世界の動き 2025年9月30日 火曜日

今日の一言
「AIが来た:ルフトハンザの職員削減」
 報道によるとルフトハンザ航空は2030年までに管理部門を中心に約4,000人の人員削減を計画している。
主なポイント:
・対象は主にドイツ国内の管理部門の職員(職員の約2割に相当)。
・削減の理由は、デジタル化・自動化・業務統合による効率化と、収益性の向上を目指すため。
・新型コロナウイルス禍以降で最大規模の人員削減。
 ルフトハンザは、2030年までに230機以上の新機材導入も計画しており、経営の再構築を進めている。
 人員削減によって年間3億ユーロのコスト削減を見込んでおり、一時的なリストラ費用として約4億ユーロを計上する予定だ。

 削減の背景とAIの役割:
 ルフトハンザによると削減の理由は、AIとオートメーションの導入による業務効率化とデジタル化によって「余剰人員」が顕在化したことだ。
 今回の削減は「AIが仕事を奪う」という単純な構図ではなく、静かに進行してきた自動化の流れの結果のようだ。
 例えば、空港の自動チェックイン機やセルフレジなど、日常に溶け込んだ自動化技術が、裏では雇用に大きな影響を与えているという指摘がある。

 ルフトハンザのAI導入の具体例:
 ルフトハンザはIBMと連携し、AIを活用した業務効率化プロジェクトを進めている。
 ・顧客対応の自動化(IBM Watson Assistantなど)
 ・チェックインの混雑緩和
 ・搭乗時刻の予測精度向上
 ・遅延防止など。
 つまり、今回の人員削減はAIと自動化による業務の効率化と再構築の一環であり、航空業界全体がこの流れに乗っている状況だ。

 それにしても、国内管理業務の2割削減はすごい。空港の自動チェックインは大嫌いだが、今後ますます増えるのだろう。電話の問い合わせにはオペレータが出るまで何度もボタンを押し続けなければならない。従業員にとっても顧客にとても住みにくい時代になった。同様の動きが航空業界、金融業界、小売業界への広がるに違いない。

ニューヨークタイムズのトップ記事
1.言論の自由への世界的な圧力とユーモアの力
【記事要旨】
 ユーモアは独裁者にとって脅威であり、歴史的にもコメディアンが権力者により弾圧されてきた(例:ナチス時代のドイツ)。
 現代でも言論の自由は世界中で制限されつつあり、ロシア・中国・トルコ・ハンガリーなどで顕著。最近では米国でもその兆候が見られる。
 ジミー・キンメルの停職騒動は、米国における言論の自由の揺らぎを象徴している。
 権威主義的な指導者は、情報空間を支配し、異論を封じるためにメディアやテクノロジーを統制しようとする。
 中国は情報統制の最先端モデルを構築しており、検閲や監視技術を駆使して発言を制限している。
 米国はまだ完全な統制には至っていないが、政治的圧力によるメディア支配の前例が生まれている。
 米国の言論の自由が揺らげば、他国の権威主義的傾向を正当化し、民主主義の弱体化を促す可能性がある。
【コメント】
 日本のメディアは自民党の総裁選挙と5人の候補者の動きを無批判に長時間報道している。スパイスの効いた報道は皆無だ。

2.トランプ大統領とネタニヤフ首相、ガザ紛争終結に向けた新たな計画を発表
【記事要旨】
 トランプ大統領とネタニヤフ首相は、ガザ紛争終結に向けた新たな計画を発表した。しかし、イスラエルが条件を受け入れてから72時間以内に人質全員を解放するという要求にハマスが同意する可能性は低い。
 昨日ホワイトハウスで行われた共同記者会見で、トランプ大統領は、ハマスが武装解除とガザの支配権放棄を求める提案に同意しない場合、イスラエルによるハマス排除を「全面的に支援する」と述べた。ネタニヤフ首相は、ハマスが提案に同意しない場合、「イスラエルが自力で任務を遂行する」と述べました。
 この計画では、イスラエルはガザ地区内で段階的に部隊を撤退させ、まず生死を問わずすべてのイスラエル人人質の帰還を待ち、その後「国際安定化部隊」が設立されたらさらに撤退することになる。 「平和的共存を約束」し、武器を引き渡すハマス構成員には恩赦が与えられる。ガザからの撤退を選択した者には安全な通行が認められる。
 ガザの将来:米国の計画は、ガザの安定化を図るための暫定政権の設置を盛り込んでいる。この暫定政権には、英国の元首相トニー・ブレア氏が参加する可能性がある。
【コメント】
 トランプの当初の提案をハマスは受諾し、イスラエルが拒否してきたと思っていたのだが、今回は米国とイスラエルでゴールポストを動かす動きだ。
 これでイスラエルは存分にガザを破壊しつくすことができる。

その他の記事
台風「ブアロイ」がベトナム中部を直撃し、少なくとも13人が死亡、200万人が停電に見舞われた。
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