電動キックボード考

 最近、電動キックボードに乗って、東京の街を颯爽と走る人の姿を見かけるようになった。電動キックボードは、現在、世界でもっとも普及している、電動・小型・1人乗りのモビリティだ。
 現在、日本の法律上では「原動機付き自転車」(原付バイク)に分類されており、公道を走るにはミラーやナンバープレートの装着、ヘルメットの着用、免許の帯同など、道路交通法・運送車両法の規定を満たす必要がある。
 しかし、実証実験を経て道交法が改正されたことで、今年7月1日から、条件を満たす電動キックボードは「小型特殊原動機付自転車」に位置づけられ、今よりも手軽に乗れるようになる。16歳以上であれば、免許を持たなくても運転でき、ヘルメットの着用も努力義務となるので、普及が加速すると見込まれる。
 2019年に日本市場に参入したLUUPをはじめ数社が既にシェア・サービスを提供しているが、行方は明るいだろうか。

 欧米で5年前に登場した電動キックボードのシェアリングサービスは、「脱自動車」を推進し、環境に優しい交通手段へというビジョンを掲げていた。
 ベンチャーキャピタルから何十億ドルもの資金を調達し、大々的に宣伝しているのもかかわらず、マイクロモビリティ企業が約束した未来はまだ来ていないようだ。
 既にシェアリングサービスを導入している大都市で、自動車での移動をシェア型の電動キックボードに有意義な形で置き換えている人はほとんどいない。電動キックボードは、ラストマイルの移動手段としてはコストが高く、自動車の代替としてではなく徒歩の代替として使われているようだ。
 交通ルールの厳しい都市(パリ型と呼ぶ)では参入企業が少ないためビジネスとして成り立つケースが多いようだ。公共交通で付近まで行き、その後の徒歩の代替として使えるケースが多いようだ。
 ルールの緩い都市(ロス型と呼ぶ)では、参入企業が多く、ビジネスとしてはパリ型より難しいようだ。目的地近くまで相変わらず車で行き、あとは徒歩で十分だということのようだ。

 日本ではルールが緩和されるとはいえまだまだ厳しい条件があるので、明らかに市場環境はパリ型だ。参入企業もまだ少ないようだ。投資ファンドから転職して起業に参加した友人は生き残って行けるのだろうか。

 自転車運転の傍若無人ぶりが気になる東京で、運転ルールが徹底され安全な交通手段として認知されるかが今後の普及のカギになるだろう。もともとは交通機関が出す二酸化炭素を減らすという高邁な理想を掲げて登場した交通手段だ。安全を重視した普及が望まれる。

2023年1月29日 日曜日