世界の動き 2024年6月21日 金曜日

今日の言葉
「都知事選挙」(以下サンケイ新聞の記事より)
 『都の人口1400万人はベルギーより多く、年間予算16・5兆円はスウェーデンと遜色がない。国内総生産(GDP)の都内分である都内総生産約113兆円はオランダ並み。欧州諸国1国分の規模を誇る東京は地盤沈下の危機にある。今月発表された都の合計特殊出生率は初めて1を割り込み、「0・99ショック」に見舞われた。
 生まれる子供が減る一方、一極集中が進む。都外からの流入が人口増を支え、国全体の活力を奪いながら、東京は急激に老化している。
 東京の麻痺(まひ)は国家の危機に直結する。都の課題は、国にとっても重要な論点であり、今回の都知事選を好機として、大きな議論につなげることが重要となる。
 過去には、首都のトップが国を動かした。都知事時代の石原慎太郎氏は「玄関が狭くて客が来なければ、この国はますます衰弱する」と訴え、「羽田空港再国際化」の道筋を付けた。
 羽田の強化は、現在も東京の国際競争力を支える。首都のリーダーには今、国を動かす政策と行動力が求められている。』

 東京は衰退しているか?不動産の状況や企業業績を見ればまだ活況とも思える。東京の問題は突き詰めれば日本の問題だから、狭い東京都の枠内で考えるのではなく、日本の課題解決のブースターとしての役割がますます求められる。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.プーチン大統領、北朝鮮訪問後にベトナムを訪問
【記事要旨】
 ロシアのプーチン大統領は昨日、平壌で北朝鮮の金正恩委員長と会談した翌日にベトナムを訪問した。
 大きな進展はなかったが、ウクライナ侵攻で孤立を深めるロシアにとって、今回の訪問はロシアに国際的な正当性の見せかけを与えた。
 プーチン大統領とベトナムの指導者たちは慎重な態度を貫いた。両国は共産主義の歴史を共有しており、モスクワは長い間ベトナムの主な武器供給元だった。しかしハノイは最近、米国との距離を縮めている。訪問前、米国当局はベトナムを非難し、「いかなる国もプーチン大統領に侵略戦争を推進する場を与えたり、残虐行為を正常化させたりするべきではない」と述べた。
 北朝鮮訪問の影響:ロシアが今週北朝鮮と署名した防衛協定は、北朝鮮からの安全保障上の課題が増大すると予想していた韓国と日本の当局者を動揺させた。これは北京にとっても頭痛の種だ。この条約は地域における対立のリスクを高め、米国とその同盟国が中国周辺での軍事的プレゼンスを強化するきっかけになる可能性がある。
【コメント】
 プーチン大統領は人道に関する罪で国際指名手配を受けているので動ける国が限られる。狭い範囲で動きを速めている印象だ。
 ベトナムは日本や米国との関係をつよめており、北朝鮮のような孤立国とは状況が違う。俺たちはもともとすごく仲が良かったよね、というノスタルジックな訪問だ。

2.イスラエル軍とネタニヤフ首相の対立
【記事要旨】
 何カ月もの間、ガザでの戦争の方向性をめぐってイスラエル軍とネタニヤフ首相の間に亀裂が生じているとの報道が飛び交っていた。今週、その亀裂が公になった。
 最も鋭く、公然とした亀裂は、軍の首席報道官であるダニエル・ハガリ少将の異例の率直な発言によってもたらされた。水曜日にイスラエルのテレビで放映されたインタビューで、ハガリ少将はネタニヤフ首相のハマスに対する「絶対的な勝利」の約束に反論したようだ。「ハマスを破壊し、消滅させることが可能であるという考えは、国民の目を曇らせるものだ」と彼は語った。
 ネタニヤフ首相の事務所は、軍と政府がともに「ハマスの軍事力と統治能力の破壊」に取り組んでいるとの声明をすぐに発表した。
 分析:ハガリ氏の発言は、イスラエル軍指導者の間で、ガザの管理責任を任されるかもしれないという懸念が高まっていることを反映していると、イスラエルの退役将軍は述べた。
 米国:ネタニヤフ首相が火曜日、米国が一部の重火器を差し控えていると非難した後、ホワイトハウスの報道官は昨日、同首相の発言を「非常に残念」と評したが、イスラエルの戦争遂行方法について意見が分かれている同盟国からのコメントだ。
 ガザ:ガザのほぼすべての人々がイスラエルとハマスとの戦争の恐怖から逃れる唯一の方法は、隣国エジプトを経由して脱出することだ。しかし、それは仲介人やエジプトの会社に何千ドルも支払う複雑で費用のかかる試練だ。
【コメント】
 ハマスは組織ではなく思想だという見解だ。殲滅したと思っても適切に管理されなければ再びガザで頭をもたげてくるというのがハガリ氏の考えだ。ネタニヤフ首相は戦いはハマスの「殲滅まで」と言うが、ハガリ氏は、どこまで進めば和平のポイントになると考えているのだろか。

3.オランダ首相がNATOを率いる準備が整う
【記事要旨】
 オランダの退任首相マーク・ルッテ氏は、ルーマニア大統領が立候補を取り下げたことを受け、次期NATO事務総長に選出される見通しだ。
 57歳のルッテ氏は、2022年以降、ウクライナに対するオランダの軍事支援を30億ドル以上に上回る額にまで引き上げてきた。同氏は、NATO全体の民主主義と国家主権を守るためには、ロシアとの戦争でウクライナを支援することが不可欠だというNATOの主要メッセージをますます強調している。
【コメント】
 NATOの事務総長は歴代欧州の有力政治家が務めてきた。NATO軍司令官は歴代米国から指名されている。
 ルッテ首相とは(NHKの報道より)
 オランダのルッテ首相はハーグ出身の57歳。2010年から首相を務め、ヨーロッパではもっとも在任期間が長い首相の1人です。
 ルッテ首相のもと、オランダはウクライナへの支援を積極的に行ってきました。ドイツの研究機関「キール世界経済研究所」によりますと、ことし4月末の時点で、オランダによる軍事支援はアメリカ、ドイツなどに次いで5番目に多い金額で、ウクライナに対するF16戦闘機の供与もいち早く表明しました。
 その背景のひとつにあるのが、10年前にウクライナ上空で旅客機が撃墜された事件です。旅客機はオランダ発で、オランダはもっとも多くの犠牲者を出しました。
 ルッテ首相は去年9月に国連総会で行った演説で、旅客機はロシアに撃墜されたという見方を示した上で、「この日、オランダの国民と世界中の人たちは、平和や自由、正義は与えられるものではなく、絶え間ない努力を必要とするものだということを思い知らされた」などと述べました。
 そのうえで、ロシアによるウクライナ侵攻を改めて強く非難し、ウクライナへの支援を国連加盟国に訴えるなど、ルッテ首相はウクライナを支持する姿勢を強く示してきました。

その他の主要記事
米国:
 北東部と中西部南部を襲った熱波は4日目に突入。米国人の約1億人が猛暑注意報の対象となっている。
フランス:
 12歳のユダヤ人少女の強姦疑惑で国内の緊張が高まり、反ユダヤ主義が今後の選挙の主要課題となった。
トランプ:
 ドナルド・トランプに対する機密文書事件の判事は、同僚らの2023年に辞任するという提案を却下した。同判事はトランプによって任命された。
テロ:
 米軍陪審は元アルカイダ司令官に戦争犯罪で30年の懲役刑を命じた。司法取引により、彼の刑期は2032年に終了する。
抗議:
 2人の環境活動家がストーンヘンジの一枚岩にオレンジ色の粉を撒いたとしてイングランドで逮捕された。

経済
英国:
 イングランド銀行は、インフレ率が5月に2%に減速したにもかかわらず、金利を据え置いた。
EU:
 EUは、EU加盟国への液化天然ガスの販売によるロシアの利益を対象とする制裁を含む新たな制裁に合意した。
フランス:
 EUは、総選挙まで2週間を切った時点で、債務を抑制しなければ罰金を科せられると警告した。

2024年6月21日 金曜日