日経平均4万円越えはバブルか?

 やっとバブル期の最高値を更新した日経平均だが、TVの報道では否定的な見方が強い。
 曰く、日々の物価高に苦しむ庶民とは関係ない。株式投資が出来る一部上流階級が潤うだけだ。日銀が日本株のETFを大量に保有しており株価は剥落する可能性が高い。
 そうだろうか。
 去年9月末の日銀の報告では、日本人が持つ金融資産のうち預貯金の割合は52.5%だ。株式が30.4%、投資信託が17.4%になっている。新NISAの普及で、平均的な日本人が持つ株式の割合は上がっている。
 株価の水準は株式益回りで見ると良くわかる。
 株式益利回りとは、1株当たり税引利益(1株当たり純利益)を株価で割ったもので、株価の割安性を表す指標だ。 これは株価収益率(PER)の逆数(1/PER)となり、通常、PERが低いほど株価が割安とされるのに対し、株式益利回りは高いほど株価が割安と判断される。
 3月8日現在の日経平均株価のPERは16.86で株式益回りは1/16.86=5.93%になる。つまり、株への投資からもたらされる利回りは5.93%ということで、これは現在募集中の5年国債の0.33%という利回りに比べていかに高いか(つまり株価が如何に安いか)を示しているのだ。
 金利の正常化を進めていない我が国では、バブルなのは債券であって、株式は断じてバブルではないと言える。
 インフレへの対抗策として株式への投資をクレバーに行う必要がある。良い企業を見極め、悪い企業には手を出さない智慧が今こそ必要だ。

2024年3月10日 日曜日

「東京都同情塔」を読んで

 文芸春秋の芥川賞発表号を購入した。受賞作の「東京都同情塔」を読みたかったからだ。評価は高いようだ。エドワード・ホッパー風のビルの絵が描かれた新刊本は書店で平積みになっている。

 期待を以って読み始めたが、最初の方に出てくる主人公がレイプされたかされなかったかと言う議論の部分で引っかかった。この話はその後の小説の展開に必要なのだろうか。私にはあざといプロットにしか読めなかった。

 その後、日本語と西洋語による言葉の定義についての議論が続くが、ここも共感できなかった。副主人公として出てくる男性の役割にも理解が及ばなかった。

 一応最後まで読んだが、ここ数年芥川賞受賞作に感心したことは無い。もうフィクションに感動できないほど感性が劣化してしまったのだろうか。

2024年3月9日 土曜日

世界の動き 2024年3月8日 金曜日

今日の言葉:
「原価低減ー原低」
 日産自動車の下請けいじめが公正取引委員会に指摘されている。思い出すのは日産自動車での大規模な原低だ。
 1999年にカルロスゴーンが日産自動車のCOOに就任し業務改革に取り組んだ際に打ち出したのは、「日産の子会社は3社以外はすべて売却対象だ」「生産コストを3割削減する」という大号令だった。
 当時私は投資ファンドのCFOをしていた。そのファンドは日産の子会社を買収し、私はその会社の監査役をしていた。会社の経営陣から聞いたのは日産の熾烈な原低要求だった。
 毎年3割の価格低下が求められる。それに対抗するために毎年新製品を出して価格を維持する努力を続けていた。
 当時カルロスゴーンは日産改革のヒーローだった。公取はこうした明白な下請けいじめには、当時目をつぶっていたのだろうか。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.米国はガザへの新たな援助路の構築を計画
【記事要旨】
 米当局者らによると、バイデン大統領は一般教書演説で、ガザ住民に食料やその他の援助物資を船で届けるために米軍がガザ沖に浮き桟橋を建設すると発表する予定だという。
 桟橋の建設には、数百人または数千人の米軍兵士が沖合の船舶に参加し、地域の他国と協力して建設される予定だ。 イスラエルがこの取り組みに参加するかどうかは不明だ。 現在、援助物資がガザに入ることができるのは南部の陸路2か所を経由することだけだ。 当局者らは昨日、北部にある3番目の陸路が間もなく開通する可能性があると述べた。
 しかし、海から援助を届けることは、中心的な問題を直接解決するものではない。南部では依然として激しいイスラエルの砲撃と地上戦が続く中、援助トラックは自由に移動できない。 また、搬送に伴う混乱にも対処できない。 先週、救援車の輸送隊が絶望的なガザ住民に襲われ、イスラエル兵が発砲し、混乱で多くの人が踏みつけられ、100人以上が死亡した。
 国際司法裁判所で:南アフリカは国連最高裁判所に対し、イスラエルに対しパレスチナ人の「大量虐殺的飢餓」と呼ぶものを止めるよう緊急命令を出すよう要請した。
 交渉:ハマスの交渉担当者らは昨日、ガザ地区の停戦を巡る交渉の進展が見られないままカイロを出発したと同団体は述べた。 イスラエルとの差し迫った停戦への期待は薄れ続けている。
【コメント】
 ガザの海側は大きく空いているが桟橋設置のアイデアは何故これまで出てこなかったのだろうか。休戦はますます望み薄になった。

2.バイデン氏、一般教書演説へ
【記事要旨】
 バイデン大統領は数時間以内に一般教書演説を行う予定で、これが本選挙前に米国国民に演説する最良の機会となる可能性が高い。 これは厳密には選挙演説ではないが、1期目の最後の年にあるアメリカ大統領にとって、年次演説は再選への取り組みのキックオフとなる。
 タイムズ紙で政治記者は、「多くの有権者にとって最大の疑問は、81歳の彼があと4年間その職に就くことができるかどうかということだ」と語る。 「秋にドナルド・トランプ氏と討論するまで、一般教書演説が最大の聴衆を集めるだろう。 民主党はこの演説で精力的でエネルギッシュな大統領を期待している。」
 バイデン氏の最も重要なメッセージは、おそらく彼のライバルであるトランプ氏が民主主義に対する深刻な脅威であるということであると予想される。 バイデン氏はまた、2期目の計画を打ち出し、経済はそれほど悪くないことを米国民に説得しようとするとみられている。 インフレは低下し、失業率は低く、株式市場は好調だ。 しかし、タイムズ紙とシエナ大学の最近の世論調査によると、登録有権者の約半数が経済は「悪い」状態にあると考えている。
 歴史: 一般教書は不和を象徴するものとなった。 以前はそうではなかったが。
【コメント】
 今まで一般教書演説を聞いた事は無かったが、今回は注目して聞きたい。トランプとの対抗軸を明確に打ち出すのは良いが、年齢は覆いようがない。どのように対策するのだろか。演説中にフラッとしたりしたら致命的だ。

3.記録上最も暑い2月
【記事要旨】
 先月は世界中でこれまで記録された中で最も暑い2月となり、9か月連続で暑さ記録が樹立された。 分析によると、多くの場所で温暖化の原因となったのは化石燃料の燃焼だった。
 さらに驚くべきことに、2月の世界の海洋温度は年間を通じて最高値を記録したことがEUの気候監視組織によって判明した。
 これら2 つの数字は、明白に温暖化している世界を描き出している。
【コメント】
 日本は暖冬で無かったので一丸暑い2月の実感はないが、世界ではそうなっていたのかと思う。南半球の夏が暑かったのかもしれない。

その他記事より:
・グーグルから中国へ技術流出
 U.S. prosecutors charged a former Google engineer with stealing A.I. secrets and uploading them to a company based in China.
・中国は太陽光パネルで席捲
 China dominates solar energy. Last year, it installed more solar panels than the U.S. has in its history and cut the panels’ wholesale price by nearly half.
・米国ウクライナ間で不協和音
 U.S. and Ukrainian officials are frustrated with each other. Ukraine wants more aid; the U.S. wants it to heed American advice on how to fight.

2024年3月8日 金曜日

世界の動き 2024年3月5日 火曜日

今日の言葉:
「チェルシーChelsea」
 1971年(私が大学に入った年だ)から販売され、CMソングが今でも思い出される明治のキャンディーが3月いっぱいで販売終了だという。
 さくまドロップスの製造中止の際もそうだったが、いま欠品状態で、ヤフオクでは高値で取引されているそうだ。
 もう少し早くから消費者が見直していれば、明治も販売終了に追い込まれることは無かったと思われる。
 「閉店セール」を繰り返す飲食店ではないが、販売の促進策があったかもしれない。無くなるとわかると急に欲しがる消費者の気持ちの綾が面白い事象だ。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.最高裁判所はトランプ氏が選挙戦に留まることができるとの判決を下した
【記事要旨】
 連邦最高裁判所は、全米の投票用紙からドナルド・トランプ氏を剥奪することで選挙戦をひっくり返す恐れがあった同氏の資格に対する異議申し立てを棄却し、各州はドナルド・トランプ氏の次の大統領選への出馬を妨げることはできないとの判決を下した。
 この訴訟は、1860年代の南北戦争後に採択された、反乱分子が公職に就くことを禁じる憲法修正第14条の条項を中心に争われた。 コロラド州の有権者が提起した異議申し立ては、この条項に基づいて同州の共和党予備選の投票からトランプ氏を剥奪することを求めたものだった。
 裁判官はそれぞれ異なる理由を提示したが、判決は全会一致であった。 彼らの誰も、トランプ大統領が反乱に関与したかどうかについて立場をとらず、代わりに法的問題に焦点を当てた。 裁判官5人の過半数は、各州は国民の州職の資格を剥奪することができるが、連邦公務員および候補者に対して憲法修正第14条の規定を強制する責任があるのは議会だけであると述べた。
 トランプ大統領は保守系ラジオ番組のインタビューで、今回の判決に満足していると述べた。 「9対0の投票でとても光栄に思いました」と彼は語った。 「これは将来の大統領のためのものであり、私のためのものではありません。」
 大統領選挙の重要な一週間: 今日はスーパーチューズデーで、多くの州で予備選挙が行われます。 木曜日にはバイデン大統領が一般教書演説を行う予定だ。 トランプ陣営とバイデン陣営はともに、今が次の本選挙の行方を決める重要な時期だとみている。
【コメント】
 「彼らの誰も、トランプ大統領が反乱に関与したかどうかについて立場をとらず」と言うのが、理解できなかった。トランプの扇動が国家に対する反乱かどうかの判断を最高裁判事たちは避けたということだ。日本の最高裁の憲法裁判の判決に似ている。
 トランプのしたり顔が目に浮かぶ。「もしトラ」は「ほぼトラ」になりつつある。

2.フランスは中絶を保護
【記事要旨】
 フランスは昨日、中絶へのアクセスを憲法に明記した最初の国となった。 この修正案は、2022年にロー対ウェイド事件を破棄するという米国最高裁判所の判決をきっかけに行われたもので、フランスにおける中絶に対する広範な支持を反映している。
 この修正案では、中絶は「自由の保証」であると宣言された。 つまり、将来の政府は、待機期間や必要なカウンセリングなしで妊娠14週までの中絶に資金を提供する現行法を「抜本的に修正」することはできないだろう。 議員らは780対72で修正案に賛成票を投じた。
 「私たちはすべての女性にメッセージを送ります。あなたの体はあなたのものであり、あなたの代わりにそれをコントロールする権利は誰もありません」とガブリエル・アタル首相は述べた。
 政治: 米国とは異なり、フランスでは中絶は政治的に非難される問題ではありません。 そこの人々のほとんどは、中絶は基本的な公衆衛生サービスであり、女性の権利であると信じています。
【コメント】
 日本ではどうか。医師会のHPより。「人工妊娠中絶は、堕胎にあたり、堕胎は刑法 上の犯罪である。 医師、助産師、薬剤師又は医薬 品販売業者が堕胎させたときは、業務上堕胎罪と して、女性の同意がある場合でも 3 月以上 5 年以 下の懲役に処せられる。 母体保護法は、一定の人 工妊娠中絶を合法化している。 「指定医師」のみ が人工妊娠中絶を行うことができる。」
 クリニックのHPには「手術ができる時期は、母体保護法によって妊娠22週未満(妊娠21週と6日まで)と定められています。 それ以降は母体にかかるリスクの大きさや倫理的な問題から、中絶手術は認められていません。 妊娠6~9週の初期中絶が母体にかかるリスクも低く、妥当な時期とされています。」とある。
 そうか。日本では原則禁止なのだとわかる。この原則は全く無視されているのだが。

3.10月7日の襲撃事件における性的暴行の申し立てに関する国連の報告書
【記事要旨】
 昨日発表された国連報告書は、ハマス主導の10月7日のイスラエル攻撃中に女性に対して性的暴力があったと信じる「合理的な根拠」があるとし、ガザ地区で拘束されている人質も暴行を受けていた証拠を発見したと述べた。
 報告書はまた、同チームが、拘留中およびヨルダン川西岸でのパレスチナ女性への暴行にイスラエル治安部隊と入植者が関与しているとするパレスチナ当局者の主張を聞いたと述べた。 報告書は国連当局者による全面的な調査を求めた。
 ワシントンでは、カマラ・ハリス副大統領がイスラエル閣僚高官ベニー・ガンツ氏との会談で戦闘の一時停止を迫るとみられる。
【コメント】
 いつも被害を被るのは女性と子供だ。停戦は実現しそうもない。

その他の記事より:
・中国は全人代での首相報告を削除
 China scrapped the premier’s annual news conference. The surprise move breaks with decades of tradition and comes as the top leader, Xi Jinping, consolidates power.
・アップルにEUで制裁金
 The E.U. fined Apple almost $2 billion for using its App Store to thwart competition.

(これを受けて株価は7%下げている)
・日本の人種差別
 Japan is facing its first lawsuit about systemic racial profiling, which experts say is prevalent but often unnoticed by the public.
(BBCが詳しく報道している。
 「東京で1月29日、外国生まれの日本在住者3人が、日本の警察から人種差別的な扱いを受けたとして、国などに賠償を求める裁判を起こした。
 3人は、外見を理由に警察官から繰り返し職務質問され、苦痛を受けたとしている。
 人種や肌の色、国籍などを理由に職務質問や取り調べの相手を選ぶ行為は、「レイシャル・プロファイリング」と呼ばれる。
 訴訟では、日本の警察によるこうしたレイシャル・プロファイリングは人種差別行為で、憲法違反だとして、国と東京都、愛知県に対し、原告1人につき300万円の損害賠償などを求めている。」)

2024年3月5日 火曜日