州法と連邦法の違い

 スポーツ賭博は米国で40州以上は合法だが、カルフォルニア州では違法だそうだ。元々は連邦法でスポーツ賭博が禁止されていたものが、州毎に合法化の動きが進んだ結果だ。「連邦法の厳しい規定を州法が緩める」動きだ。

 トランプ元大統領がコロラド州で州最高裁が「暴動や反乱」に関わった者が官職に就くことを禁じる合衆国憲法修正第14条3項に基づいて大統領選への出馬を禁止する判決を下したが、連邦最高裁がこの判断を覆したのと逆で、「州法の厳しい規定を連邦法が緩める」動きだ。

 現在、テキサス州が自身の国境法を作れるかどうかが議論になっている。以下はユーラシアグループのニュースレターの記事だ。

 『連邦裁判所は今週、国境におけるテキサス州の権力を劇的に拡大する同州の新移民法「SB4」をめぐり、差し止め命令のピンポンゲームを行った。 この法律により、テキサス州警察は米国に不法入国した疑いのある人々を拘留し、テキサス州判事は彼らを国外退去させることができるようになるが、これは従来連邦の管轄下にあった権限だ。
 この法律は、バイデン政権からのテキサスの移民法を認めないという緊急申請を、連邦最高裁が却下したことを受け、火曜日に一時的に発効した。 しかし、数時間以内に、第5巡回区控訴裁判所は執行の差止命令を回復し、水曜日に同法廷は法の合憲性に関する弁論を審理した。これは、訴訟を連邦最高裁に戻す可能性のあるプロセスの1ステップである。
 ユーラシア・グループのアナリストは、たとえ現行の連邦法に抵触するとしても州が独自の移民法を制定できるかどうかが重大な問題だという。
 「裁判所が法律全体を合憲と判断した場合、連邦と州の矛盾する移民政策への扉が開かれる可能性があり、施行に関して大きな疑問が生じるだろう」と彼は言う。
 そしてテキサス州は、対外関係の実施には相手がいることに気づいている。 メキシコ外務省は、テキサス州独自の国境政策を認めておらず、州当局からの本国送還の試みは受け入れないことを明らかにした。』

 今回の事案では、州法の独自の厳しい規制を連邦法が追認する動きで、移民に対して制限的な保守派の考えが反映されたものと見ることが出来る。

 移民受け入れのような、日本の常識では国政に関する事象も、州で独自に判断できるとなると、米国の分断が更に進むことを懸念する次第だ。

2024年3月23日 土曜日