米国のなりすまし詐欺

 NYタイムズで「The catfishing scam putting LPGA golfers and fans in danger」という記事が目をひいた。これは、女子プロゴルフ界(LPGA)を舞台にして急増している「なりすまし詐欺」(catfishing scam)について報じたものだ。特に人気の高いNelly Korda(ネリー・コルダ)をはじめとする有名選手が標的になっており、ファンも巻き込まれて被害を受けている。

詐欺の手口
• 詐欺師は選手になりすました偽アカウントをSNS(Instagramなど)で作成。
• ファンにDM(ダイレクトメッセージ)を送り、親しげな会話を始める。
• すぐにTelegramやWhatsAppなど、監視の緩いプラットフォームに誘導。
• 「VIPディナー」「大会の特別席」「投資話」などを持ちかけ、暗号通貨やギフトカードでの支払いを要求。
• 支払いが終わると、詐欺師は姿を消す。

Nelly Kordaの対応と警告
• ネリー・コルダはInstagramのプロフィールに警告文を固定表示し、「ファンに金銭を要求することは絶対にない」と明言。
• 「ファンと自由に交流することが難しくなった」と語り、詐欺の影響で本物の交流が妨げられていると懸念。
• 彼女は1日に20件以上の偽アカウントを報告していたが、今では1時間に何十件も増えるほどの勢いだそうだ。

被害事例
• 72歳の男性が「ネリー・コルダと結婚する」と信じ込み、退職金15,000ドル(約220万円)を送金。家を売る寸前までいったという事例もある。老齢と分別は別物のようだ。
• ペンシルベニア州の男性が、ローズ・チャンとのVIPディナーを信じて70,000ドル(約1,000万円)を送金し、現地に現れたが詐欺だったと判明。彼女は日本食が大好きだそうだが、架空の夕食のメニューは何だったのだろうか。

LPGAとセキュリティ専門家の見解
• LPGAはセキュリティ会社TorchStone Globalと連携し、選手とファンの安全確保に努めている。
• 一部の被害者は、真実を告げられても信じず、選手本人を責めるケースもあるという。

 こうしたなりすまし詐欺は、選手だけでなくファンの人生にも深刻な影響を与えている。ネリー・コルダのような人気選手が声を上げることで、より多くの人が注意を払うようになることが期待されている。

 日本では、有名評論家をかたる「投資話のなりすまし詐欺」が一時期隆盛を極め、何千万円も失う人が続出したが、いまはどうなっているのだろか。「世に盗人の種は尽きまじ」というが、AIの力を得て、手段はますます巧妙化している。

2025年10月12日 日曜日