「お役所仕事」考

最も役人になるのにふさわしい大学に進みながらまじめに勉強しなったため役人に成り損ねた後悔が心の底に今でもある。

同期の多くの仲間同様に大手都市銀行に就職しあまり役人と変わらないbureaucraticな仕事をしてきた。若いころいわゆるMOF担の下っ端をやったことが有り、いわゆるお役所仕事の神髄を知った。

その1:受理されなければ届け出はできない。
いろいろな許認可が、許可制から届け出制に変わる時期だったが、MOFに「受理」してもらえなければ物事は1ミリも進まないことを理解した。だから許可制と届け出制は大きな違いは無いのだ。
その2:前例のない事項は進まない。
前例を端から端まで調べて、前例のない新しい考えは認めてもらえなかった。前例にやたらに詳しい人が係長クラスに多くいたなー。
その3:何事も文書主義で完璧主義
「届け出」も「前例」もすべて文書の世界で成立するお話であり、文書については完璧主義が徹底していた。昔の書類はとても大事なのだ。

こうした経験から、
・森友事件の文書改ざんや桜を見る会の記録の破棄は、全く信じがたい。
・ダイヤモンドプリンセスから下船させた人たちの一部のウィルス検査を実施していなかったことと、濃厚接触者たる厚労省の役人が下船後ウィルスチェックをしなかったというのも、完璧主義の役人を見慣れた目には信じがたい手抜かりだ。
・検事の定年延長の件でも、検事は一般公務員の定年が適用されないというルールがあったなら、内閣に息のかかった(とうわさされる)検事の定年をわざわざ伸ばすことはそもそも必要なかったはずだ。有職故実を熟知している法務省の役人はそれを教えなかったのか。内閣府あるいは法務大臣に含むところがあるのだろうか。

日本は官僚が一流だから政治がニ流でも持っていると言われた時期があった。
官僚が新しいものへの受容性でアメリカに後れを取るのはまだ許せるが、現在の仕事ぶりは発展途上国以下に見える。
古き良き「お役所仕事」はどこに行ってしまったのだろうか。

ところで、
「お役所仕事」にふさわしい英語表現としては以下が挙げられる。
red tape: 何事も時間がかかる点を強調
bureaucratic routine: 役人の業務
documentalizm: 文書主義

さらに、
以前アメリカ人に教えてもらった表現で
boondoggle: 見た目は意味ありそうに見えるが意味のない仕事や出張
というのはとても役に立つ。

今話題の官房長官の首席補佐官と厚労省の官僚との出張などはまさにboondoggleですかね。

(2020.2.23)