トランプ大統領の「事あれ主義」

トランプ大統領が取ったイラン革命防衛隊コッズ部隊のソレイマニ司令官殺害という動きについて、いろいろなコメントがなされている。
曰く「彼の思考回路は読めない。何をしでかすかわからない外交の素人。アメリカの理念であった自由と民主主義を維持することを一顧だにしない自国中心主義者」といったコメントが多い。

私は、トランプは事なかれ主義の対極にいる「事あれ主義者」と考えている。そう考えると彼の言動はずっと一貫している。

日本の政策は何事につけて事なかれ主義だ。特に対韓国政策、対中国政策は典型的だ。波風が立たないようにその場しのぎを重ねてきて現状がある。
自衛隊の中東派遣も「調査研究」のために「ホルムズ海峡は外して」艦艇と哨戒機を出すという。諸勢力の反応に配慮した事なかれ主義の典型だ。

さて、事なかれ主義という言葉は英語でふさわしい訳語が見つからない。(WW2直前のイギリスのチェンバレン首相などは今見ると事なかれ主義者に見えるけど、平和主義者と区別が難しいですね)
トランプの考えは、事あれ主義だ。いくつかの政策オプションがある場合には、他人がどう考えようが、最も自分自身の考えがはっきり示されるオプションを取る傾向が強い。今回のソレイマニ司令官の爆殺でも、自分が命令して殺したとはっきり言っていた。やったことも発表の仕方も事あれ主義的だ。

事あれ主義者としてトランプを見てゆくと、直面する諸問題でトランプがどういうアクションを取っていくか予想がつく。

(2020.1.13)