「捨てない生き方」

 今日五木寛之さんの講演を聞いた。日経主催の「相続・事業承継セミナー」の最後のスピーカーだった。

 五木氏の家には物があふれているのだそうだ。一度断捨離を試みたことがあったそうだ。100-150足ある靴を整理しようとして最初に手にとった箱を開けるとブルーのスウェードの靴が出て来たそうだ。馬車道の信濃屋で当時の月給の半分をはたいて買ったそうで、当時流行っていたプレスリーのBlue Swede Shoesという曲の記憶と相まって昔を思い出す「依り代」になっている。

 氏が強調しているのは、戦争の記憶は捨ててはいけないということだ。東京大空襲や沖縄戦の記憶は、相続してゆくことが大切だ。捨てなければ新しいものが生まれないという考えもあるだろうが、要らないものを葬り去るのではなく、依り代として相続するべきものがある。

 昭和7年9月30日生まれの氏は90歳。石原慎太郎と同年同日の生まれだそうだ。傾聴に値する講演だった。

2022年11月19日 土曜日