1980年代にヒット作を連発した作家だ。ドライな文体でアメリカの地方を描いた作品が多い。彼のコピーを使ったパイオニアのカーステレオのCMを今でも鮮明に思い出す。
「夕方ワイフの生まれた町を通った。人口800に満たない小さな町だった」とか「ニューメキシコナンバーの車とすれ違った。一瞬ニューメキシコの風が通った」とか、ライ・ク―ダ―の音楽と一緒に流れた。(文章はうろ覚えです)
今日は彼へのオマージュだ。
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彼は大都会から200キロ北の別荘に車を走らせている。半分過ぎたところにあるSAで、カブリオレのトップを開けた。空から降る日光が車内と前方を明るく照らす。
カブリオレは冬の方がずっと心地が良いと彼は思う。日の光と暖房があればそれほど寒くない。夏はどうやっても暑くて高い湿度が不快だ。
別荘まで20キロ手前の小さなSAの出口で高速を下りる。出口からすぐのところにリンゴ園があるのだ。リンゴ園の上の道で車を降り、なだらかな道を下って行く。数匹の猫が出迎えてくれる。リンゴを二袋頼み、用意が出来るまで、日向で猫と遊び運転で固まった体をほぐす。
二つの袋とおまけに4個のリンゴをおばさんが持ってきてくれた。全部で16個のリンゴ。太陽の光を閉じ込めた甘くて少し酸味がある、
両手にリンゴを抱えて車に戻り、再び高速道路に乗る。少し寒くなってきたが、陽光はまだ眩い。屋根は開けたまま走ろう。あと20キロ、ほんの一走りだ。
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2025年1月18日 土曜日