企業年金から投資資金を獲得する際に金融庁は受託機関がSOC報告書を取得することを奨励し、委託期間も保証書の無い受託機関には資金を預けないという動きが広がっているようだ。
そこで、SOC報告書について調べてみた。米国では随分以前から一般的に広がっている慣行で、旧称のSAS70と言うと広く通じると思う。
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SOC1報告書
SOC1報告書は、アウトソーシング事業者(受託会社)が委託されている業務のうち、委託会社の財務報告に係る内部統制の適切性・有効性を対象とした保証報告書である。
米国公認会計士協会(AICPA)が定めた保証報告書の基準であるSSAE18(旧SSAE16、SAS70)に従って、アウトソーシング事業者(受託会社)が委託されている業務の中で財務報告に係る内部統制を対象に、監査人が手続を実施した結果と意見を表明した報告書である。
SOC1報告書は、資産運用や、データセンター、システム管理、給与計算等の業務を中心に多くのアウトソーシング事業者が発行しており、委託会社の財務諸表監査の中で利用されている。
日本では、日本公認会計士協会が発行する「監査・保証実務委員会保証業務実務指針3402」を基準として、SOCと同様の報告書を発行している。
報告書取得のメリット
委託会社および委託会社監査人からの照会・質問等に対する負荷の軽減複数の利用者(委託会社)から業務を受託している場合、それぞれの委託会社に対する監査手続への対応を要請されることがある。
このような場合に、報告書を取得していないと、複数の委託会社の会計監査人による複数回の監査に対応する必要が生じ、受託会社にとって大きな負担となる。一方、報告書を取得している場合、それぞれの委託会社の会計監査人は報告書の利用により、対応負荷が軽減すると想定される。
潜在顧客に対する業務の信頼性の向上独立した監査人からの保証報告書を取得することで、導入を検討している顧客に対しては、保証報告書を取得していない企業と比較して、業務への信頼感が高まると期待される。
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この報告書の取得が義務化すると中小の受託機関は大手との競争で大きなハンディキャップを追うことになる。行方に注目したい。
2025年4月19日