サブプライムローン問題の一側面(その2)

今日、米国のTurnaround Management Association(事業再生士協会)http://www.turnaround.org/の理事から聞いた話です。

「米国の住宅ローンの残高は6兆ドル。そのうちの1兆ドルがサブプライム。サブプライムのうちの80%が変動金利物で、そのうちの半分は金利のアジャスト期日が14ヶ月以内にやってくる。本格的な金融市場への影響が現れるのは2009年になってからだろう。」

改めて考えさせられるのは米国の住宅ローン市場の巨大さです。1ドル120円換算で、720兆円もあります。サブプライムが120兆円。サブプライムのデフォルト率が20%と言われていますが、14ヶ月以内の金利アジャストで、もっと高まることでしょう。シニアはまだ数%のデフォルト率で止まっているようですが、これも上昇してゆくことでしょう。

米国の政府・金融当局は、「影響は軽微。すべてアンダーコントロール」と言っていますが、2000年代の初め、日本の政府も、金融危機について同じような発言をしていました。今後の行方を注視しましょう。

サブプライムローン問題の一側面

サブプライムローン問題であまり論じられていない側面について2点述べてみたい。

米国に通算9年弱住んだ経験から言うと、米国人の多くにも、日本人同様の持ち家志向がある。家を買って気に入った地区に住み始めて、より良い家が売りに出ると、良い家に買い替えする人が多い。持ち家での上昇志向がある。住環境の整った、良い学校のある有名なエリアに誰もが住みたがる。

ポイント1

サブプライムローン問題は、持ち家志向のチェーンの一番弱い部分が破壊されることを意味する。今まで持っていた家を買ってくれる人がいたからより良い家に住み替えることがこれまでは出来た。今後はそうした動きの底辺がなくなるので、通常のローンで住宅を買う層にも影響が出るのは不可避と思われる。

ポイント2

ニューヨーク郊外に住むある米国人インベストメントバンカーの話。

昨年まで米国のインベストメントバンカーは巨大なボーナスを得て住宅を買っていた。今年はボーナスが急減するであろう。そうすると、これまで下落は免れていたニューヨーク郊外の有名住宅地の住宅価格もさすがに下落を始めるのではないか。

ポイント1.2.から導かれる結論としては、「サブプライムに問題はとどまらない。シニアローンを含めた米国の住宅ローン市場とその金融・株式市場への影響は大」ということです。