質への逃避

 日銀の日銀の金利引き上げの動きと黒田総裁の不明確な記者会見での発言、さらに米国での弱い雇用統計の発表を受けて、東証は金曜に35,909.70円へと−2,216.63円 (5.81%)下落した。

 日経新聞はこれを「質への逃避」と言う言葉で説明している。大和証券の用語集によれば、この言葉の意味は以下だ。
 『経済に大きな影響が及ぶ事案が発生し、先行きへの不安が高まった際に、運用資産を相対的にリスクが低く、流動性の高い資産に移す動きが強まること。
 株式を売って国債や金を買う、新興国の通貨からドルや円にシフトするといった現象です。「フライ・トゥ・クオリティ」とも言います。』

 識者の意見は2分している。今回の下げが本格的な相場の調整に移行するという弱気派と、早晩安定するという強気派だ。
 筆者は強気派で、株式市場はすぐに回復に向かうと見る。これは筆者の株式投資のマネジャーとしての経験から導かれる結論だ。

 私の経験では運用を受託するファンドマネジャーは運用を委託する会社(企業年金、生保、投信委託等)との間で、運用対象を取り決めている。株式投資の場合、株式以外の資産に運用できるのは多くて10%程度だ。だから、一時的に現金や債券の持ち高を増やしても、早晩、株式に振り向けざるを得ない。
 株式の中でリスクの高いと思われる(PERが極めて高い、βが高い、ボラティリティが高い)銘柄から、その反対の銘柄に乗り換えるぐらいが、ファンドマネジャーの出来ることだ。

 資金は株式市場に滞留する。従って、早晩株式市場が復活するのは間違いない。

2024年8月3日 土曜日