世界の動き 2025年10月29日 水曜日

今日の一言
「拉致問題の解決に向けて」
 高市首相のトランプ大統領との会談は無難に終了したようだ。イベントの一つに、拉致被害者の会のメンバーとルビオ国務長官との面談が予定されていた。そこに突然トランプ大統領が現れ、期待感が高まった。
 日本政府が米国の大統領に拉致問題の解決をお願いするシーンは、何度見ても「なんだろうなー」という思いを抱く。独立国家としてあまりに他国に頼りすぎの印象を受けるからだ。
 2002年の小泉訪朝とその後の拉致被害者とその家族の帰国以来交渉は全く進んでいない。日本政府の圧力と対話政策は北朝鮮の反発で膠着している。
 2002年の平壌宣言に立ち返り、国交の樹立を第一歩に進めたらどうなのだろうか。ヨーロッパではスウェーデンが、アジアではモンゴルが北朝鮮が国交のある代表的な国だから、そうした国々に仲介を依頼することが考えられる。北朝鮮への人道支援の再開も行うべきだ。 拉致問題に関しては国際司法裁判所や国連で、「人道に関する罪」として、多国間問題として追及することが考えられる。
 胸にブルーのリボンを付けた議員を目にするたびに、この人たちはいったい何をしてきたのかと腹立たしくなる。当事者である拉致被害者の会の方々はどう思われるのだろうか。

ニューヨークタイムズ電子版より
1.友人に投票せよ、さもなければ
【記事要旨】
 アルゼンチン中間選挙と米国の介入の実態について。
– 選挙結果と背景
アルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領が中間選挙で圧勝し、緊縮財政政策の推進が承認された。
– 米国の圧力と支援
選挙には「ミレイ氏が勝利しなければ200億ドルの経済支援を撤回する」との圧力が伴い、米国は15億ドル相当のペソ購入と通貨スワップ提供を実施。ただし条件は「ミレイ氏支持」。
– トランプ政権の選挙介入の特徴
過去にも他国選挙に介入してきたが、今回のような巨額支援と公然たる介入は異例。目的はイデオロギー的盟友の支援。
– 専門家の見解
米国の選挙介入は冷戦期から続いており、秘密工作よりも公然介入が一般的。介入は平均で支援政党の得票率を3%上昇させる。
– 今後の示唆
ミレイ氏の勝利はトランプ氏の戦術の成功例となり、今後他国選挙でも同様の介入が増える可能性がある。米国の介入は今や公式声明や記者会見を通じて行われる傾向にある。
【コメント】
 トランプのような人が敵になるか味方になるかは他国にとっては大きな問題だ。高市首相は大きく持ち上げられ、支持率がさらに上昇するだろう.。

2.ハリケーン・メリッサがジャマイカに襲来
【記事要旨】
 昨日、ハリケーンはジャマイカ南西部のニューホープ沖に上陸した際、風速約300キロメートル(時速185マイル)に達しました。メリッサは大西洋で観測されたハリケーンの中で5番目に強い勢力だ。
 予報官とジャマイカ当局は、ハリケーンのゆっくりとした動きにより、激しい雨が降り、鉄砲水や土砂崩れを引き起こす可能性があると指摘し、避難指示に従う住民が十分でないことも懸念されている。
 IMFによると、カリブ海地域は世界で最も気候変動に起因する災害のリスクが高い地域だ。カリブ海諸国は災害への備えとして支援を求めているが、支援はほとんど届いていない。
【コメント】
 とんでもない規模の巨大ハリケーンだ。気候変動で激甚化しているのだろうか。

3.ネタニヤフ首相、ガザ地区への攻撃を指示
【記事要旨】
 ネタニヤフ首相は昨日、イスラエル軍に対しガザ地区への攻撃を指示した。同首相は、ハマスがイスラエル軍への発砲と人質の遺体の返還を怠ったことで、最近の停戦協定に違反したと非難した。
 イスラエルとアラブ諸国のメディアはガザ地区への攻撃を報じたが、イスラエル軍は確認していない。
 また、イスラエル軍はヨルダン川西岸地区への数ヶ月ぶりの空爆で、武装勢力3人を殺害したと発表した。
【コメント】
 第二幕へ進むのは困難だ。ここまでこぎつけなければ平和賞はとんでもない。

其の他の記事
・米国は東太平洋で麻薬密輸を行っているとされる船舶4隻を攻撃し、14人が死亡した。9月以降の米国による船舶攻撃による死者数は57人となった。
・日本の企業幹部は、トランプ大統領の東京訪問を機に、米国に取り入るための施策を発表した。トランプ大統領と高市早苗首相の昼食会では、地元産の食材を披露するという慣例を破り、アメリカ産米がメニューに含まれていた。
・英国は、難民をホテルで収容することへの国民の怒りが高まる中、2つの軍事基地に難民を収容する。

スポーツ
プレミアリーグ:シーズンの4分の1近くが終了し、アーセナルに挑戦できるチームはないようだ。
クリケット:イングランド女子代表は、ワールドカップ3大会連続の決勝進出に近づいている。
F1:F1経営陣に対する8000万ドルの訴訟が裁判所へ。
【コメント】
Timesのスポーツ記者は野球に全く興味がなさそうだ。

2025年10月29日 水曜日

世界の動き 2025年10月28日 火曜日

今日の一言
「明治の板チョコ」
 昨日スーパーで驚いた。1枚218円!
 春ころまで1枚100円程度で、百均の定番商品だった。数年前に100円程度だった「赤いきつね」と「緑のたぬき」も200円近い値段で売られている。
 庶民が買う商品は、物価全体の上昇率を大きく上回って上昇している。米もそうだ。
 国民の多くの可処分所得が減少する反面、株高は富裕層の可処分所得を大幅に増やしている。第二次安倍政権ではトリクルダウンという言葉がはやった。水などが少しずつ漏れ出すという意味で、富裕層や大企業の富や利益が増えれば、それが経済全体に波及して景気を刺激し、貧困層や中小零細企業も恩恵を受けるというものだった。
 そうは問屋が卸さなかった記憶があるが、高市政権はどうするのだろうか。

ニューヨークタイムズ電子版より
1. 「労働力移動」戦略とは
【記事要旨】
– 背景と目的
 インドは若年人口が多く、雇用不足に悩む一方、先進国は労働力不足。インド政府は「移民」ではなく「労働力移動」として、労働者を海外に送り出すことで両者の課題を解決しようとしている。
– 政策の動き
 インドは近年、ヨーロッパ、東アジア、湾岸諸国と20以上の労働協定を締結。今月には、労働者が最終的に帰国することを保証する法案も提出された。
– 制度の課題と教訓
 ドイツの戦後の外国人労働者制度(ガストアルバイター)は、定住希望や社会統合の不足により失敗とされる。米国の経済学者プリチェット氏は、帰国義務と市民権取得の道筋が曖昧だったことが問題と指摘。
– 倫理的・人間的側面
 労働者を「経済的部品」として扱う発想には限界があり、現地に渡った若者は人間的な感情や定住願望を持つようになる。湾岸諸国のように市民権を与えない国では制度が持続可能かもしれないが、倫理的課題は残る。
– 若者の現実と未来
 デリーの教室では、日本語を流暢に話す若者が登場する一方で、「帰国前提」の制度を理解していない様子も見られる。彼らが本当に帰国するかどうかは、数年後に明らかになる。
【コメント】
 Don’t call it immigration — call it “labor mobility.”という文章にすべてが要約される。
 この制度が成功するかどうかは、経済的合理性だけでなく、人間の感情や社会的統合への配慮が問われることになるだろう。

2.日本の新首相はトランプ大統領を納得させることができるだろうか?
【記事要旨】
 高市早苗首相が本日東京でトランプ大統領と会談する際、彼女は重要な切り札を持つだろうと、私の同僚記者は記している。彼女は、2022年に暗殺された安倍晋三首相との繋がりを強調すると予想されている。安倍首相は彼女の師であり、トランプ大統領とも深い絆で結ばれていた。
 高市氏は、トランプ大統領に対し、日本との安全保障同盟への再投資と、地域における中国の影響力拡大に対抗するための努力を倍増させるよう説得を試みるだろう。
【コメント】
 マレーシアでは、タイとカンボジア首脳を交えトランプはご満悦だった。今日の高市首相との会談、さらに韓国での習近平との会談はLet’s wait and see.

3.世界最高齢の大統領に会う
【記事要旨】
 昨日、カメルーン大統領選挙で92歳のポール・ビヤ氏が当選したと発表された。8期目となり、99歳まで大統領職に就く可能性がある。
 平均年齢が19歳であるアフリカ大陸において、カメルーンは過去の時代の指導者によって統治されている国の典型的な例です。しかし、カメルーンだけではない。アフリカの指導者のうち17人が70歳を超えている。
【コメント】
 健康で長生きする人が指導者になるのか、特権的な人だけが健康で長生きできるのか。

其の他の記事
・トランプ大統領はMRI検査を受け、結果は「完璧」だったと述べましたが、医師が検査を指示した理由については明言を避けました。
・ハビエル・ミレイ大統領率いる政党は、アルゼンチン議会選挙で圧勝しました。これは、米国が同国にとって200億ドルの救済策を検討していた中で、重要な試金石となりました。
・カナダのマーク・カーニー首相は今週、中国の習近平国家主席と会談する予定で、米国とカナダの関係が過去最低水準に落ち込む中、アジアへの軸足を移す姿勢を示しています。
・国連委員会は、ウクライナのヘルソンで民間人を狙ったロシアの無人機攻撃は、人道に対する罪および戦争犯罪に相当すると指摘しました。

2025年10月28日 火曜日

世界の動き 2025年10月27日 月曜日

今日の一言
「既視感」
 今年もあと2か月ほどになった。米国株も日本株も史上最高値を更新中で、警戒感は薄い。
 筆者は、こんな状況を1989年の年末に経験した。株価は年末の最高値38,915円87銭(終値)まで、ほぼ一直線に上昇した。高名な経済評論家たちは日経平均は6万円に近づくとはやし立て、多くがそれに賛同していた。
 当時は高い株価を説明するために、通常のPERやPBRといった指標に加えTobinのQとかも現れてきた。
 米国では、オープンAIが約200兆円のインフラ投資でいびつな取引を繰り返している。NVIDIAなどから巨額資金の提供を受け、同社から人工知能(AI)開発用半導体を調達している。売り手と買い手で資金が循環する手法はIT(情報技術)バブル期に類似するという指摘もあるが、耳を貸す投資家は少ない。
 「上昇する相場に乗り遅れるな」という考えには既視感がある。

ニューヨークタイムズ電子版より
1.ロシア・ウクライナのエネルギー戦争
【記事要旨】
 戦争の激化
– 前線が膠着する中、両国は互いのエネルギー資産を標的とした攻撃を強化している。
– ウクライナはロシアの製油所に対するドローン攻撃を実施し、製油能力の約20%を損傷させた。
– ロシアはウクライナの電力・ガスインフラを破壊し、冬季の生活と士気喪失を狙う。
 制裁と経済圧力
– 米欧はロシアの石油企業(ルクオイル、ロスネフチ)に対する包括的制裁を発表。
– トランプ大統領は、両社と取引する企業にも制裁を科すと警告。
– ロシアの軍事費は来年初めて減少見込み。資金不足が兵器補充や兵士の給与に影響する恐れが出ている。
 冬季の影響と戦略
– 冬は地上戦を鈍化させるが、エネルギー戦争は激化。
– ウクライナでは発電所・変電所への攻撃により緊急停電が発生。
– ロシアはガス施設への攻撃も拡大し、ウクライナのガス生産能力の約60%が麻痺している。
 市民生活への影響
– ウクライナでは暖房開始の遅れやガス不足により、寒冷地での生活に深刻な影響。
– ロシア国内でもガソリン不足が発生し、一般市民に戦争の影響が及ぶ。
 和平の見通し
– 両国ともエネルギー攻撃を戦略的手段と位置づけ、譲歩の兆しは見えない。
– 前線が凍結し、和平交渉が停滞する中、エネルギー戦争が主戦場となっている。
【コメント】
 ロシア専門家の小泉さんの論考によると、もう一歩でロシアが和平のテーブルに着くような雰囲気だが、どうなるのだろうか。
 寒さの中で過ごすウクライナ市民を何とか助けたいが、なすすべがない。

2.中国と米国、貿易協定の枠組み合意
【記事要旨】
 米中両国の貿易交渉担当者は昨日、今週予定されているトランプ大統領と習近平国家主席の会談に先立ち、関税などの問題に関する協定の枠組みで合意したと発表した。
 ベッセント財務長官は、中国がレアアース(希土類元素)の輸出規制を1年間延期する見込みだと述べた。トランプ大統領は、コンピューターチップなど様々な製品の製造に不可欠なレアアースに対する中国の規制に対し、中国製品に100%の関税を課すと警告していた。ベッセント長官はまた、米中両国が「TikTok(ティックトック)に関する最終合意」に達し、木曜日に韓国で行われる会談で「合意をまとめる」と述べた。
 中国との交渉におけるこの進展は、トランプ大統領がカナダ製品に10%の追加関税を課すと表明したことを受けてのものだった。
【コメント】
 中国の横綱相撲が目立つ交渉だ。TikTokの最終合意はまだだったのかと驚いた。

3.ルーブル美術館強盗事件でフランス警察が逮捕
【記事要旨】
 フランス全土を震撼させた華々しい強盗事件から1週間後、警察は昨日、この事件で逮捕者を出したと発表したが、逮捕者数は明らかにしなかった。1人の男はパリ空港で出国しようとしていたところを拘束された。
 ルーブル美術館から盗まれた8点の宝石のうち、8800万ユーロ以上の価値があるもののうち、警察が回収したかどうかは現時点では不明である。
【コメント】
 とりあえずは犯人が逮捕されてよかった。どのように換金するつもりだったのかに興味がある。

其の他の記事
・カンボジアとタイは、平和推進者としてのイメージ向上を目指したトランプ大統領も出席した式典で、国境紛争の解決に向けた合意に署名した。
・アルゼンチンでは、ハビエル・ミレイ大統領の経費削減策に対する支持を測る中間選挙が行われた。
・カマラ・ハリス氏はインタビューで、大統領選への再出馬を検討していると示唆した。

2025年10月27日 月曜日

旧交を温める

 10月24日の金曜日に、神奈川県立横須賀高校の同窓会が横須賀であった。我々は1970年の卒業だから卒後55年経ったことになる。卒業生400名中、120名強が集まった。

 横須賀高校は3年間組み換えなしで私は入学から8組だった。後で聞いたのだが、入学成績順に1組から割り当てていくそうで、8組は学力が1組よりは劣ることになるそうだが、それを知ったのは卒業後だった。

 組み換えがなかったので親しい友人は8組のものに限られるのだが、今回は多くの友人と卒業以来の旧交を温めた。

 一番驚いたのはI君。現役で東大理IIに進学し、製薬会社で研究所長を務めたそうだ。こちらは一浪で文IIー経済学部と進んだが、彼とは大学でも電車でも全くあったことがなかった。東大に進んだのも今回初めて知った次第だった。

 地方の国立大学の医学部を卒業した友人2人にも、卒業以来初めて会うことができた。いずれもまだ現役で医師をしているそうで立派だと思った。

 卒業生中、横須賀と逗子に在住者が約5割で、随分地元に残っている人が多い印象だった。50名のクラスで物故者18名は、随分多い。昔陸上の中距離で鳴らしていたO君は、腰が痛いということで、当方と座骨神経痛の話で盛り上がった。

 3年後にまた全体の同窓会があるとかで、再開を期して別れた。

 横須賀中央から乗った京浜急行の快速特急は、横須賀の緑を抜けて、横浜に入ると山の上までびっしりと住宅が景色を埋め尽くす。
 電車に揺られながら、いつもと逆方向で家路につく宵だった。

2025年10月26日 日曜日

週間市場動向 2025年10月20日から24日 備忘録

先週(2025年10月20日~24日)の米国と日本の株式市場の動きをまとめました。最後にPEとPrivateCredit市場についてもまとめています。

米国市場(主要インデックス終値と週間騰落率):
S&P 500:10月24日終値 6,772.07、週間騰落率 約+1.3%の上昇
NASDAQ:10月24日終値 約22,942 前週20日比でほぼ横ばい
ダウ工業株30種平均(Dow Jones):10月24日終値 約46,700台で推移、週間では小幅上昇

日本市場(主要インデックス終値と週間騰落率):
日経225:10月24日終値 49,095.27、週間騰落率 約+2.0%の上昇
TOPIX(詳細はデータ取得できず)

市場動向:
 米国市場は企業決算好調で戻りを見せ、特にテクノロジーセクターの一部銘柄が引き続き好調だったものの、一部地域銀行の信用不安が警戒された。
 日本市場は自民党新政権樹立の期待感などもあり、堅調に推移。

 米国の10月FOMC政策決定前のインフレ指標発表を控え、投資家心理はやや慎重だったものの全体としては上昇基調。
 日米ともに先週は概ね上昇トレンドで推移し、特に日本市場の強さが目立つ週だった。

今週(10月27日週)の米国および日本株市場
 今週は、イベント集中週となり、相場の変動が一段と活発になる見通しだ。主な論点は、米国の大型ハイテク決算、FRBの金融政策会合、トランプ・習近平会談の行方だ。​

米国市場の注目点
重要イベント:10月28〜29日のFRB会合と、耐久財受注や新築住宅販売など重要経済指標の発表が焦点となる。政府閉鎖による統計遅延もあり、FRBの判断には不透明感が残ります。​

注目セクター:
テクノロジー(AI・半導体):アルファベット、アマゾン、アップル、メタ、マイクロソフトの決算発表が予定。決算次第で指数全体を左右する可能性。​

ヘルスケア:薬品・バイオ系の新薬承認発表が近く、年末にかけて資金流入が期待されます。​

エネルギー・資源関連:中東情勢と原油価格動向が要因でボラティリティが高まる見込み。

注目株:アップル(AAPL)、マイクロソフト(MSFT)、テスラ(TSLA)、ジョンソン&ジョンソン(JNJ)、バイオジェン(BIIB)が焦点。​​

日本市場の注目点
 政策・経済要因:27日に発表予定の日本銀行政策決定会合では、金利据え置きが予想されつつも、「株式市場の過熱」リスクが議論される可能性が指摘されている。​

注目セクター:
AI・半導体関連:高市新政権のAI産業支援策期待で引き続き上昇基調。アドバンテスト、ディスコ、キーエンス、ソフトバンクグループなどが買われやすい。​
防衛産業・エネルギー:地政学リスクを背景に関連需要が高まる可能性。
金融セクター:日銀の金利政策据え置き観測で一服感。ただし円相場次第で再評価余地も。

相場全体の動き予想
米国株:決算次第でS&P500は引き続き6,800前後の高値圏でのもみ合いを想定。シナリオとしては「テック決算好調→上昇継続」または「ガイダンス下方修正→短期調整」の二極化。​

日本株:Nikkei225は49,000~50,000円台で推移見込み。外国人投資家による買いが続けば史上高値更新の可能性も。

総じて、短期的なボラティリティ上昇に注意しつつも、中長期ではAI・医療・半導体のテーマに買い意欲が集中する週になる見通しだ。

​2025年10月時点でのプライベート・エクイティ(PE)市場およびプライベート・クレジット市場は、いずれも利下げ環境の兆しを背景に活発化しており、特にテクノロジー・エネルギー分野を中心に再成長局面に入っています.​

プライベート・エクイティ(PE)市場の動向
 2025年第3四半期の世界PE投資額は約1.5兆ドルに達し、過去4年間で最高水準となりました。特に米国では「テイク・プライベート」案件(上場企業の非公開化)が急増し、四半期ベースで2022年以来の高水準だ。​
 セクター別では、テクノロジーと金融が全取引件数の50%以上を占め、エネルギー分野は前年同期比で150%の価値増加となりました。一方、メディア・通信と消費財では活動減速が見られます。​

資金流入と出口環境
 FRBの9月利下げ(25bp)および年末までの追加利下げ観測により、資金コストの低下がM&A・IPO市場の再活性化を促進。PEファンドは投資・エグジット双方での活動を再加速させる見通しだ。​

注目トレンド
 セカンダリー取引市場(既存ファンド持分の売買)が急拡大中。ブラックストーン等は2025年に2,200億ドル規模へ成長すると予測。
 テーマ型投資(AI・インフラ・再エネ)が活発化し、長期資本志向の投資家がリスク選好度を回復。​
 PE取引全体の75%超が「アドオン投資(既存企業への追加買収)」で、規模の経済を活かす戦略が主流となっています。​

プライベート・クレジット市場の動向
 プライベート・クレジット市場は2025年上半期の資金調達額が1,240億ドルと過去最高を記録。年内にも2024年の総額を上回る見通しです。​
 特にダイレクトレンディング(中堅企業向け直接融資)とオポチュニスティック・クレジット(高利回り特化型)が投資家からの資金流入を牽引している。

市場構造の変化
「エバーグリーン・ファンド」や「BDC(Business Development Company)」など、機関投資家と富裕層マネーを取り込む長期型ビークルが主流化。運用資産は5,000億ドル超に拡大。​
 金融緩和を背景に、銀行代替の資金供給者としての存在感が上昇しており、保険会社・年金基金資金の流入も顕著。​

リスク要因と信用状況
 借り手企業の利払い負担は高止まりしており、平均インタレストカバレッジ比率(ICR)は2021年の3.2倍から現行1.5倍へ低下。47%の借り手がICR1.5倍未満に位置。​
 表面的なデフォルト率は低水準ながらも、多くが「Payment-in-Kind(利払い繰延)」を通して実質的に返済を延ばしている。将来的には債務再編・リスク移転の増加が懸念されます。​

総括:
マクロ環境と見通し
 利下げ基調とAIインフラ投資需要の高まりを背景に、PE・プライベートクレジットともに「再成長フェーズ」に入っている。
 PEはM&A・IPO出口再開で分配金回復。
 プライベートクレジットは金利収入維持と資本多様化が支え。

注目分野
テクノロジー(特に生成AI関連企業、半導体・データセンター投資)
再生可能エネルギー・インフラファイナンス
医療・医薬セクターの買収・メザニンファイナンス

2025年末に向け、PEとプライベートクレジットはいずれも流動性回復と選別的なリスクテイクを特徴とする新局面にあると評価されている。​信用状況の全般的な劣化は懸念材料。

2025年10月25日 土曜日