世界の動き 2023年6月19日 月曜日

今日の言葉:
「今後に含み」
 金融政策で、或いは政策一般で、政府当事者の発言を引用する記事でよく使われる言葉だ。
 いまは金融緩和を継続するが今後はわかりませんよ、という意味だ。
 将来取られる政策は当然その時々に最適なものを採用するのだから、今後のことは断言できない。含みを持たせるのが当たりまえで、この言葉は特段の意味を持たない。

ニューヨークタイムズ記事より
1.ブリンケン氏が中国に到着
【記事要旨】
 ブリンケン米国務長官は、2018年以来初の国務長官の中国訪問。中米関係の悪化スパイラルを遅らせることを期待している。
 ブリンケン氏は中国の秦剛外相と予定より1時間長い5時間半会談した。 両氏と側近らは2時間にわたって散歩と夕食会を一緒に楽しんだ。
 会談の中国側の公式要約は暗いものだった。 秦氏は、米中関係は正常な国交が始まって以来最悪の状態にあると主張し、台湾問題が中米関係にとって最大のリスクであるとも指摘した。
 米国側のまとめによると、ブリンケン氏は、米国は米国民の利益と価値観を擁護し、「自由で開かれ、国際ルールを守る世界のビジョンを前進させるために同盟国やパートナーと協力する」と述べた。
 米国当局者らは、ハイレベル外交を再確立することが優先事項であると強調している。 安全保障問題が重くのしかかるが、気候変動や世界経済の安定など地球規模の問題について中国当局者らと協議する予定だ。
 米国は衰退する覇権国であり、中国を封じ込めることで覇権にしがみつく決意をしているという中国政府の見方を反映し、中国は2日間の訪問中に次々と不満の声をあげることが予想される。
 有力な共和党議員は金曜日、中国への旅行をしたブリンケンを非難した。 彼らは、中国政府がより強硬なアプローチを求める中、同氏が中国との国交正常化を試みることで国家安全保障を損なったと非難した。
【コメント】
 対話の継続は重要だろう。今回、中国の真剣さはブリンケン氏が習主席に面談できるかどうかでわかるが、王毅どまりで習主席には格下のブリンケンには中国は合わせないと見る。

2.ロシアがウクライナのダムを爆破したことを示す証拠
【記事要旨】
 ウクライナのカホフカダムは、外部からの想像できるほぼすべての攻撃に耐えるように設計されており、 ニューヨーク・タイムズが精査した証拠は、明らかにロシアが内部から爆破したことを示唆している。
 ロシアが管理するこのダムはソ連時代に建設された。つまり、モスクワは構造の設計図を持っており、そのアキレス腱、つまり機械室からアクセスできるダムの下の小さな通路について知っていたことを意味する。 証拠によれば、この通路は爆薬が爆発してダムを破壊した場所である。
 ウクライナとルーマニアの地震センサーは崩壊当日、大規模な爆発の明らかな兆候を検知し、米国の諜報衛星も爆発を示す赤外線熱信号を捉えた。 さらに、水位が低下したのに、崩壊した部分は水線よりも上に見えなくなり、基礎が構造的損傷を受けたことを示す強力な証拠となった。
 IAEA高官は最近ザポリージャ原子力発電所を訪問し、原子炉と使用済み燃料棒を冷却するための水が「数カ月」残っており、現地当局が供給を補充する措置を講じ始めたと述べた。

戦争に関するその他の最新情報:
 地元ロシア当局者や軍事ブロガーらは昨日、ウクライナが反攻開始以来初めて南部ザポリージャ地域で領土を獲得したと述べた。
 世界銀行は、戦争とパンデミックにより世界経済が10年後退した可能性があると述べた。
【コメント】
 詳細な調査報道だ。経年劣化によるダムの崩壊も進んでいたようで、ロシアが仕掛けた爆薬が何らかの理由で誘発した可能性も否定できないと思われる。

3.バングラデシュの石炭を使わない石炭火力発電所
【記事要旨】
 バングラデシュは、世界最新の石炭火力発電所の 1 つであるマイトリー発電所の建設に 20 億ドルを費やしました。 12月に稼働を開始したが、数週間停止したままだった。燃やす石炭がないからだった。
 インドネシアから石炭を輸入するための通貨不足のため、このような一時的な閉鎖を経験している。この発電所が直面している問題は、風力や太陽光などの再生可能エネルギー源が安価になるにつれて、世界中の他の新しい石炭火力発電所が今後数年に直面する可能性があるリスクとなる。
 アジアでは、中国は新しい石炭火力発電所の建設を続けているが、他の国は古い石炭火力発電所を廃止したり、新たに計画していたプロジェクトを中止したりしている。 例えばバングラデシュは最近、12の石炭火力発電所を建設する計画を中止した。 インドは今後5年間、新規石炭火力発電所プロジェクトを停止すると発表した。
【コメント】
 「安価な石炭を高性能の発電所で燃やすのが最も経済的」という日本の主張が成り立たなくなってきているということだろう。日本では太陽光の大規模開発は適地はすでに開発され、風力はまだ高価で地元の反対も多い。真剣にエネルギーミックスを考えなければならない。

その他:
インドの熱波は死亡者を増やす?
 Officials in India are investigating whether there is a link between an unusually intense heat wave and a higher-than-usual number of deaths in hospitals in Uttar Pradesh.
日本の「不同意性交罪」
 Japan changed its legal definition of rape to require consent and raised the age of consent to 16, from 13.
ジョンソン元首相の辞任は正直さが大切な証明
 Boris Johnson lost his party’s support after he was accused of breaking the rules. Experts say that condemnation of Johnson by his Tory colleagues reaffirms the fundamental importance of truth in British politics.

2023年6月19日 月曜日