世界の動き 2024年8月5日 月曜日

今日の言葉
「黒の舟歌」
 大昔、野坂昭如が歌っていた。「男と女の間には深くて暗い河がある・・・」と言う歌だ。 人類学的には男女の区別はそれほど明確ではないらしい。
 パリオリンピックで二人の女子ボクシング選手のメダル獲得が確実になった。一人は性転換した人、もう一人は遺伝子的に確実に女性とは言えない人だ。
 オリンピック委員会と国際ボクシング協会の男女の判定の基準が分かれていることが事情を複雑にしているようで批判を浴びている。
 ルールが統一されていないのはビジネスの世界でもよくあることで、生き方は二つある。
 1.ルールを決める側に回ること
 2.自分に有利なルールの世界で生きること
 いずれにしてもビジネスでは舟を漕ぎ続けるしかない。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.報復を待つイスラエルの緊張
 紛争拡大の恐れから、多くの国際航空会社が、イスラエル便を運休した。英国、カナダ、フランス、米国は、自国民にレバノンから直ちに退去するよう促した。
 この動きは、今週初めにベイルートでヒズボラの上級司令官が、テヘランでハマスの政治指導者が殺害されたことを受けてのものだ。イスラエルには多くの紛争を鎮める明確な計画がないとの印象が強まっている。
 衝突は週末を通して続いた。ガザ市の避難所として機能していた学校へのイスラエルの空爆で、少なくとも30人が死亡、さらに数十人が負傷した。イスラエルは、攻撃はハマスの「指揮統制センター」を標的にしたと述べた。
 イスラエルのハマスに対する戦争は、ガザ地区のパレスチナ人がこれまでに直面した中で最も致命的なものだが、ハマスが生き残れば、政治的に強くなることを可能にする象徴的な勝利となる可能性がある。
【コメント】
 イスラエルはこれまで巧みにモグラ叩きを続けてきたが、今やモグラが多すぎて手が回らなくなりそうだ。

2.ミャンマー軍事政権、空爆を加速させるために制裁を回避
【記事要旨】
 ミャンマー軍は地上で反政府勢力を倒すことができず、民間人への無差別爆撃を増やしている。軍事政権は最近、結婚式と寺院を爆撃し、約60人を殺害した。
 攻撃の激化は、政権の爆撃機、戦闘機、ヘリコプターの飛行に必要なジェット燃料の流入を阻止することを目的とした制裁をミャンマーが回避していることを示している。
 攻撃は犠牲をもたらしたが、反政府勢力は引き続き勢力を伸ばしている。ここ数週間、反政府勢力はシャン州の刑務所を占拠し、数百人の政治犯を解放した。また、国の反対側では、別の反政府軍がラカイン州の民間空港を占拠した。
【コメント】
 ニュースは五輪一色で、アジアのこの辺の報道は全くない。ベトナムからミャンマーに技能実習生の供給国が変わって来ていると聞くが、かの国の状況はどうなっているのだろうか。

3.ハリス氏、副大統領候補を絞り込む
【記事要旨】
 カマラ・ハリス副大統領は、副大統領候補として少なくとも3人の有力候補、アリゾナ州のマーク・ケリー上院議員、ミネソタ州のティム・ウォルツ知事、ペンシルベニア州のジョシュ・シャピロ知事と会談し、明日は激戦州を回る予定だ。
 ハリス氏とドナルド・トランプ氏は、アリゾナ州、ミシガン州、ペンシルベニア州でほぼ互角で、ジョージア州とウィスコンシン州ではトランプ氏がわずかにリードしている。
 トランプ氏は、証拠もなく、ジョージア州の共和党知事が激戦州で勝利するための自身の取り組みを妨害していると示唆しました。
 トランプ氏の副大統領候補であるJD・ヴァンス氏は、憲法の限界を試したいと率直に述べている。
【コメント】
 もう選挙まで100日を切った。これからがバックストレッチでのデッドヒートになるだろう。

その他の記事
バングラデシュ:
 政府は反政府運動の拡大を抑えるため新たな規制を課し、治安部隊とデモ隊の衝突で少なくとも70人が死亡した。
英国:
 北部の町サウスポートでの大量刺傷事件を受けて、複数の都市で暴力的な反移民抗議デモが勃発。
ロシア:
 先週の囚人交換で釈放された囚人のうち2人は潜入スパイで、その子供たちは家族がロシアと関係があることを知らなかった。

2024年8月5日 月曜日

リベンジする

 オリンピックで敗れた選手の弁で「次はリベンジする」という発言を良く聞く。例えば、競泳の池江璃花子選手、柔道の阿部詩選手がそうだった。

 池江選手は、インタビューではそう発言していたし、SNSに『4年後、リベンジしに帰ってきます』と投稿したそうだ。
 阿部選手は、団体で銀を獲得した後に、個人戦で次回オリンピックではリベンジしたいと発言していた。

 revengeという言葉を調べるとthe action of hurting or harming someone in return for an injury or wrong suffered at their hands.となっている。
 日本語にすれば、「与えられた傷に対し復讐する、相手を傷つけて報復する」という、とても嫌な言葉で、私はこの言葉を日本の女子選手から聞くと、穏当でない印象を受ける。

 再度挑戦したいと言うか、和製英語を使うなら、又チャレンジしたいというのが妥当な表現だ。

 選手や競技団体に、妥当と思われる言葉を使用することを望みたい。「リベンジ」は血生臭さすぎる言葉だ。

2024年8月4日 日曜日

質への逃避

 日銀の日銀の金利引き上げの動きと黒田総裁の不明確な記者会見での発言、さらに米国での弱い雇用統計の発表を受けて、東証は金曜に35,909.70円へと−2,216.63円 (5.81%)下落した。

 日経新聞はこれを「質への逃避」と言う言葉で説明している。大和証券の用語集によれば、この言葉の意味は以下だ。
 『経済に大きな影響が及ぶ事案が発生し、先行きへの不安が高まった際に、運用資産を相対的にリスクが低く、流動性の高い資産に移す動きが強まること。
 株式を売って国債や金を買う、新興国の通貨からドルや円にシフトするといった現象です。「フライ・トゥ・クオリティ」とも言います。』

 識者の意見は2分している。今回の下げが本格的な相場の調整に移行するという弱気派と、早晩安定するという強気派だ。
 筆者は強気派で、株式市場はすぐに回復に向かうと見る。これは筆者の株式投資のマネジャーとしての経験から導かれる結論だ。

 私の経験では運用を受託するファンドマネジャーは運用を委託する会社(企業年金、生保、投信委託等)との間で、運用対象を取り決めている。株式投資の場合、株式以外の資産に運用できるのは多くて10%程度だ。だから、一時的に現金や債券の持ち高を増やしても、早晩、株式に振り向けざるを得ない。
 株式の中でリスクの高いと思われる(PERが極めて高い、βが高い、ボラティリティが高い)銘柄から、その反対の銘柄に乗り換えるぐらいが、ファンドマネジャーの出来ることだ。

 資金は株式市場に滞留する。従って、早晩株式市場が復活するのは間違いない。

2024年8月3日 土曜日

世界の動き 2024年8月2日 金曜日

今日の言葉
「DIME」
 DIME (安全保障) – 国家戦略を考える際に重要となる、外交(Diplomacy)、インテリジェンス(Intelligence)、軍事(Military)、経済(Economy)の4要素を組み合わせた国家の安全保障の基本戦略だ。
 最近の我が国を見るとMだけが突出しているように見えるのが懸念される。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.ロシア、大規模な囚人交換でエヴァン・ガーシュコビッチを解放
【記事要旨】
 昨日、7カ国が関与する大規模な囚人交換により、ロシアで拘束されていたウォール・ストリート・ジャーナルの記者エヴァン・ガーシュコビッチと他の2人のアメリカ人、およびロシアの反体制派の人物数名が解放された。
 これは、ロシアと西側諸国の間で数十年ぶりに行われた最も広範囲な交換だった。
 西側諸国政府は、ベルリンでチェチェンの元戦闘員を暗殺した罪でドイツで終身刑を宣告されていたヴァディム・クラシコフを含む8人を釈放した。
 ロシアは、人権団体メモリアルの共同議長オレグ・オルロフ、独房からワシントン・ポスト紙に寄稿したコラムで今年ピューリッツァー賞を受賞したウラジミール・カラ・ムルザ、同じく投獄されていた著名な反体制派指導者イリヤ・ヤシンを含む16人の囚人を釈放した。この交換で解放されたのは、米国、ドイツ、ポーランド、スロベニア、ノルウェー、ロシア出身の24人の囚人だ。
 ロシアにとって、この取引の要はクラシコフの解放であり、これはウラジミール・プーチン大統領が長い間求めていたことだ。何故か。
「ロシアは2006年に、モスクワが過激主義やテロ行為で告発した者たちを国外で超法規的に殺害することを正式に認める法律を可決した。だから、クレムリンの目には、ロシアがテロリストとみなしたチェチェン分離主義指導者をベルリンでクラシコフが暗殺したことは正当だったのだ。さらに、クラシコフは、プーチンがキャリアの大半を過ごしたKGBの後継機関であるFSBのエージェントだったため、自分の仲間を救出するという要素もあった」とタイムズの同僚は語る。
 バイデン大統領はホワイトハウスで、ゲルシコビッチ氏や他の釈放囚人の親族に囲まれて、囚人たちが「もうすぐ家に帰れる」ことを願っていると述べた。
【コメント】
 WSJの記者が解放されたのは朗報だが、ロシアのテロリストも解放されるのは問題だ。
 多くの日本人が中国で拘束されているが、解放するには、日本も中国人でスパイ容疑の人間を拘束し、交換するのが一つの方法と知れる。

2.イランでハマス指導者を殺害した計画の内幕
【記事要旨】
 タイムズ紙の調査で、ハマスのトップ指導者であるイスマイル・ハニヤが水曜日、彼が滞在していたテヘランのゲストハウスに2か月前に密かに持ち込まれた爆発物によって暗殺されたことが判明した。爆発物は午前2時ごろ遠隔操作で起爆された。
 このゲストハウスはイスラム革命防衛隊によって運営・警備されており、ハニヤはテヘランを訪れた際に何度かここに滞在していたと中東当局は述べた。イスラエルは殺害の責任を公に認めていないが、イスラエルの情報当局は事件直後に米国および他の西側諸国政府に作戦について説明した。
 イスラエルはまた、10月7日の攻撃の主要計画者の1人と考えられているハマスの武装組織の指導者、ムハンマド・デイフを殺害したと本日主張した。イスラエル軍は、情報機関による評価に基づき、デイフ氏は7月中旬のガザ地区での空爆で死亡したと発表した。
【コメント】
 昨日のコメントを繰り返す。「歯には歯を倍返しで」はイスラエルの国是だ。

3.民主党はハリス氏を正式に指名する手続きを開始
【記事要旨】
 月曜日に終了する予定のオンラインでの点呼が昨日開始され、カマラ・ハリス副大統領が民主党の候補者として正式に選出された。ハリス氏はそれまでに副大統領候補も発表する予定だ。
 代議員らが投票の準備をする中、ハリス陣営と共和党は、ハリス氏の人種的アイデンティティに関するドナルド・トランプ氏の虚偽の主張の影響に対処した。
 ハリス氏は慎重に反撃し、トランプ氏の発言を「いつもの分裂と無礼のショー」と呼んだ。
 トランプ氏の副大統領候補であるJD・ヴァンス氏は、ハリス氏を「カナダで育った偽者」と呼んだ。
 共和党上院議員数名は、ハリス氏のアイデンティティを攻撃するトランプ氏の戦略を批判したが、攻撃の本質については批判しなかった。
【コメント】
 民主党に勢いが出て来ている。

その他の記事
9月11日:
 攻撃の首謀者だと自慢するハリド・シェイク・モハメドを含む、3人の首謀者がグアンタナモ湾で有罪を認めることに同意した。
北朝鮮:
 孤立した北朝鮮が洪水による甚大な被害を報告したことを受け、韓国は人道支援の派遣を申し出た。
パキスタン:
 過去数週間のデモは、政権発足5か月に対する不満を反映しており、国を再び政治的混乱に陥れる恐れがある。

2024年8月2日 金曜日

世界の動き 2024年8月1日 木曜日

今日の言葉
「日銀の金利引き上げ」
 NHKの報道を引用する。
 『日銀は、31日まで開いた金融政策決定会合で、政策金利を0.25%程度に引き上げる追加の利上げを決めました。
 これについて植田総裁は会合のあとの記者会見で「物価が上振れるリスクに注意する必要があり、2%の物価目標の持続的・安定的な実現のために利上げの実施が適切だと判断した」と述べました。』
 景気がやや停滞している時期の利上げには批判も多いが、超円安の改善(利上げ発表後149円台まで円高が進んだ)と金利の正常化の動きを評価したい。ただ、未だに2%の目標の呪縛が残っているのには驚きだ。国民の厚生の増大のために日銀には独自の政策を実行してもらいたいものだ。
 今回の利上げで住宅ローンを抱える世帯の金利負担増加を懸念する声があるが、たった0.15%(0.25-0.10=0.15)の増加が大きな影響を与えるとは考えにくい。住宅ローン控除は0.7%もあり、住宅取得者はいまだに厚遇されている。 

 一方、メガバンクは普通預金金利を0.02%から0.1%に上げるそうだ。このレベルでは外国投信への資金流失にブレーキはかかりにくい印象だ。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.ハマス指導者の暗殺で戦争の脅威
【記事要旨】
 カタールからハマスの政治活動を指揮していたイスマイル・ハニヤ氏は、イランの新大統領就任式に出席するために訪れたテヘランで昨日暗殺された。
 イランとハマスの双方が、イスラエルがハニヤ氏を殺害したと非難した。イランの最高指導者アヤトラ・アリ・ハメネイ師は、ハニヤ氏の暗殺は「厳しい処罰」を招くだろうと述べた。
 殺害がどのように行われたかは不明で、イスラエル軍はハニヤ氏の死についてコメントしていない。ヒズボラは昨日、ヒズボラの上級司令官フアド・シュクル氏が火曜日のベイルート郊外でのイスラエル軍の攻撃で死亡したことも確認した。
「イラン領土でのハマス指導者の暗殺は、ここ数年で最も大胆なイランの防衛突破であり、ベイルートでのヒズボラ司令官への攻撃は、イスラエルにとって戦争開始以来最大のレバノンでの緊張の高まりだ」と、タイムズのエルサレム支局長は述べた。「何が起きてもおかしくないが、4月には、双方は緊張の高まりを避けている。」
 ハニヤはハマスとイスラエルの停戦交渉で重要人物だったが、彼の暗殺は、交渉をさらに遅らせる可能性が高い。
 ハマスの創設メンバーであるハニヤは、イスラエルとの複数の戦争や選挙を通じて同グループを率いたが、彼が、10月7日の攻撃を実行したガザの指導者や軍に対してどの程度の統制力を行使したかは不明だ。
 パレスチナ人の中には、ハニヤ氏の暗殺によって停戦交渉がさらに停滞するのではないかと懸念する者もいる。また、10か月近く戦争に苦しんできた住民にとって、ハニヤ氏の死は問題ではないと言う者もいる。
【コメント】
 イスラエルの暗殺を実行する能力は目覚ましい。何回も言ってきた「小の虫は殺す」と共に、「邪魔者は消せ」というのもイスラエルの国是だ。

2.ベネズエラの選挙結果のサンプルはマドゥロ氏の敗北を示唆
【記事要旨】
 ベネズエラの選挙管理委員会は月曜日、ニコラス・マドゥロ大統領がさらに6年間の在任期間を勝ち取ったと発表した。しかし、主要野党連合に所属する研究者がタイムズ紙に提供した選挙結果の一部は、同氏が30パーセントポイント以上敗北したことを示している。
 研究者らは、この結果は、無作為抽出した1,500人から、国内の投票機の約3パーセントにあたる約1,000台の投票機で作成された紙の領収書から収集されたと述べた。
 以前の選挙で与党の拠点であった地域でさえ、データは有権者がマドゥロ氏からエドムンド・ゴンサレス氏にシフトしたことを示している。サンプルの結果は、独立出口調査の結果と一致している。
 さらに、投票を監視する唯一の独立監視団体であるカーター・センターは、選挙は国際基準を満たしておらず、ベネズエラの法律に違反していると述べた。
【コメント】
 このような調査結果が出ても、国際社会は何も出来ない。経済の破綻した国で国民が出来ることは難民になることだけだ。UNHCRの発表では770万人の難民が発生。世界でも上位5位の難民大国だ。

3.トランプ氏は、攻撃的なインタビューでハリス氏のアイデンティティーを疑問視
【記事要旨】
 全米黒人ジャーナリスト協会の会議で緊張した様子で登場したドナルド・トランプ氏は、カマラ・ハリス副大統領はかつてインド人であると自認していたが、「突然、態度を変えて黒人になった」と虚偽の主張をした。
 世論調査では、ハリス氏を1か月前よりも好意的に見る有権者の数が大幅に増加している。
 共和党は移民問題でハリス氏を攻撃している。
 100人以上のシリコンバレーの投資家がハリス氏を支持すると誓約した。
【コメント】
 トランプは何を批判したいのだろうか。自分にブーメランで帰ってくる恐れが大きい。だんだん彼の支離滅裂さが出てくる印象だ。

その他の主要記事
日本:
 日本銀行は2007年以来2度目の金利引き上げを行い、苦境に立たされていた円を押し上げた。
インド:
 ケララ州の土砂崩れによる死者数は少なくとも144人に上った。190人以上が依然として行方不明。
米国:
 2001年9月11日の同時多発テロ事件との関連で米国で有罪判決を受けた唯一の囚人、ザカリアス・ムサウイは、母国フランスで終身刑に服する申請を却下された。

2024年8月1日 木曜日