組織文化の監査

企業文化とは何か?
 企業文化とは一言で言えば「社風」とか「仕事のやり方」である。同じ業種に属する企業でも大きく異なるのが普通だ。大きな不祥事が発生した企業では、「会社の為なら少しぐらい法を曲げても良い」とか「前から決まっているやり方なのでそれを踏襲すればよい」という「社風」が定着しているのが通例だ。

組織文化の監査
 企業価値を守り高めるために、監査役監査や内部監査では何をどう監査すればよいだろうか。
 なかなか難しいが、以下のような切り口で監査を進めることが考えられる。

【社内社外からのサーベイによる意見取得】
・トップの確固たる姿勢を従業員は感じているか
・コンプライアンスや倫理の重要性に対する従業員の理解
・従業員サーベイ、顧客サーベイの結果
・顧客からの苦情
【研修】
・従業員のレベルに合わせた研修プログラムの存在
・研修頻度と参加記録、効果測定
【コンプライアンス】
・内部通報制度の活用
・監査が発見したリスクとそのコントロール態勢
・不備・不正への是正措置と有効性
【人事】
・方針への違反に対する処置の適切性と一貫性
・従業員の離職率
・企業にマイナスのメディアでの報道
・退職者インタビューの実施
【ソフトコントロール】
・従業員の能力ー適応性と学習意欲
・信頼と寛容さーチームワーク、問題解決への助け合い
・経営者のリーダーシップー例を示す
・高い期待ー向上のための努力、目標の引き上げ
・共通の価値観ー正しいことを正しいやり方で
・高い倫理基準ー正直、平等、公正

 以上のような諸点を確認することで組織文化の状況をある程度監査することができよう。ただ、ある部門の結果が企業全体の結果になるわけではないので部門を絞らずに広くカバーすることが重要だ。

【まずは一歩踏み出そう】

 単発的に行うのではなく、継続して行うことが肝心だ。監査部門が組織文化の監査をしているという事実が組織に緊張感をもたらし、社風が改善するという効果も期待できる。まずは初めて見よう。The first step is always the hardest.

(2022年7月16日 土曜日)