ブラジルのカーレーサーであったアイルトン・セナはかつて、「晴れた日には15台の車を追い越すことはできないが、雨が降っていれば追い越すことができる」と言った。
ここ数年は雨どころか豪雨に事欠かない。私たちは、新たなショック (ウクライナでの戦争、インフレの再来) が以前のショック (世界的な未知のウィルスの大流行、サプライ チェーンの混乱) に重なる、デジタル化や持続可能性といった大きなトレンド変化が前提になる世界に住んでいる。
こうした時にリーダーは二つのタイプに分かれる。最初のタイプは、ボラティリティと不確実性に対処する際に慎重で防御的な姿勢をとる。身を潜め、今ここでの脅威に集中して対応する。シナリオ計画、レジリエンスの準備、バランスシートの管理、短期的な効率化の推進、慎重なインフレ監視が、彼らの重点分野になる。これらのリーダーは、状況が明らかになるにつれて、戦略的な「様子見」モードに入っていく。現状は、上級管理職の大多数がこのカテゴリーに分類される。
しかし、2 番目のタイプのリーダーも見られる。つまり、ボラティリティに傾倒しながら、すべての適切な防御行動を取り、それを触媒として使用して、新しい機会に向けて行動を活性化するリーダーである。現在の混乱は、大胆に前進するというこれらのリーダーの考え方を活性化し、眠っていた可能性のある戦略の要素を活性化させてる。これらのリーダーは、攻撃と防御の両方でプレーしている、両利きの経営陣である。
両利きの経営陣は、この環境で単に生き残るのではなく、ボラティリティから価値を創造し繁栄しているように見える。慎重かつ大胆なこれらのリーダーは、組織のパフォーマンスに「アルファ」を生み出すために、洞察力、コミットメント、実行力の 3 種類の優位性を磨いている。
CEO と取締役会は、組織が、洞察力、コミットメント、実行力のそれぞれの優位性をどの程度信頼できると主張できるか、またそうでない場合は、どのようにしてそれを迅速に発展させることができるかについて、自社の状況を把握し、挑戦する必要がある。
”Strategic courage in an age of volatility” McKinsey Quarterly
August 29, 2022
By Michael Birshan, Ishaan Seth, and Bob Sternfels から
(2022年9月10日 土曜日)