Agency 理論の実体

Agency 理論とは、以下のように説明される。
情報の非対称性を前提としたうえで、契約関係をプリンシパル(委託者、株主ないし投資家本人)とエージェント(代理人、経営者)の関係としてとらえ、エージェントの行動がプリンシパルの利害と一致しないときに発生する問題の構造を明らかにし、その問題に対処する方法を考察する理論である。

具体例としては、投資ファンド(株主)が、投資先の経営を委ねるためにCEOを見つけてきたが、彼/彼女の働きが期待外れの場合に露見する問題だ。
株主の期待を満たすことが出来ない経営者は契約を破棄(解雇)されることになる。経営者にとっては不名誉なことだが、株主にとっても経営者の人選の不始末と、案件がうまくいっていないことを周知することになるので避けたい事態だ。

株主の意向をCEOが満たさない場合は株主が決断すれば解決は可能だ。(結果がうまく行くかどうかはやってみないとわからないが)

案件的に一番難しいのは、絶対株主(持分2/3以上)がCEOをしている会社に少数株主として参加し、ガバナンスを効かせるにはどうしたら良いかという問題であろう。

業績が良ければ問題ないが、実績が全く残せていない場合はどうするか。
株主=エージェントという経営形態が機能しないことが過去数年で証されたとすれば、論理的な解決策は以下のどれかだろう。
1.株主を変える(既存の絶対株主をその地位から退かせる、大株主を見つける)
2.CEOを変える(株主の同意が必要、人選は困難)
3.株主もCEOも変える
いずれも簡単な選択肢ではない。

株主=エージェントが会社の状況をどの程度理解し、どの程度の危機感を自ら抱いているかに大きく依存するだろう。自分に甘い株主=エージェントだと、状況の改善は難しい。

(2020.6.7)