世界の動き 2023年12月21日 木曜日

今日の言葉:
「親会社のガバナンス」
 ダイハツ工業の認証不正が問題になり、当面ダイハツの全車種の販売が停止する。全体で170以上の不正が行われていたそうだ。ダイハツはトヨタの完全子会社であり、グループ全体のガバナンスするトヨタの責任も免れない。トヨタグループでは昨年は日野自動車でも排ガス不正があったばかりだ。トヨタの生産増加への強力な圧力がダイハツを不正に走らせたという説もある。日本を代表する企業のガバナンスが問われている。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.州裁判所、トランプ氏は大統領職に就くことができないとの判決
【記事要旨】
 コロラド州の最高裁判所は火曜日、ドナルド・トランプ前大統領が2021年1月6日の国会議事堂襲撃に至るまでの行動で暴動に加担したとして、再び大統領職に就く資格を剥奪されるとの判決を下した。トランプ氏は米国最高裁に控訴すると述べた。
 この衝撃的な判決により、2024年の大統領選挙の主要な要素が米国最高裁判所の手に委ねられる可能性が高い。
 この判決は、1860年代の南北戦争後に書かれた憲法修正第14条の規定に基づいている。 これは、以前に「合衆国憲法を支持する」と宣誓した人物が、「合衆国憲法に対する暴動や反乱に参加したり、あるいは合衆国憲法の敵に援助や慰安を与えたりしたことがある」場合には、公職に就くことを禁じている。
 この判決により、トランプ氏の名前は同州の共和党予備選投票から除外されることになる。 総選挙については触れていない。
 最高裁判所は6対3で保守派が過半数を占めており、判事3名はトランプ氏自身が任命している。 裁判所は多くの保守的な政策を支持してきたが、自身の利益のために大統領職を曲げたり、民主的プロセスを操作しようとするトランプの試みを判事たちが支持する意欲をあまり示していないとの見方もある。
 重要な点は、トランプ氏は関係なく投票用紙に残る可能性があるということだ。 コロラド州の判事は控訴が進む可能性が高いため、判決を1月4日まで保留した。
 この訴訟が最高裁判所に持ち込まれた場合、裁判官がこの訴訟に関連する多くの法的問題に取り組むのに時間がかかる可能性がある。 彼らは、選挙に向けてトランプ氏が関係する他の訴訟でも判決を下す予定である。 彼らはまた、トランプ氏を大統領に望むかどうかの決定権を有権者から奪うことには消極的かもしれない。
【コメント】
 CNNでは非常に大きく報道されているが、トランプにとって大きな実害は無いのかもしれない。

2.ハマス指導者がガザ協議のためエジプトを訪問
【記事要旨】
 ハマスの最高政治指導者イスマイル・ハニヤ氏は昨日、イスラエル人人質の解放につながる可能性のある停戦の可能性について協議するためカイロを訪れた。 イスラエルとハマスはエジプトとカタールの調停者を通じて新たな停戦について協議しようとしており、協議に詳しい関係者によると、いくつかの提案が俎上に上っているという。
 イスラエル当局者は、交渉において初期段階のステップは講じられたと述べたが、まだ合意には至っていないことを強調した。 ハマス高官は、ハマスがさらなる人質解放の議論を始める前に、イスラエルは新たな継続的な停戦を遵守し、ガザへの無制限の援助物の入国を許可する必要があると述べた。 イスラエルは、現在も男性を中心に129人が拘束されているとみている。
 イスラエルはガザにおけるハマスの支配を打破すると誓ったが、最近の出来事により交渉上の立場は複雑になっている。 国際的に停戦を求める声が高まっており、先週イスラエル兵による人質3人の誤射を受け、国内で新たな人質協定を確保するよう圧力が高まっている。
 国連の安全保障理事会はこの2日間で2度目となる戦闘停止を求める決議案の採決を延期した。 外交官らは、米国が交渉にもっと時間を与えるために一時停止を要請したと述べた。
【コメント】
 既視感のある状況だ。このまますんなり停戦にはつながらないと見るが。

3.中国、核実験のための秘密基地を再建
【記事要旨】
 衛星画像は、中国が約60年前に初めて原子爆弾を爆発させた新疆ウイグル自治区の人里離れた砂漠にある軍事基地であるロプヌールに何百もの改修と拡張を行っていることを明らかにしている。 この改修には、大規模な核実験をサポートする深い垂直坑が含まれており、これは中国政府が新世代の核兵器の実験を検討していることを示す最強の証拠である。
 アナリストらは、ロプヌールでの活動は中国の核施設の大規模な近代化を示唆しており、軍備増強を加速させ、核戦争の新時代を引き起こす可能性があると警告した。
 北京の外務省は、基地の改修に関する質問を「影につかまり、根拠もなく『中国の核の脅威』を煽る」として却下した。
【コメント】
 ロシアも核兵器の増強を進めている。世界の緊張はまた一つ高まった。

その他の記事より:
・韓国のAI
 South Korean tech firms are hoping that focusing on languages other than English in A.I. will give them a developmental edge against their U.S. counterparts.
・ベネズエラでも人質交換
 The U.S. said it agreed to release a close ally of President Nicolás Maduro of Venezuela in exchange for 10 jailed Americans.
・EUの移民政策
 The E.U. struck a deal to overhaul its joint migration system, aiming to make it easier to deport failed asylum seekers and limit the entry of migrants.

2023年12月21日 木曜日

 

世界の動き 2023年12月20日 水曜日

今日の言葉:
「配当株」
 米国の配当株の代表にMedtronicがある。同社には50年以上にわたり年間配当金を増額してきた長い歴史があり、パンデミックのピーク時から-38.64%下落したが、復活の準備が整っているため、多くの投資家がこれを気に入っている。医療技術に関しては長く傑出した歴史を持つ。検討に値する銘柄だ。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.中国地震の生存者が氷点下の気温に直面
【記事要旨】
 月曜日の夜、中国北西部を襲ったマグニチュード5.9の地震により、120人以上が死亡、500人以上が負傷したと当局と国営メディアが昨日発表した。 この地震により、15,000戸の家屋が被害を受け、地域の一部では水道、電気、交通機関が寸断された。
 中国の多くの地域と同様、この地域も突然の寒波に耐えている。 国営メディアによると、震源地である鶏石山県Jishishan Countyの地震時の気温は摂氏マイナス20度程度だった。 地震現場にいたと言う人々は、寒さをしのぐために庭でたき火をしたり、段ボール箱に火をつけたりしたと報告した。
 最も大きな被害を受けている甘粛省Gansu Provinceは中国で最も貧しい地域の一つだ。中国地質大学の教授は、山岳地帯の一部は地震が発生しやすい地帯に属しているが、多くの住宅は地震に耐えられるほど頑丈に建てられていない可能性があると述べた。
 国営メディアによると、救助隊が人々の発掘を続けている。 政府は救助活動を監督するために現場にチームを派遣し、習近平は労働者にできるだけ早くインフラを修復するよう命じた。
【コメント】
 今度は中国で大地震か。他人事でない。首都直下型地震が
起きたら被害は甚大だ。

2.ガザ戦争でアメリカ国民が分断される
【記事要旨】
 ガザ紛争が3カ月に突入する中、米国の有権者はバイデン大統領のガザ戦争への対処方法に広く不支持を示している。
 ニューヨーク・タイムズ紙とシエナ大学の世論調査によると、米国の若者はイスラエルの行為と政権の対応の両方に対して年配の有権者よりもはるかに批判的であることがわかった。 伝統的に民主党支持が高い層である18歳から29歳の有権者の4分の3近くが、バイデン政権の対応を支持していない。
 米国人の合計44%が、民間人の死傷者を防ぐためにイスラエルは軍事作戦を中止すべきだと答え、39%が、たとえ民間人の死傷者(すでに累計2万人近く)が増え続けることになっても、イスラエルは軍事作戦を継続すべきだと考えている。
 イスラエルでの世論調査は、同国はパレスチナ人に対してより強硬な態度を取る必要があるということで一致している。 ネタニヤフ首相に対する世論が低迷する一方で、同首相の右派政府の政策に対する支持は高まっている。
 米国の若い有権者間の対立に関する意見の分裂は、来年の選挙に向けてバイデンが直面する困難を示している。 タイムズの世論調査では、若い有権者の間でドナルド・トランプ氏がバイデン氏を初めてリードしていることが判明した。
 イスラエル・ハマス戦争に関連するその他の進展:
 米国は、紅海における世界の海運に対するフーシ派民兵組織の脅威に対抗するため、海軍任務部隊を組織すると発表した。 バーレーンは中東諸国で唯一参加している。
 国連安全保障理事会は米国の拒否権回避を目的とした新たな停戦決議案を採決する予定だ。 米国は過去2回の試みを阻止している。
【コメント】
 バイデンにとって事態は非常にまずい。トランプのしたり顔が目に浮かぶ世論調査結果だ。

3.アイスランドの噴火は予想より大きかった
【記事要旨】
 同国で最も人口の多い地域であるアイスランド南西部の火山が月曜日に噴火を始めた。 火山学者らは初期評価で、この噴火はスヴァルツェンギ発電所と、地震活動の活発化のため先月避難したグリンダヴィークの町に重大かつ差し迫った脅威をもたらしたと述べた。
 専門家が噴火現場の上空を飛んだ後、状況は当初懸念されていたほど悲惨ではないようだった。 しかし、噴火の規模は予想よりも大きく、溶岩流の方向は依然として予測不可能だ。
【コメント】
 800年振りの大噴火だそうだ。富士山も直近では以下の噴火をしている。他人ごとではない。
 富士市のHPより。
 宝永大噴火(1707年)
1707年(宝永4年)大量のスコリアと火山灰を噴出した宝永大噴火が起こりました。この噴火は日本最大級の地震である宝永地震の49日後に始まり、江戸市中まで大量の火山灰を降下させるなど特徴的な噴火でした。噴火の1~2か月前から山中のみで有感となる地震活動が発生し、十数日前から地震活動が活発化、前日には山麓でも有感となる地震が増加しました(最大規模はマグニチュード5程度)。12月16日朝に南東山腹(今の宝永山)で大爆発を起こし、黒煙、噴石、降灰があり、激しい火山雷があったとのことです。また、その日のうちに江戸にも多量の降灰があり、川崎で5センチメートル積もっています。噴火は月末まで断続的に起きましたが、次第に弱まっていきました。山麓で家屋や耕地に大きな被害があり、噴火後は、洪水等の土砂災害が継続しました。

その他の記事より
・ミャンマー国軍の徴兵
 Myanmar’s ruling military has denied abducting young men to fill its dwindling ranks, but a spate of disappearances is fostering a countrywide climate of fear.
・ロシアの戦略物資調達
 Using specialized e-commerce sites and secretive shipping workarounds, Russia has obtained the components it needs to keep its economy and war in Ukraine going.
・アフリカで広まる炭疽
 Five African countries are battling outbreaks of anthrax, but confusion with the test results has raised the possibility that a second disease is circulating.

2023年12月20日 水曜日

日本製鉄のUSスチール買収について

 50年前の産業のコメを巡って日本最大の鉄鋼会社が米国最大手の買収に動いた。米国の著名投資家であるKeith Fitz-Gerald氏の否定的なコメントを紹介したい。
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 日本の日本製鉄はUSスチールを149億ドルで買収することを計画しており、今朝の株価は跳ね上がっている。
 この買収は(日本製鉄にとって)上手く行かないと思われる。この状況は、日本企業が世界の不動産を食い荒らしていた1980年代後半に、私がキャリアの中で関わった初期の取引のいくつかを非常に思い出させる。
 当時の日本の経営者は、不動産は時間が経てば必ず価値が上がる資産であると考えていた。 彼らの取引の決定的な特徴は、彼らが大幅な過剰支払いをいとわないことだった。 その結果、その後多大なキャッシュフローの問題が発生し、数年後に日本市場全体が混乱に陥り、最終的には大損失が発生した。
  今回は、日本製鉄は8月11日に見直しを発表して以来、更に42%のプレミアムに相当する1株当たり55ドルを提示している。 同社は、UAWのストライキを受けて自動車メーカーが生産を増やすことで、米国の鉄鋼需要が加速すると予想している。
  これには、ものすごい既視感を覚えずにはいられない。
 日本の経営陣は鉄鋼生産と生産能力1億トンという世界目標に集中するあまり、1) 自動車製造プロセスへの代替材料の導入を過小評価し、2) 差し迫った中国自動車メーカーの世界的な自動車市場への参入を完全に無視しているのではないかと思われる。
 自分はむしろ、米国の自動車生産と鉄鋼消費は今後10年間で減少すると見ている。
 もしあなたが US スチール社を所有しているなら、売却してキャッシュを手にすることを真剣に考える。
 もしあなたが日本製鉄を所有しているなら、上手く行っているうちだけ維持することを真剣に考える。
 油断大敵だ!
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 Keithの言う既視感は私にもよくわかる。私がニューヨークに赴任した1990年初頭、ニューヨークの主要なビルの殆どが日本企業により保有されていた。バブル期の日本の不動産に比べればとても安く見えた物件を日本企業が高値で買いあさったのだ。日本でのバブル崩壊で資金繰りがつかなくなったのはKeithの言う通り。いまは何も残っていない。
 ただ、不動産と実業は違う気がする。
 USスチールはKPモルガンやカーネギーを発祥とする米国資本主義発祥の名門企業であり、強硬な労組の存在でも有名だ。
 日本製鉄には、買収後の経営を上手に行って、日米最大の鉄鋼会社を持つメリットを活かす経営を行うことに期待したい。価格の多寡よりも、経営力が問われる買収だ。

2023年12月19日 火曜日

世界の動き 2023年12月19日 火曜日

今日の言葉:
「郵便料金の値上げ」
 25グラムまでの封書が84円から110円へ。はがきが63円から85円へ値上げされるそうだ。通信のデジタル化の流れで、郵便事業の赤字の拡大を防ぐには止むを得ない値上げと理解する。
 驚いたのは30年振りの値上げだとの説明だ。何度も小幅な値上げを繰り返してきた記憶があるが、いずれも消費税率の引き上げによるもので、料金の値上げではなかったということだ。
 野党の多くが消費税の引き下げを求めているが、物価引き下げの効果が確かにある、と知れる。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.BP、紅海経由の原油の出荷を一時停止
【記事要旨】
 昨日、エネルギー大手BPが紅海へのタンカー輸送を停止したと発表したことを受け、世界の原油価格が急騰した。 武装勢力フーシ派がドローンやミサイルで船舶を攻撃し始めて以来、この航路は危険になっている。
 イエメン北部の大部分を支配するフーシ派は、イスラエルがハマスとの戦争を止めるまでイスラエル船の紅海航行を阻止するつもりだと述べた。 フーシ派もハマスもイランの支援を受けている。
 週末にかけて、米国およびその他の国の軍は、この地域で十数機の無人機を撃墜したと発表した。
 ここ数日、エバーグリーン、ハパックロイド、マースク、地中海海運などの大手海運会社は、紅海地域への船舶の派遣を一時的に停止すると発表した。 BPの発表により、原油と精製石油製品の両方の経路であるスエズ運河を通る輸送にさらなる混乱が生じるのではないかとの懸念が高まった。
 イスラエル・ハマス戦争におけるその他の進展:
 米国防長官は昨日、イスラエルの指導者らに対し、民間人の保護はガザでのイスラエル作戦にとって「戦略的緊急課題」であると語った。
 CIA 米当局者らによると、バーンズCIA長官はワルシャワでイスラエルおよびカタールの当局者らと会談し、人質・捕虜交換の再開について協議した。
 国防総省当局者らは、イスラエルによる無誘導兵器の使用がガザ地区の死者数の多さを説明できる可能性があると述べた。
【コメント】
 なるほど。ホルムズ海峡の封鎖は、軍艦を使わなくてもドローン攻撃で簡単に可能なのだとわかった。せっかく安定してきた原油価格への影響が懸念される。

2.香港の民主派大物実業家が裁判中
【記事要旨】
 昨日香港で始まったジミー・ライ氏の裁判は、2019年の民主化運動後に課された国家安全法に関するこれまでで最も注目を集めた裁判である。ライ氏は有罪判決を受ければ終身刑となる可能性がある。
 人権活動家や米国、英国政府は、反政府新聞「リンゴ日報」を発行したライ氏に対する告発を偽りで政治的動機に基づくものだと非難している。 彼の裁判は80日間続く予定である。
 当局は国家安全法を利用して市中の反対派を沈黙させてきた。 彼らの捜査により独立系メディアは閉鎖に追い込まれ、数十人の反政府派幹部が投獄された。 中国は、北京の主権に対する脅威を根絶するためにこの法律が必要だと主張しているが、活動家や学者らは、この法律は司法の独立を侵食すると主張している。
 頼氏に対する告発の一部は、同氏がソーシャルメディア上で行った投稿と、西側政府に香港と中国に制裁を課すよう呼び掛けたリンゴ日報に掲載された記事に基づいている。
【コメント】
 いくら西側諸国が反対してもライ氏への極刑は免れないだろう。香港の中国化が進み、香港の輝きは失われている。

3.教皇は司祭が同性関係を祝福することを許可する
【記事要旨】
 教皇フランシスコは、ローマ・カトリック教会がL.G.B.T.Q.をより歓迎する取り組みの中で、これまでで最も具体的な一歩を踏み出した。 カトリック教徒が同性関係にあるカップルを祝福することを司祭に許可することをバチカンが昨日発表した。
 教皇は、結婚は男性と女性の間でのみ存在し得るという教会の立場を明確に支持したが、祝福を求める際には司祭は「司牧的慈愛」を発揮すべきだと述べた。
【コメント】
 進んだ考え方だが、同性カップルのどれくらいが教会へ行くのだろうか。

その他記事より:
・日本製鉄がUSXを買収
 The Japanese company Nippon Steel will buy U.S. Steel for $ 14.1 billion..
・エジプト大統領は3期目へ
 Abdel Fattah el-Sisi is beginning his third term as Egypt’s president, presenting himself as a beacon of stability even as the economy shakes.
・ラトビアでの対露緊張
 Latvia is scrutinizing residents with Russian passports as part of efforts to combat Moscow’s influence.

2023年12月19日 火曜日

世界の動き 2023年12月18日 月曜日

今日の言葉:
「米国債」
 これまで米国債の主要投資家だった中国が米国債の保有をさらに減少する方針のようだ。以下Bloombergの記事より。
 『中国は米国債保有の秩序ある削減が「必要」だと中国人民銀行(中央銀行)の貨幣政策委員だった余永定氏が17日に述べたと中国紙の証券時報が報じた。米国債の低水準の表面利率と米国の対外純債務急増見通しを踏まえた発言だとしている。
 余氏は、米国の対外債務が国内総生産(GDP)比で増え続け、対外純債務の状況が悪化すると指摘し、中国は外貨準備の割合引き下げなど海外資産の構造改革を急ぎ、海外資産のリターンと安全性を向上させる必要があると語った。
 余氏は中国の外貨準備高について、国際的に妥当と認められる水準まで削減されるべきだと主張したと証券時報は伝えた。』
 このような記事は共産党政府の意向の反映だろう。金融を通じ米国に揺さぶりを掛けようという中国の意図が見える記事だ。日本も中国の減少分を埋める余裕は無いので、米国の来年の金利引き下げは、見込み通りに進まない可能もある。

ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.米国が自制を求める中、イスラエルは戦争を継続
【記事要旨】
 イスラエルのネタニヤフ首相は、先週人質3人が自軍に殺害されたことで苦痛が広がる中、ガザ地区で「最後まで戦う」と誓った。 人質らは白旗を振っていたのにイスラエル軍によって誤って射殺され、彼らの死はネタニヤフ政権がどのように戦争を進めているのかについて新たな疑問を引き起こした。
 ネタニヤフ首相は昨日、ガザでの戦闘で死亡したイスラエル兵の家族から届いたという「あなたには戦う使命がある。途中で止める義務はない」という手紙を読み上げて政府会議を始めた。
 この書簡は、愛する人たちが帰国できるよう停戦を要求するために街頭に出ている人質の親族からの要求とは異なるように見える。
 オースティン国防長官は今週中東を歴訪し、イスラエルとペルシャ湾岸3カ国を訪問するが、バイデン政権当局者はイスラエルに対し、数週間以内に大規模な陸空作戦を終了し、より集中的な段階に移行するよう求めている。
 オースティンはイスラエル指導者らと、ハマス指導者の捜索・殺害、人質救出、トンネル破壊などのより精密な任務を遂行する少数精鋭部隊の活用について協議するとみられる。
 ドイツと英国は、これまでのイスラエルに対する全面的な支援から明らかに転換し、「持続可能な停戦」を主張した。
 ガザ保健省が発表した死者数は2万人に近づいており、その中には一家族での100人以上の死者が含まれている。
【コメント】
 繰り返すが、「大のためには小の虫を殺す」のがイスラエルの国策だから、戦争が止まらない。

2.寒波到来を中国は警戒
【記事要旨】
 冬の天候と大雨により、中国全土の気温が低下し、500人以上の通勤者が入院した北京の地下鉄衝突事故を含む広範な混乱が起きた。
 首都の平均最高気温は、先週約50度(摂氏10度)で推移した後、土曜日には華氏約15度(摂氏-9度)まで急降下した。
気象学者らは土曜日、「強い寒波」が全国的に冷たい風を広げており、今週もその状態が続くと予想され、低温と強風警報を発令した。 中国の一部の地域では気温が歴史的最低水準に低下する可能性があり、中国北部では年末まで平年より寒い状況が予想されている。
【コメント】
 温暖化の世界でも、冬は寒くなる。冬将軍はやってくるのだ。

3.コンゴでの戦争中の生活
【記事要旨】
 コンゴ民主共和国では数十年にわたる戦闘の末、600万人が死亡、600万人以上が避難民となっている。 汚職が蔓延しており、虐殺や強姦が日常的に行われており、来たる大統領選挙は混乱に拍車をかけるだけだ。
 100以上の武装組織といくつかの軍隊が覇権を争っている。 外国勢力はこの国の金、石油、そして携帯電話や電気自動車の製造に使用される鉱物であるコルタンを切望している。 援助団体は、影響を受けた人の数が最近の他の危機よりも少ないので、コンゴでの苦しみに注目を集めるのに苦労している。
 「私たちの子供たちは戦争で生まれた。 私たちは戦争の中に生きている」とジャン・バハティさんは妻とともに砲撃から逃れながら語った。 「もううんざりだ。」
【コメント】
 WIREDというメディアの記事より
『「わたしたちは後世に何を残すことができるだろうか?」
 「携帯電話と遠隔操作の武器だ」
 イタリアでは、スペイン人ジャーナリスト、アルベルト・バスケス=フィゲロアによる著書『コルタン』が、Nuovi Mondi社から最近出版された。この本は、コルタンの問題に一般の人々の関心を向けさせた。「コルタン」とは、ハイテク産業で用いられる金属のことで、これが原因で500万人から700万人もの犠牲者が出ているという(とはいえ、推計は何年も前からすべて止まっている)。』

その他の記事より:
・ニュージーランドでのマオリ族の抗議
 After a rightward shift, New Zealand’s government has weighed abandoning policies that benefit Māori and ordering public agencies to stop using their language.
・米陸軍は対中国の戦闘訓練
 The U.S. Army has been training troops in the Hawaiian jungle in preparation for a potential conflict with China.
・途上国で急増する債務
 Economists are warning that the systems used to handle the debt of developing countries are broken.

2023年12月18日 月曜日