証券アナリスト・証券セールスは必要か

 ひと月前に、10月末に日経平均が50000円を突破すると予想したアナリストは皆無だった。
 今年の年末の日経平均の終値を、現時点で、大手証券会社はどのように予想しているか調べてみた。

 野村証券:49000円 材料:「高市政権の景気刺激策が企業収益を押し上げる」「サナエノミクスにより名目成長率が金利を上回る環境が生まれ、株式市場にポジティブ」
 SMBC日興証券:47000円 材料:「次世代エネルギー・サイバーセキュリティ・防衛力強化など政策テーマ株に注目」「政策期待が想定以上に株価を押し上げた」
 大和証券:49000円 材料:「高市氏の総裁就任で成長期待が高まる」「米景気軟着陸期待と政策期待が重なり、緩やかな上昇を見込む」
 みずほ証券:52000円 説明:「我々の日経平均の予想が市場の後追いになっていることを認めざるを得ない。高市政権への財政拡大策への期待、日本維新の会の閣外協力、バブルの様相を呈する世界的なAI相場が中長期的に続くかどうかは分からないが、少なくとも年内は大きな期待外れにはならないと想定するため、2025年末の日経平均予想値をトラテジーマンスリー9月号での45,000円から52,000円へ引き上げる」

 みずほ証券が正直に言っているように、アナリストの予想は、市場の後追いだ。それでは投資家に価値を提供するのは困難だろう。

 今ではAIがアナリストやセールスマンの仕事の多くを代行してくれる。市場への深い洞察(インサイト)と将来への知見(フォーサイト)を磨くのは、証券マンにとっての大きな課題であり、投資家としての我々の課題でもある。

2025年11月2日 日曜日