「雪が降る」を思い出して

いま窓の外を大粒の雪が降っている。
 水気が多いせいか、まだ積もってはいない。この後温度が下がれば、もう少し固い雪になり、「降り積む」、かも知れない。

 「雪が降る」情景で思い出す詩と小説を紹介したい。

 まずは、アダモの詩「雪が降る」。
 Tombe la neige
 Tu ne viendras pas ce soir
 Tombe la neige
 Et mon cœur s’habille de noir
 雪が降っている
 君は今夜は来ないだろうね
 雪が降っている
 ぼくの心は黒い服をまとう
   平易なフランス語の詩。白と黒の対比がきれいだ。作曲もアダモだ。

 次は、藤原伊織の短編集「雪が降る」
 作者の長編小説「テロリストのパラソル」や「てのひらの闇」のエッセンスが詰まった傑作短編集だ。
    Amazonで検索すると小説は絶版で、Kindleでしか手に入らない。

 アダモは78歳で存命だ。
 藤原伊織は2007年に食道癌で59歳で亡くなった。重なる飲酒で食道を焼き切ったように思われる。自らの小説のようにハードボイルドな生き方だった。

(2022.2.10 Thursday)