先週の概況(9/15–9/19)
米国株式市場
主要3指数は週間で上昇。9月18–19日にかけて連日で史上最高値の終値を更新した。S&P500 は9月中旬に約6,656.8(史上最高値)に到達する場面があり、ナスダックやダウも堅調。投資家はFRBの利下げ観測の高まりを好感し、実際の利下げには、市場は乱高下した。
背景:FOMCで利下げ決定されたことが直接のトリガー。市場は今後の追加緩和(年内の追加カット)を織り込み始めているが、FOMCは参加理事により考えがバラバラ。
米国金利(国債)
10年債利回りは週末にかけて約4.1%前後で推移(9/19終値は約4.13–4.14%レンジの報告)。長期金利は利下げ期待を背景に急落は限定的で、短期金利とのスプレッドは注目。
日本株(要点)
日経平均は9/18に一時過去最高の水準(45,852.75のインターデイ高)を記録したものの、9/19はBOJの政策決定(詳しくは下)を受けて反落し、9/19終値は約45,045.8付近で引けた。TOPIXも同様に小幅下落。
日本の金融政策(BOJ)
9/19のBOJは政策金利を据え置き(報道ベース:主要金利0.5%)。ETFとREITの売却を開始する方針発表。
為替(USD/JPY)
週末(9/19)のドル円は約147.9–148.3円レンジで推移し、円はやや軟調。
米国では、テクノロジー/半導体関連の材料出現:Nvidia と Intel に関係する大口材料(投資・提携報道など)が半導体株を押し上げ、関連指数を押し上げた場面があった。
日本側はBOJ決定とそれへの織り込み:BOJの据え置きや金融正常化の段取りが、日本の短期イベントとして相場に影響。
今週の見通し(注目点)
短期的には以下のイベントと指標に要注目(相場方向性に直結):
米国:雇用統計やインフレ(CPI/PCE)、主要企業決算 → 利下げ期待の強さを左右。
日本:BOJフォローアップ発言、輸出関連決算、為替の動き → 円動向が輸出株に波及。
市場センチメント:9月は季節的にボラが高くなりやすい(いわゆる“September effect”)ため、利益確定/ポジション調整の動きに注意したい。
(当面の相場シナリオ)
ベース:米利下げ期待→株高シナリオ継続だが、実際の経済指標や地政学・政策ショックで振れやすい。短期のリスクは「利下げの遅れ、あるいは予想外の悪い経済指標/政治リスク」。米中首脳会談はプラス。
注目セクター(今週)
(1)半導体・AI関連(テクノロジー):Nvidia周辺の需要期待、半導体サプライチェーン改善の恩恵。
Reuters
(2)金融(利下げ→マージンへの影響を注視しつつ):金利動向で銀行等の短期リスク/利ザヤが変わるため注目。
(3)消費関連(消費回復期待):FRB緩和期待で消費が上振れする局面では恩恵。
(4)日本では輸出関連(自動車・電機・半導体装置):円動向と連動してパフォーマンスが左右されやすい。
注目銘柄(短期〜中期で市場注目が高い例)
NVIDIA(NVDA):AI需要の中心、センチメントの代表格。中国の購入中止を打ち消した動き。
Intel(INTC):報道された大型資本・連携材料を受け急騰した点は注目。
CrowdStrike(サイバーセキュリティ):ブローカー評価の引き上げで短期材料。
日本:Tokyo Electron、Toyota、Sony、Fast Retailingなど(半導体装置・自動車・電機・消費)。円と輸出動向次第で注目されやすい、いつもの銘柄群。
プライベート・エクイティ(PE)/プライベート・クレジット(Private Credit)の動向
プライベート・エクイティ(PE)
2025年は「ディール再活性化」の期待感があり、資金回収圧力(投資家へリターン提供の必要)から案件造成・ディール数の回復を見込む参加者が少なくない。大手ファームはディール増加を見込む発言をしており、年後半~来年にかけてM&A/買収活動が増えるとの見方がある。
プライベート・クレジット
引き続き資金流入が堅調:伝統銀行が融資規律を維持する中で、ダイレクトレンディングやミドルマーケット向けの私募クレジットが人気。ファンド組成はトップティア運用者へ集中する傾向(メガファンド化)。一方で流動性や評価の透明性・二次市場が成長課題。
二次市場(private credit のセカンダリ)は、流動性ニーズの高まりから取引増加の圧力があるとの報道。市場ショック時には投信等で売り圧が出やすい点は注意。
まとめ(PE/Private Credit)
短期的には流動性/金利/マクロの不確実性がディール条件(評価・レバレッジ)に影響するものの、中長期では「資金需要は堅調」で、特にプライベートクレジットは需要拡大、PEは(良案件に集中して)ディール増加の見込みがある、というのが主要プレイヤーのコンセンサス。
最後に — 重要なリスクと注目指標
米雇用/インフレ指標(CPI/PCE):利下げ観測の強弱を決めるため非常に重要。
為替(USD/JPY):日本の輸出株に直結。BOJの追加方針が出れば大きく振れる可能性。
地政学・政策リスク:関税・貿易政策等のニュースは両市場に短期的に影響。
2025年9月20日 土曜日