介護について考えた

 毎日のように保険会社から介護保険の案内メールが届く。新聞の折り込み広告では高級老人ホームのチラシが週に2-3は入ってくる。

 自分は70歳を超えたがまだ最高額の介護保険料を払い続けている。厚生労働省の資料では85歳を過ぎると年代別人口に占める要支援・要介護認定者の割合が59.8%だそうだから、払い続けた保険料のメリットを享受できる可能性が高くなる。支給される保険料だけではとても足りないと考え、民間の介護保険に加入する人も多いのだろう。

 老人ホームはいろいろあるようだ。金額が寡少で済む特別養護老人ホームは要介護3以上でないと入れないようになったらしい。それで、本当に入らなければならない人の待機人数がずっと減ったという。ハイレベルの生活水準を維持したい人には高級な民間老人ホームが沢山あるようだ。我が家から徒歩圏のホームでは入居の一時金が3000万円、毎月の費用が20万円程度かかるようだ。先日TVで都内一と言われる成城の高級ホームに住む夫婦が取り上げられていたが、入居一時金が2億5千万円、毎月70万円かかるとこともなげに言っていた。

 お金のことはさておき、本当に心配なのは、我々を介護してくれる人たちが充分いるかどうかだ。「一月万冊」と言うYouTubeチャンネルで「自民党が作り出す姥捨て山。老人ホームが崩壊し、自宅の介護も崩壊。政府が切り捨て始めた日本人の安心安全老後の未来」というのをやっていた。是非観ることをお勧めしたい。

 それによれば、現在でも介護人員は20万人不足しており、30万人不足するのもすぐ先のようだ。介護職は給料が安く、日本人の希望者は少ない。大卒と高卒の求職者の合計は毎年70万人ほどなので、20万人不足するというのが如何に深刻かは理解できるだろう。これを埋め合わせるのが外国人で、特に「介護福祉士」という資格を取ると日本での就業に期限が亡くなり家族を呼び寄せることが出来るので数千人という単位で取得を目指す外国人がいるそうだ。しかし日本政府の資格取得への支援は貧弱で円安の日本に今後どれだけベトナムやネパール、フィリピンの人が来てくれるか、危ういようだ。ドイツでは同じような制度に国が全額支援して外国人を迎えているそうだ。特に今後懸念されるのは急速に老齢化する中国で、多くの外国人が中国の介護職に流れる恐れがあるとみられる。

 ということで、仮に資金面で何とかなっても(高級な民間老人ホームに入っても)介護労働者不足でまともなサービスを受けられない事態が容易に予想される状況だ。

 まだまだ日本がアジアの途上国から見て仰ぎ見るような平均所得を持つうちに、途上国からの人材を十分受け入れて、日本国のシステムが回るようにする努力を国に期待したい。

2022年11月6日 日曜日