った。自らへの暗殺未遂事件を踏まえて、米国民に分断の解消と団結を訴えた。
米ペンシルベニア州で13日に銃撃されて以来、トランプ氏が公の場で演説するのは初めてとなる。トランプ氏が18日、演説に先立ち、銃撃で負傷した右耳にガーゼを当てた状態で観客席に姿を現すと、観衆は大きな声援で迎えた。
演説で、トランプ氏は「あらゆる人種、宗教、肌の色の国民のために新時代をスタートさせる。我々の社会の分断を癒やさなければならない。私は半分でなく、全ての米国民のために立候補する。半分のためではない」と述べ、返り咲きに向けた決意を強調した。
11月の大統領選に向けては「我々は信じられないような勝利を手にする。歴史上、最も偉大な4年間が始まるだろう」と述べ、勝利に自信を示した。
銃撃事件を巡っては、「凶悪な攻撃があっても我々はこれまで以上の決意をもって団結する。国民に奉仕する政府を作るという決意は揺るがない」とし、党内に結束を求めた。
政策ではエネルギーなど物価上昇(インフレ)の抑制に向けた石油の掘削推進のほか、不法移民対策として国境の「封鎖」を訴えた。ロシアによるウクライナ侵略や、パレスチナ自治区ガザでの戦闘の早期終結に向けた決意も示した。
トランプ氏陣営幹部によると、この日の演説原稿は、銃撃事件後にトランプ氏自ら全面的に書き換えた。トランプ氏は、結束を呼びかけるものに変更すると予告していた。
全米では銃撃事件を受けて依然、大きなショックが残っており、党大会では党所属議員らが相次いで事件を非難し、トランプ氏の下での結集を訴えた。
トランプ氏が共和党の指名候補となるのは2016年、20年の大統領選に続き3回連続。党の副大統領候補には、J・D・バンス上院議員(39)が指名さ
れた。
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こうした日本での報道とは対照的に、トランプに批判的な米国のメディアでは、相変わらず民主党を口汚くののしり、自己陶酔的なトランプを報じている。
以下ニューヨークタイムズ論説より。
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しかし、元大統領の衝撃的で人生を変えるような死の瀬戸際で盛り上がった団結の演説と宣伝されていたこの演説は、すぐに昔のトランプに戻り、一部の同盟者が避けてほしかった恨みや敵意に満ちていた。
彼はナンシー・ペロシ下院議員を「狂っている」と呼び、移民を架空の人食いハンニバル・レクターと比較したようで、フランクリン・グラハム(著名な米福音派伝道師)が汚い言葉を使わないように頼んだと群衆に語った。
トランプ氏は最初の2回の選挙活動と大統領職の間、ライバル関係に溢れたスタッフの混乱を楽しんでいるように見えたが、少なくとも彼のために働く人々に関しては、無秩序を規律に置き換えた。
それは彼自身の行動には及んでいないし、そうである必要はないのかもしれない。彼は党を変革し、規範を打ち破り国民に衝撃を与えることで大統領に上り詰めた。突然の規律の発動が誰を納得させるのかは明らかではない。
共和党は、11月に誰と戦うことになるのか確実にはわかっていない。彼らは、自分たちの競争州の地図がどこまで広がるか、あるいはトランプが自信を深めればさらに甘やかすかどうかも知らない。
しかし、共和党が3度も大統領に昇格させようとした男、失った権力にしがみつこうとし、反対派の投獄を要求し、暗殺未遂を生き延びた男が変わることはないと確信できる。
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つまり、現在勝利の(予測の)絶頂にいるトランプこそが、共和党の足もとをすくうことになるかもしれないという警句だ。
民主党の候補が誰になろうが、勝利の可能性が開けるとしたら、トランプの動きが過半数の米国民の鼻につく時だ。
2024年7月20日 土曜日