シャープの子会社であるカンタツをめぐる不正会計事件が発生した。シャープの当該事件に対する説明は、日本の大企業によくある典型的な説明になっているのでどこが問題か指摘したい。
事件について詳しくPHILE WEBの記事(2021.3.12 徳田ゆかり氏による)を引用して説明したい。
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シャープ(株)は、本日の2020年度3Q決算説明会において、「調査委員会の調査報告書の受領に関するお知らせ」として発表された、同社の連結子会社であるカンタツ(株)の不適切な会計処理についての説明と謝罪を行った。
カンタツはスマートフォン等に搭載されるカメラのマイクロレンズユニット分野で有数の企業と説明されている。シャープでは、従前から同社が製造するレンズユニット製品を仕入れ、これを組み込んだカメラモジュール等の製造・販売を行い、カンタツへの出資も行っていたが、2018年1月、仕入れから製造販売まで一気通貫のグループ体制を構築すべく、カンタツが発行した新株予約権付社債を普通株式に転換することにより子会社化したもの。
シャープでは、カンタツにおいて多額の売掛金の滞留があったことからその経過・原因について調査を実施した結果、2018年度から2020年度まで取引先からの注文がないままに売上が計上されていること(架空売上)などの複数の不正や誤謬の事象を確認したという。これらによるシャープの連結決算への影響額は、売上高で75億円、調整前当期純利益で76億円と報告された。
こうした背景として、シャープの執行役員 管理統轄本部 管理本部長 榊原聡氏は、「カンタツ内部の問題とともに、グループ内部統制の機能が奏功せず、親会社としての管理が不十分であった」と説明。「2度と起こさないため、会計基準の遵守等のコンプライアンスに関する意識の醸成や会計知識の強化などの再発防止策を講じる必要がある」とした。
シャープの代表取締役社長 兼 COO 野村勝明氏は、「皆様にご迷惑とご心配をおかけしておりますことを非常に重く受けて止めております。株主や投資家の皆様をはじめ、関係者の皆様に深くお詫び申し上げます。再びこのような問題を起こさないよう、再発防止策を確実に実行し、継続的にさらなるガバナンスの強化に取り組んで参ります」と謝罪の言葉を述べた。
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長くなるので、論考部分は、次回で説明させてください。
(2021.3.14)