トランプのPE/ヘッジファンド向け課税強化案

トランプは投資ファンド寄りの人間と思っていたが、PEファンドやヘッジファンドの運用者が成功報酬として計上する「キャリードインタレスト」(業界では通常キャリーと呼ばれる)への課税を強化する計画を推進しているというので驚いた。

キャリーは通常、投資家に示した投資運用の目安(例えば年率8%)を上回って運用が出来た際に、運用者が、上回った利回りの一定割合(例えば20%)を成功報酬として受け取るものだ。キャリーには通常20%のキャピタルゲインの課税がされ、事業収益とはみなされない扱いだ。

この扱いをトランプは税の抜け穴だとして塞ぐことを方針にしている。この間の事情をCNBCの記事から引用する。

『ドナルド・トランプ大統領は13日木曜日、共和党議員らと会談し、ウォール街で人気の税制の取扱いを廃止する計画を含む税制政策の概要を説明した。
「キャリード・インタレストの抜け穴」とは、プライベート・エクイティ、ベンチャー・キャピタル、ヘッジファンドのマネージャーが受け取る特定の報酬に対して、税制優遇措置を提供することを指す。
投資ファンドのゼネラル・パートナーGPは、キャリード・インタレストと呼ばれる仕組みでファンドの収益の一部を受け取る。これは3年以上保有すると長期キャピタルゲイン税率で課税される。
高所得者はキャピタルゲイン20%と純投資所得税3.8%を支払う。一方、通常の所得に対する最高税率は2025年で37%である。
投資マネージャーGPの収益の大部分はキャリード・インタレストから得られる。
キャリード・インタレストの批判者は、これらの収益はキャピタルゲイン優遇措置を受けるのではなく、給与のように通常の所得税率で課税されるべきだと主張する。
この問題は超党派で何度も取り上げられてきたが、業界のロビイストからは一貫して反対の声が上がっている。
「我々はトランプ政権と議会に対し、雇用、労働者、中小企業、地域社会を支援するこの健全な税制政策を維持するよう促す」とプライベート・エクイティを代表する業界団体、アメリカ投資協議会は声明で述べた。』

ファンドの申し子のようなトランプ氏がキャリーへの優遇課税に反対するのは驚きだが、第一次政権でもそうしようとした実績がある。その際は反対が多く実現しなかったが、今回はどうなるのだろか。

実現すれば所得再分配の観点から投資課税全般の見直しに飛び火しかねない動きであり注目すべきだ。

2025年2月16日 日曜日