世界の動き 2025年11月27日 木曜日

今日の一言
「まだ、ほんの始まり」
 今のAI主導の強気相場が懸念される中、超強気で知られるKeith  Fitz-Geraldの相場見通しを紹介したい。
 短期的には、サンタクロース・ラリーは神話ではない。S&P 500は、12月の最後の5営業日と1月の最初の2営業日において、約80%の確率で上昇して取引を終えている。市場心理が改善している状態でこの時期を迎えると、上昇の可能性は通常さらに高まる。
 2026年については、利下げがシステム全体に浸透し、次のイノベーションが本格化すれば、2026年は力強い年になる可能性がある。
 長期的には、イノベーションがもたらす急成長のまだ入り口にいるに過ぎない。AIは、新たな「豊かさの時代」と呼ぶ時代へと私たちを導こうとしている。最初は、それをどう定義すればいいのかまだわからないため、混乱し、不安を感じるかもしれないが、AIは医療から仕事、お金、生産性、アイデンティティに至るまで、あらゆるものを変革する。
 変化の例を挙げる。モルガン・スタンレーは、AIを全面的に導入することで、企業は年間1兆ドル近くのコスト削減が可能になると推定している。スタンフォード大学の最新データによると、世界の企業の78%が業務にAIを活用しており、わずか1年前の55%から増加している。生成型AIを活用する企業は、テクノロジー分野で最も高いリターンを得ている。マッキンゼーの調査によると、企業は1ドルの投資に対して約4ドルの価値を得ているという。彼の結語は以下だ。
 Don’t chase yesterday’s trends. Instead, position for tomorrow’s inevitabilities. 過去のトレンドを追うな。明日の必然に備えよう。

ニューヨークタイムズ電子版より
1.アジア太平洋の外交対立
【記事要旨】
– 背景
米国トランプ大統領は中国の習近平国家主席、日本の高市早苗首相と相次いで電話会談。台湾をめぐる安全保障問題で米国の立場が注目されている。
– 日本の強硬姿勢
– 高市首相は「台湾封鎖や侵攻は日本の生存問題」と国会で発言。これは自衛隊の動員を可能にする法的意味を持つ。
– 中国は日本に対し経済制裁(海産物輸入停止、観光・留学制限)、軍事的示威(艦船・ドローン接近)、外交的圧力(国連での批判要求)を展開。
– 日本は反論を提出し、与那国島に対空ミサイル配備を決定。中国ドローンに対し戦闘機を緊急発進させるなど防衛を強化。
– 中国の戦略的言説
– 習近平は「中国と米国は第二次世界大戦で共に戦った」と強調し、台湾防衛を戦後秩序への挑戦と位置づけ。
– 中国は戦後秩序の「保証者」として自らを描き直し、軍事パレードではロシア・北朝鮮と連携を誇示。
– 対立軸は核保有国(中・露・北) vs 非核保有国(日・韓・台)という構図も浮かび上がる。
– 米国の立場
– 歴史的に米国は台湾支持と日米同盟を維持してきたが、トランプは従来の方針を覆す可能性があり、台湾への姿勢を曖昧にしている。
– 現時点では中国の圧力に応じるか否か明言せず、4月に北京訪問予定。
【コメント】
 日本の強硬姿勢(tough stand)についての部分は以下だ。
 So few observers expected Takaichi to immediately take a tough stance. But this month, she told Parliament that an effort by China to blockade or invade Taiwan would be a “survival” issue for Japan. That term has legal implications, because it permits the mobilization of Japan’s military. Takaichi’s comments were among the strongest ever by a Japanese leader about helping to defend Taiwan.
 存立危機事態の前提が、米軍が台湾防衛のために出動し、日本の自衛隊は米軍を支援するために出動するという視点は欠落している。そのため、台湾をめぐり日本が戦後最も強硬な姿勢を示していると見られている。ややこしい国内法が対外説明を困難にしている。

2.香港の高層マンション火災
【記事要旨】
 昨日、香港の複数の高層マンションで火災が発生し、数百人の消防士が消火に奔走した。少なくとも36人が死亡、279人が行方不明となっている。警察と消防は、建物内に閉じ込められた住民から多数の救助要請があったと発表した。
 火災の原因は判明していない。大埔地区の1棟の建物で発生したとみられるが、火災発生から6時間以上が経過した夜遅くまで、建物は炎に包まれていた。
【コメント】
 まさにTowering Infernoだ。竹の足場が延焼をもたらしたのだろうか。

其の他の記事
・ギニアビサウの軍報道官は、大統領選挙の結果発表前日に、軍が国を掌握したと発表した。【どこにあるかわかりますか】
・ワシントンD.C.のホワイトハウス付近で、州兵2人が銃撃された。【一人は重体。犯人は逮捕された】
・英国政府は、主に個人所得税関連の政策を通じて、2030年までに約260億ポンドの増税を計画している。
・判事は、2020年の大統領選挙に関連するトランプ大統領に対する最後の刑事訴訟を棄却した。
・ウクライナ当局は、米国が支援するロシアに有利な和平提案を緩和しようと躍起になっている。今、問題は、ウラジーミル・プーチン大統領がこれを受け入れるかどうかだ。
・米国大統領選に選出された最高齢の人物であるトランプ氏には老化の兆候が表れている。
【コメント:具体的な「老いの兆候」としては、公務スケジュールの短縮、居眠りのような場面、国内活動の減少、健康情報の不透明さが挙げられている。ただし、本人はこれを全面的に否定し、むしろ精力的に活動していると強調している。】

2025年11月27日 木曜日