ダイハツの内部監査(備忘的メモ)

 同社の「抜本的な再発防止策についてのご報告」(2024年2月9日公表)より

 具体的な再発防止策
 ⑥内部監査体制の強化
これまでは、監査部として執行側で行うべきコンプライアンスなどの事務局業務に工数の多くをとられ、本来行うべき内部監査業務を十分に行えていませんでした。
 今後は、幅広く、第三者的に監査部が内部監査に注力・専念できる組織にします。その為に、次の 3 点について対応を行います。

 一つ目は、これまでできていなかった、開発、認証プロセスも含めた会社の各機能に対して、網羅的に監査を実施します。
 二つ目は、監査を確実に行うために必要な知見及び人員のリソースを改めて検証したうえで、必要な人員を確保します。
  三つ目は、GRC 推進部(仮称)を設立し、本来執行側にて行うべきリスクマネジメント・コンプライアンスなどに関する事務局業務を移管し、本来取り組むべき内部監査に注力、専念します。

<監査部:内部監査対象>
 1) 経営・ガバナンス
 2) SDGs(人権、環境その他)
 3) 労務・購買・経理・情報管理
 4) 製品監査(開発~認証~生産)
 5) 販売・サービス

<専門組織・委員会の新設>
 会社全体のリスク・コンプライアンスを把握しコントロールする機能として、GRC 推進部(仮称)を新設します。
 各本部からリスク・コンプライアンスを吸い上げ、分析・評価を実施して、後述の GRC 委員会(仮称)へ上程します
 併せて、会社としてリスク・コンプライアンス情報を認知し経営判断を行う機関として、最高リスク管理責任者(取締役)をトップとした GRC 委員会(仮称)を立ち上げます。

<GRC 委員会(仮称)の概要について>
目的 :リスクマネジメント・コンプライアンスについての会社としての判断を行い、執行側の具体的活動、継続的改善を促進する。
開催頻度 :年 4 回
メンバー構成:最高リスク管理責任者(取締役)、
       取締役・監査役(外部)、本部長
立ち上げ時期:2024 年 4 月(予定)

【コメント】
 ダイハツの第三者委員会が出した調査報告書(2023年12月20日公表)によると、内部監査は2018年に、法規認定室を対象とした型式認定プロセスの適正性監査を実施した。業務プロセスは「上司の承認プロセスが遵守され、がんじがらめの内外ルールで不正の入り込む余地はない」と結論付けている。その後は同様の監査は実施されていない。
 内部監査が行う業務監査としては不十分と言わざるを得ない。
 今回の不正を踏まえ、内部監査には監査のスコープを広げ、能力のある監査人を揃え、適切な業務監査を行ってもらえる体制を整備するという経営陣の意思が読み取れる。
 GRC委員会を作り、ガバナンス、リスク・コントロール、コンプライアンスを一元的に管理する委員会を整備するのは一歩前進だが、「仏作って魂入れず」にならないように注視する必要がある。

2024年6月8日 土曜日

世界の動き 2024年6月7日 金曜日

今日の言葉
「株式市場の寡占」
マイクロソフト、エヌビディア、アップルの3社を合わせた時価総額は、今や中国の株式市場よりも大きい。
ブルームバーグがまとめたデータによると、時価総額の合計は約9兆2000億ドル(約1437兆円)で、最も価値のあるハイテク企業3社は、香港を除く中国株式市場の時価総額、約9兆ドルを追い抜いた。
モメンタムと成長を求める投資家は、強力な競争優位、高い利益率、堅固なバランスシートを理由にマイクロソフト、アップル、エヌビディアの3社を信頼し続けるだろう。
投資家としてはこれらの企業を外して株式投資することは出来ない。しかし、忘れてはならないのは、これらの企業はほぼ同業種と見做すことが出来るので、結果的に「卵を一つの籠に盛る」ことになることだ。
リスクをどうヘッジするかは大きな課題だ。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事(今日はインドの記事一つだけです)
1.モディ氏の選択
【記事要旨】
ナレンドラ・モディ氏は、予想よりもはるかに僅差ではあったが、インドの首相に再選された。3期連続の任期で、このカリスマ的な強権政治家は、数世代にわたってインドで最も重要な指導者としての地位を固めた。
10年間インドを率いてきたにもかかわらず、モディ氏はある意味では、自身のビジョンについて国民を当惑させてきた。インドの関係、経済、社会、政府といった主要な問題に関して、モディ氏がインドをどのような国にしたいのかは、まだはっきりしていない。
今日のニュースレターでは、4つの大きな疑問について説明しよう。

⓵インドはどこで友人を見つけるのか?
インドはここ数年、米国との関係を深めてきた。日本やオーストラリアなど米国の同盟国との距離を縮め、将来的に依存を生み出すような高性能の米国製兵器システムを発注した。インドが中国側につく可能性は低い。2020年、中国軍がインド支配地域に侵入し、小競り合いで兵士20人を殺害した。それ以来、モディ首相は北京と距離を置いてきた。
だが、73歳のモディ首相は、米国と同盟を組みたくないという姿勢を示している。側近の中には、依然として米国を警戒している政府関係者もいる。米国の外交官は、インド政府が民主主義の規範と少数派の権利を侵害しようとしていると不満を漏らしている。そのため、インドは選択肢を残している。ロシアがウクライナに侵攻した後、米国はインドに戦争反対の立場を取るよう説得しようとしたが、無駄だった。インドは今もロシアの石油を加工している(国際制裁によって生じた余剰分を引き取っている)。武器は今もロシアから購入している。
インドは冷戦中、非同盟国としての立場を取ろうとしてきた。古い習慣はなかなか消えない。

➁どのような経済にするか?
インドは最近、中国を追い抜いて人口が最も多い国となり、最も急成長している経済大国となった。それでも、国の大部分は依然として貧困状態にある。約8億人が腹を満たすための支援を必要としている。彼らを助ける方法に関するモディ首相の考えは、グローバル志向であると同時に保護主義的でもあるため、矛盾している。
1つの道は、輸出用の製品を製造することで貧困から脱却した東アジア諸国に倣うことだろう。そのために、モディ首相は2014年に「Make in India」イニシアチブを開始し、世界の工場として中国に取って代わる取り組みを始めた。しかし、モディ首相が新たな補助金を投入したにもかかわらず、輸出はほとんど伸びていない。一部のインド人経済学者は、ITや遠隔専門職などのサービスの輸出に重点を置く方が良いと述べている。
モディ首相のもう1つのビジョンは「自立したインド」であり、これはインドのグローバルサプライチェーンへの露出を減らすことになる。インド企業を外国との競争から守ることは、外国との競争に備えることと矛盾している。
大きな経済的決断を前に、モディは時々曖昧な態度を見せる。レーガンやサッチャーのように、彼は政府を縮小すると約束して権力を握った。実際には、政府はほとんどの分野で強権をふるい、急進的で、時には中途半端な改革を命令で押し付けている。

③少数派グループを保護する?
インドの建国者は、多様性のある世俗的な共和国のために憲法を作成した。モディは、国を明確なヒンズー教国家として作り変えてきた。彼は、国内で唯一イスラム教徒が多数派を占める州であるジャンムー・カシミール州を、厳重に警備された連邦領土に変えた。彼は、暴徒がモスクを破壊した紛争地に巨大なヒンズー教寺院を建てた。今年の選挙運動中、彼は人口の14%を占めるイスラム教徒を「侵入者」と呼んだ。インドのイスラム教徒は、自分たちが二級市民にされたと言っている。
モディ首相の3期目は試練となるだろう。ヒンドゥー教国家主義のプロジェクトは達成されたのか、それとも、ある宗教の優位性を主張するためにまだできることがあるのか​​。イスラム教徒を正しい位置に置こうという呼びかけは、モディ首相の政党の生命線であり、非常に多様でカーストに分裂したヒンドゥー教徒の中で多数派を獲得する。3期目には、歴史的なモスクをヒンドゥー寺院に置き換えるよう運動するなど、新たなターゲットを選ぶかもしれない。しかし、党のヒンドゥー教第一主義のプロジェクトに縛られていない新たな政治パートナーによって、モディ首相は制約を受けるかもしれない。

⓸どの程度の権威主義か?
モディ氏が長きにわたって人気を保っている理由の1つは、彼が効果的であることだ。モディ氏はしばしば突然改革を強行し、大胆さや驚きの要素さえも頼りにして官僚主義を打破する。税制を合理化し、半導体産業をゼロから立ち上げた。彼はいかなる障害にも我慢しない。
その結果、世界最大の民主主義国は多くの民主主義の規範を無視している。警察は野党指導者を投獄し、政治犯の数を増やした。選挙管理委員会はモディ氏支持の任命者で固められている。司法は政府の優先事項をほとんど妨げない。
モディ氏は職は保ったようだが、議会の過半数を失った。今度は連立政権のパートナーをなだめ、大きな変更について協議する必要がある。そうすれば、フェアプレーを維持するために作られた制度の一部が守られるかもしれない。
もう一つの可能​​性は、モディ首相がこれまで以上に厳しく取り締まり、直属の機関をフル活用して、活気あふれる競争相手に負けないよう党が優位に立つようにすることだ。モディ首相は弾圧に関する苦情にもかかわらずここまでやって来た。もし今、彼の足かせとなるものがあるとすれば、それは彼の新しい連立政権内部から来るだろう。
さらに詳しく:
インドやトルコのような国では、独裁主義的な指導者が権力を固めるのではないかと懸念されていたが、民主主義は強靭であることが証明された。
世界の投資家は中国では得られない利益を求めてインドに目を向けている。

ガザの戦争:
イスラエルの空爆により、数千人のパレスチナ避難民の避難所となっていた国連の学校施設で数十人が死亡した。
イスラエルは、目隠しと手錠をかけられたガザの人々を、法的代理人もつけずに軍事基地に拘留している。

D-Day80年
バイデン大統領:
ノルマンディーで、彼はロシアの侵攻に抵抗するウクライナの努力を、第二次世界大戦中にヨーロッパ中で激化した自由を求める戦いに例えました。
別の時代:
上陸作戦の80周年は祝賀行事ですが、厳粛なものだ。ヨーロッパは問題を抱え、不安に陥っており、過激主義が自由民主主義を蝕んでいる。

その他の記事
SpaceX:
同社のスターシップロケットは打ち上げに成功し、宇宙からの初の帰還を完了した。
EU:
議会選挙は日曜日に終了した。気候変動対策への反発が右派に力を与えた。
ウクライナ:
2022年にモスクワ軍を撃退したスミ市の住民は、新たな猛攻撃に備えている。
欧州:
欧州中央銀行は、インフレ撲滅キャンペーンの終了を告げ、ほぼ5年ぶりに金利を引き下げた。
ロシア:
当局は、ロシア軍に関する情報収集の疑いでフランス人を拘束した。
気候:
米国は、東南アジアの中国企業が製造した太陽光発電製品に関税を追加。
チリ:
高電圧送電塔に木が倒れ、首都サンティアゴで40万人以上が停電した。

2024年6月7日 金曜日

世界の動き 2024年6月6日 木曜日

今日の言葉
「プロにはプロ向けの説明で十分」
以下Bloomberg記事より。
『手数料開示は不要と判断
ヘッジファンドやプライベートエクイティー(PE、未公開株)投資会社に手数料と経費の詳細を投資家に毎四半期説明することを義務付けた米証券取引委員会(SEC)の規則について、米連邦高裁は無効との判断を示した。
ニューオーリンズの高裁判事3人は、SECが権限を逸脱しており、プライベートファンドに資金を投じる「極めて精通している」投資家にこうした規則は不要だと主張する業界団体を支持した。
プライベートファンド業界を取り締まりたい当局にとって打撃となった。SECは判断を精査しており「適切な次の段階を決める」とした。』

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.戦争がスーダンを奈落の底へと突き落とした
【記事要旨】
NYタイムズの同僚のデクラン・ウォルシュと写真家のアイヴァー・プリケットは、過去1年間、外国人記者がほとんど立ち入ることができなかったスーダンで3週間を過ごした。2023年4月に紛争が勃発して以来、何百万人もの人々が避難を余儀なくされ、迫りくる飢きんが何十万人もの子どもたちの命を脅かしている。
首都でありアフリカ最大の都市の1つであるハルツームは、戦争で焦土と化した。2人の将軍の確執がスーダンを内戦に引きずり込み、この都市は世界最悪の人道的災害の震源地となった。
米国の推計によると、戦闘開始以来、15万人もの人々が死亡した。900万人が家を追われ、スーダンは世界最大の避難の危機の地となっていると国連は述べている。20年前に戦争犯罪の代名詞となった地域であるダルフールは、今や新たな大量虐殺の脅威にさらされている。
国連は、今後数か月で飢餓により22万人以上の子供が死亡する可能性があると警告している。放置すれば、1980年代のエチオピアの飢餓に匹敵する規模になる可能性がある。
現地の状況:静まり返った飢餓病棟では、飢えた赤ん坊たちが命を懸けて戦っている。数日ごとに、赤ん坊が1人ずつ死亡する。ナイル川上空に砲弾が舞い、病院や家屋を襲う。国営テレビ局は拷問室として使われた。
今後:米国主導の和平交渉は行き詰まっている。スーダン国家は崩壊しつつあり、脆弱な地域を巻き込む恐れがある。専門家は、チャド、エリトリア、南スーダンなどの近隣国が巻き込まれるのは時間の問題だと述べている。
【コメント】
スーダンはエジプトの南隣にある国だ。
首都:ハルツーム(ナイル川の源流である青ナイル川・白ナイル川の合流点、政治・軍の中枢)
言語:アラビア語(公用語)、英語も通用、その他 部族語多数
人種・民族:主としてアラブ人、ヌビア人、ヌバ人、フール人、ベジャ人等(200以上の民族が混在)
宗教:イスラム教、キリスト教、伝統宗教
面積:188万平方キロメートル(日本の約5倍)
人口:4,565万人(2021年、世銀)

2.イスラエルは米国の世論に工作
【記事要旨】
イスラエルは昨年、偽のソーシャルメディアアカウントやニュースサイトを使って米国議員にガザ戦争への支持を訴えるキャンペーンを組織し、資金を提供していたことがタイムズ紙の調査で分かった。この秘密の取り組みは、イスラエルが米国の世論を動かすためにどこまでもやろうとしていたことを示している。
このキャンペーンは10月に始まり、Xで現在も活動中だ。ピーク時には、本物の米国人を装った何百もの偽アカウントが親イスラエルのコメントを投稿した。米国は長年イスラエルの最も忠実な同盟国の一つであったが、ガザ戦争は多くの米国人に不評で、民間人の死者が増えていることを前にバイデン大統領にイスラエルへの支持を撤回するよう求めている。
詳細:キャンペーンは広範囲に影響を及ぼさなかったと、MetaとOpenAIは先週述べた。Xはコメント要請に応じなかった。
ガザ:CIA長官はカタールで会談したが、イスラエルとハマスは最新の停戦提案をめぐって依然として大きな隔たりがあるようだ。
【コメント】
現在は情報戦でロシア、中国、北朝鮮、イスラエルが主に海外の世論を操作するために偽情報を流している。国内の選挙結果に影響を与えようと、日本、米国、インドと言った民主主義国でもこうした動きが出てくるのは不可避だ。怖い報道だ。

3.国連、地球の熱波は今後も記録を更新し続けると発表
【記事要旨】
地球はすでに過去10万年で最も高い気温のいくつかを経験している。しかし国連気象機関は本日、2028年までに地球がさらに最も暑い年を記録する可能性が90%近くあると発表した。
今からその時までの間に、世界の平均気温が産業革命の幕開けの頃よりも1.5度(華氏2.7度)高くなる可能性もほぼ同じくらい高い。これは2015年のパリ協定で各国が回避しようとしたレベルだ。
【コメント】
随分世界中で努力しているようだが、少しも効果がなさそうだ。

その他の主要記事
インド:
ラフ​​ル・ガンディーと彼の政党であるインド国民会議は、選挙で力強い結果を残し、復活の兆しを見せている。
宇宙:
NASAの宇宙飛行士2人が昨日、ボーイング社製のスターライナーカプセルで宇宙ステーションへの軌道に向かった。これまでの2回の打ち上げは中止されていた。
ニューヨーク:
知事は、米国初の試みとなるはずだったニューヨーク市の混雑料金制度を、施行の数週間前に棚上げにした。
ドイツ:
極右政党の市議候補がカッターナイフで切りつけられ、EU選挙を前に暴力沙汰への懸念が高まっている。
軍事:
米国と同盟国の諜報当局は、北京が元戦闘機パイロットを教官として採用する取り組みを強化しているとの報道を受け、元中国軍人を訓練しないよう警告した。
レバノン:
銃撃犯がレバノンの米国大使館に銃を乱射。同国の治安部隊に射殺された。
アマンダ・ノックス:
彼女は2007年にイタリアで同居人を殺害した事件に関して無罪となった。彼女はこれ以上の刑期を服さない。
ウクライナ:
ロシアの攻撃で電力網が弱体化したため、当局は計画停電を命じた。エネルギー消費がさらに増える冬に何が起こるのか、多くの人が心配している。
フランス:
刑務所の看守2人を殺害し、囚人1人を解放した武装した襲撃者の捜索は3週目に入った。容疑者はまだ逃走中である。
ヨーロッパ:
指導者たちは、ヨーロッパ大陸が米国と中国の生産性に追いつけないと懸念している。

ノルマンディ上陸80周年
今日は連合軍がノルマンディーに侵攻したDデイの80周年記念日だ。残された退役軍人の多くは、北フランスの海岸を訪れるのはおそらくこれが最後になるだろう。彼らの数は200人未満。平均年齢は約100歳だ。
その一人が、98歳のビル・ベッカー。彼はアメリカ人の砲手だった。「私は生き延びた」と彼は疲れた笑顔で言った。

2024年6月6日  木曜日

世界の動き 2024年6月5日 水曜日

今日の言葉
「ストックピッキング」
 株式市場から値上がりしそうな株を見つける作業だ。運用会社では、アナリストと呼ばれる人たちが行う作業だ。株式市場全体の利回りを上回り(ベンチマークに勝つ)、リスクを分散するために、従来は多くの株式を選んで(ストックピック)してポートフォリオを組むのが一般的だが、最近は銘柄数を絞る動きが目立つ。
 バンク・オブ・アメリカ(BofA)がまとめたデータによれば、S&P500種株価指数の構成銘柄のうち、昨年に同指数を上回る上昇を記録したのは全体の27%に過ぎず、ベンチマークに勝つという目標は難しさを増している。現在はマイクロソフト、アップル、エヌビディア、アマゾン・ドット・コム、メタ・プラットフォームズの5大ハイテク企業が同指数の4分の1余りを占めており、その影響力が増すばかりだからだ。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.モディ氏が勝利、しかし与党は議席減
【記事要旨】
 インドのナレンドラ・モディ首相は昨日、3期目の就任を宣言した。しかし、初期の結果では同党が予想よりはるかに僅差で勝利したことが示唆されている。モディ氏を取り巻く無敵の雰囲気は打ち砕かれた。
 モディ氏のインド人民党は依然として最多議席を獲得するが、過半数には至らない。連立政権を樹立するには、小規模な政党との連立が必要になるだろう。この結果は、インド人民党にとって意外な後退だった。
 主要野党であるインド国民会議は予想以上に好調だった。同党は、過去2回の選挙で大敗した後、取り返しのつかないほど弱体化したと多くの人に見られていた。国民会議とその同盟は、失業、社会正義、首相とインドの億万長者のつながりなどの問題を利用して、モディ氏に対する差を狭めた。
 背景: モディ氏は、初代首相のジャワハルラール・ネルー氏に続いて、3期連続で政権に就く2人目のインド指導者となる。モディ氏は昨日、これを「インド史上の偉業」と呼んだ。
 経済: 結果が明らかになるにつれ、インドの株式市場は急落した。昨日の取引終了時点で、市場は6%下落し、今年の上昇分をほぼ帳消しにした。
【コメント】
 絶対権力者のイメージが崩れた。インド全体では経済成長を達成しているが、その恩恵にあずかれない人が多数いることの現れだろう。物価や失業率の上昇に苦しむ国民にどのように対応してゆくか、連立政権のかじ取りが注目される。

2.ウクライナが失ったもの
【記事要旨】
 第二次世界大戦以降、ウクライナほどの荒廃を経験した国はほとんどない。これまでは規模が大きすぎて、一度に見ることはできなかった。
 NYタイムズの同僚は、破壊の全体像を初めて包括的に公表した。何年にもわたる衛星データの詳細な分析を使用して、吹き飛ばされた町、通り、建物の記録を作成した。マリンカ市など、住民が一人も残っていない場所もある。多くの人々が家だけでなく、コミュニティ、歴史も失った。
 破壊の規模:ウクライナでは、マンハッタンのすべての建物を4回破壊した場合よりも多くの建物が破壊された。ウクライナの一部は、第二次世界大戦後のドレスデンやロンドン、あるいは半年間の爆撃後のガザのように見える。
 HIMARS:ウクライナ当局者は、ウクライナは米国製のロケットシステムを使用してロシア国内のミサイル発射装置を破壊したと述べた。この攻撃は、米国がウクライナに許可を与えた直後に行われた。
【コメント】
 すさまじい規模の破壊が行われたことがわかる。これが一人の指導者の狂気から始まったと思うと恐ろしいことだ。この指導者を何とかしないと停戦は実現しない。

3.イスラエル、シリアでイランの将軍を殺害
【記事要旨】
 イスラエルのシリア空爆で、顧問としてシリアにいたイランの将軍が死亡したとイランのメディアが報じた。4月にイスラエルがシリアのイラン大使館を爆撃し、両国が戦争寸前になって以来、イスラエルに殺害された最初のイラン人と思われる。
 イランは現在、先月の大統領の死に端を発した指導部危機に巻き込まれており、イスラエルへの新たな攻撃の波は起こりそうにない。殺害されたのは革命防衛隊のコッズ部隊のメンバー、サイード・アビヤル将軍と特定された。
 ガザ:バイデン大統領はタイム誌のインタビューで、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相が権力の座にとどまるために戦争を長引かせていると示唆した。
【コメント】
 イスラエルは米国からの圧力をものともせず、独自の軍事活動を展開している。ガザ停戦も遠のく。

その他の主要記事
亡命:
 バイデン大統領は、亡命希望者に対して米国とメキシコの国境を一時的に封鎖する大統領令を発令した。即時発効する可能性がある。
フランス:
 バイデン大統領は本日から訪問を開始する。ウクライナ防衛のために米国の同盟国を結集させようとするが、ガザ戦争では同盟国と対応が異なる。
米国:
 ルイジアナ州議会は、児童性的虐待で有罪判決を受けた人々に去勢手術を命じる法案を可決した。
ブラジル:
 科学者らによると、気候変動が最近の洪水を悪化させた。豪雨で少なくとも172人が死亡し、50万人以上が避難した。
OpenAI:
 現従業員と元従業員のグループは、同社が自社の技術が(人類にとって取り返しがつかないほど)危険になるのを防ぐ対策を十分に講じていないと警告した。
ドイツ:
 週末の大雨による洪水で、町は非常事態を宣言し、住民を避難させた。
新型コロナウイルス:
 米国では「FLiRT」変異株として知られる新しい株が広まっているが、救急外来受診や陽性検査はわずかに増加しているにすぎない。
音楽:
 ヒップホップ界の大物ショーン・コムズは、自身が設立したメディア企業リボルトの過半数株式を売却した。コムズは性的虐待や身体的虐待の容疑が相次いでいる。
野球:
 大谷翔平の元通訳が賭博スキャンダルをめぐる銀行詐欺と脱税の容疑で有罪を認めた。通訳は野球界のスターから数百万ドルを詐取したと告発されていた。

2024年6月5日 水曜日

世界の動き 2024年6月4日 火曜日

今日の言葉
「魚は頭から腐る」
自動車の型式認定でトヨタ、ホンダ、スバル、スズキ、ヤマハ発動機が不正をしていたことが判明した。ダイハツ、トヨタ自動織機で納まっていたかと思ったら、日本を代表する自動車業界全体に不正が広まった。国際的に日本の製造業の大きなイメージダウンにつながる。
トヨタの豊田会長は認証制度の複雑さを指摘しルール全体を理解しているひとは一人もいないと説明しているが、言い訳にはならない。ルールに不備や曖昧さがあるなら、それを正すようにメーカー側が働きかけることが可能だったはずだ。
法律を少しぐらい犯しても問題ないという考え方が、政治から製造業へ広がったと思えてならない。
政治から始まった腐敗が全身に広がりそうだ。日本と言う国の終わりの始まりにならなければ良いのだが。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.メキシコ初の女性大統領が選出
【記事要旨】
気候科学者で元メキシコ市長のクラウディア・シェインバウム氏が選挙で圧勝し、メキシコの次期大統領に就任する。同氏は女性初の大統領、そしてユダヤ人初の大統領となる。
​​ 左派のシェインバウム氏は、初期の開票結果で、対立候補を30パーセント以上の大差で破っていた。開票はまだ続いている。
彼女の勝利は、メキシコ国民の大半が自国の方向性に満足していることを示している。シェインバウム氏(61歳)は、現大統領アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール氏の後継者に選ばれた。
次なる課題:シェインバウム氏の次のハードルは、ロペス・オブラドール氏の影から抜け出すことだ。シェインバウム氏は、2人は「異なる人物」だと指摘するが、ロペス・オブラドール氏の遺産を確固たるものにすると約束して有権者にアピールした。
地域:ラテンアメリカには、かつては独裁政権の支配下にあった民主主義国家に、十数名の女性指導者が誕生した。
【コメント】
シェインバウム氏の経歴だ。
「母方の祖父母はユダヤ系で、ナチスから逃れてブルガリアからメキシコに移住した。父方の祖父母はリトアニア出身。
両親はともに科学者で、シェインバウム氏も物理学を学び、エネルギー工学の博士号を取得した。
米カリフォルニアの有名な研究所で、メキシコのエネルギー消費のパターンを研究し、気候変動の専門家になった。
その経験と学生時代の活動により、ロペス・オブラドール氏がメキシコ市の市長だった時に、同市の環境部門のトップに就いた。
2018年にはメキシコ市初の女性市長に。昨年、大統領選への立候補のため辞任するまで務めた。」
とても知的な風貌もなるほどと思える経歴だ。
メキシコでは犯罪の増加が市民生活を脅かしており、どのような対策を取るかは大きな課題だ。

2.バイデン大統領、亡命制限を計画
【記事要旨】
バイデン大統領は本日、米国とメキシコの国境を移民に対して一時的に封鎖することを認める大統領令に署名するとみられる。この措置により、米国内の亡命希望者に対する保護が停止される。
この大統領令は、11月の大統領選挙を前に不法移民問題に取り組むよう強い政治的圧力にさらされているバイデン氏が導入した国境政策の中で最も厳しいものとなる。また、この大統領令は、民主党から非難され連邦裁判所によって阻止されたドナルド・トランプ氏の2018年の移民阻止の取り組みを彷彿とさせる。
詳細:この大統領令により、国境警備官は移民が亡命を申請するのを防ぎ、国境通過が一定基準を超えるとすぐに移民を追い返すことができる。
【コメント】
バイデンのトランプ化だ。支持率を少しでも上げようという動きだろうが、本来の支持者に失望を与え、トランプにこれまでのバイデン政権の政策を揶揄させる失策だと見る。

3. ネタニヤフ首相、内閣の崩壊阻止に努める
【記事要旨】
イスラエル政府の極右メンバー2人は、ベンヤミン・ネタニヤフ首相がハマスを排除せずにガザでの戦争を終わらせる停戦協定を受け入れた場合、与党連合を打倒すると脅した。
国家安全保障大臣のイタマール・ベン・グビル氏と財務大臣のベザレル・スモトリッチ氏にとって、停戦提案はハマスの壊滅を保証するには不十分だ。彼らが支持を撤回すれば、政権は倒れる。バイデン大統領は金曜日、今回の停戦協定の概要を説明し、イスラエルが提案したと述べた。
ネタニヤフ首相は昨日の非公開会議で議員らに対し、この提案は、ガザでのハマスの支配を終わらせずに戦争を終わらせることはないと保証した。「我々の条件が満たされないまま停戦に同意したという主張は誤りだ」と同氏は述べた。
人質:イスラエル軍は、10月7日に拉致された人質4人が「もう生きていない」と述べた。イスラエル軍報道官は、男性らは「数か月前」、イスラエル軍が同地域で作戦していた際に、ガザ地区中央部のハンユニス近郊で一緒に殺害されたとみられると述べた。
【コメント】
毎日の変化に一喜一憂する報道が続いている。ハマスの壊滅無しに停戦はない。

その他の主要記事
インド:
総選挙の結果発表に向け準備を進める中、猛暑によりデリー地域で水不足が発生している。
米国:
バイデン大統領の息子ハンター・バイデン氏は、2018年に連邦銃器申請で薬物使用について虚偽の申告をしたとして3つの罪で公判にかけられた。
英国:
ブレグジットの推進役であるナイジェル・ファラージ氏は来月国会議員選挙に立候補すると述べ、リシ・スナク首相の見通しに新たな打撃を与えた。
ミャンマー:
与党軍事政権との戦いで重要な勢力であるアラカン軍は、イスラム教徒の少数民族ロヒンギャ族を迫害していると非難されている。
ネパール:
メディア幹部の逮捕により、南アジアにおける言論の自由の拠点としての同国の地位が脅かされている。
新型コロナウイルス:
アンソニー・ファウチ博士は、パンデミックが研究所で発生した可能性を隠蔽しようとしたという共和党の主張を「完全に誤り」として強く否定した。
政治:
ドナルド・トランプは大統領時代に禁止しようとしたTikTokに参加した。彼は若い有権者にアプローチしようとしている。

ビジネス
日本:
トヨタ自動車、ホンダ自動車など日本の自動車メーカーの内部調査で、過去10年間に数十車種の車両試験を不適切に行っていたことが判明した。
メディア:
ワシントン・ポスト紙の編集長サリー・バズビー氏が退任する。米国の有力報道機関にとって、これは大きな突然の人事異動となる。
カナダ:
雨量と降雪量の少なさにより、カナダの水力発電量が減少しており、米国からの電力輸入を増やさざるを得ない状況となっている。

2024年6月4日 火曜日