ジム・ロジャースは世界的に有名な投資家だ。いつも蝶ネクタイを締めた剽軽な印象のおじさんだ。
彼は今シンガポール在住で、日本のTV局やメディアがインタビューに行くのに喜んで会っている。
今回は、YouTubeで【ジム・ロジャーズ 最新経済予測】6つの最悪シナリオが日本を襲う/米国経済に楽観的になれない/10代がやるべきこと、40代が準備すべきこと・・・、という番組を見た。
彼はここ20年以上日本については非常に悲観的だ。今回「捨てられる日本」(SB新書)を発刊し、その本の内容について,日本からのインタビュうーを受けている。
ジムの言う6つの最悪シナリオは以下だ。
1.日本円は捨てられる
2.膨大な負債を抱え、日本は沈没する
3.金利上昇と通貨切り下げで日本経済は大打撃を受ける
4.インフレで競争力が減退する
5.低迷する食料自給率が新たな危機を生む
6.人口減少、少子高齢化で国力が地に落ちる
いずれも的外れの指摘ではない。
私はこれに
7.大震災で経済が壊滅的な打撃を受ける
を加えたい。
最悪のシナリオへの対策は、ジムによれば、「政府の放漫は財政支出をストップする。移民を大量に入れ生産力人口を維持する」と言うことに尽きるのだが、彼はさらに、「日本政府にはこうした政策は取れない」と付け加える。
若者には、未来の無い日本からの脱出を勧めている。好きな国へ行って好きなことが出来るのが若者の特権だと言うのだ。中堅でも腕に自信がある人は日本にとどまる必要はないと説く。
面白いのは、彼はアメリカにも決して楽観的でないことだ。最盛期を過ぎた国は没落するのが歴史の教訓だ。1920年にピークだった大英帝国は1976年に破産した。僅か50年後の話だ。
彼によれば、次に台頭するのは今のところ中国だと思われ、大国が後退するときに戦争が起きたのがこれまでの歴史だから注意が必要だと説く。彼はシンガポールに住み娘を中国語Nativeに育てたようで、彼の中国への入れ込みもわかる。
米中対立のはざまで日本はどうしたらよいか。彼は、日本はせっかく戦争を禁止する憲法を持つのだから米中の紛争から距離を置く賢明な道を歩むべきだ。最近の軍備増強策には感心しない、とアドバイスする。明確だ。
知日派だけに、飲み込むのが難しい警句を発している。
2023年3月5日 日曜日