世界の動き 2022.1.14 Friday

N.Y. Times電子版より

1.米最高裁はバイデン大統領のワクチン義務化を認めず
【記事要旨】
 規則は労働安全衛生局(OSHA)が打ち出した。従業員100人以上の企業に対して、従業員に新型コロナウイルスのワクチン接種か週1回の検査を義務付ける内容。8000万人以上に適用される。
 判決は、保守派判事6人が差し止めを支持、リベラル派3人は反対した。
 一方で、医療従事者にワクチン接種を義務付ける措置については施行を認めた。判決は5対4で、リベラル派全員と保守派のロバーツ長官およびカバノー判事が支持した。
 判決は、OSHAの規則は連邦当局の通常の権力行使には当たらず、多くの従業員の生活や健康に対する重大な侵害になると指摘。議会の明確な承認なしにOSHAの規制権限を大幅に拡大することになるとした。
【感想】
 バイデン大統領の指導力にまたも疑問符が付く出来事。
 連邦政府が決めたことでも州によって対応が異なり最終的には最高裁で決定するというAmerican Democracyが見事に機能している事例とみるべきか。
【表現】
The U.S. Supreme Court blocked the Biden administration from enforcing a vaccine-or-testing mandate for large employers.
a vaccine-or-testing mandate という簡潔な表現は参考になる。

2.シリア高官、人道に関する罪で判決
【記事要旨】
 シリアのアサド政権下で60人の殺害や約4000人の拷問に関与したとして、シリア人の元大佐に人道に対する罪で、ドイツの地方裁判所は終身刑を言い渡した。
 ドイツ当局は19年、難民として入国していた元大佐と、元情報員を拘束。国際的犯罪を発生場所にかかわらず訴追できるuniversal jurisdiction「普遍的管轄権」が適用された。
【感想】
 シリアにとどまっているアサド政権高官はシリアにいる限りuniversal jurisdictionを適用されることはなく安泰。
 人道に対する罪、crimes against humanity はニュルンベルグ裁判から適用されたという。極東軍事裁判でも使われましたね。

3.ロシアと西側は行き止まり
【記事要旨】
 ウクライナが初めて参加した第3回目の交渉も不調。
 It was far from clear whether Russia would be willing to proceed with diplomacy.
【感想】
 ロシアとの交渉は一筋縄ではいかない。

(2022.1.14 Friday)