米国市場では株価下落の動きが目立ってきた。ついにAIバブルの崩壊を懸念する声が強まっている。本格的なバブルの崩壊につながるのか、それとも健全な調整の過程なのか、見極める時期といえそうだ。
仮にバブルの崩壊だとしても、最近3回の市場暴落時に、全売却、一部利食い、そのまま保有の3つの戦略がその後どういうリターンをもたらしたかは以下だ。
代表的な調整局面と戦略の結果
●2000年 ITバブル崩壊
– 全売却:その後の回復(2003年以降)を逃し、長期的な複利効果を失う。
– 部分売却・リバランス:IT株の比率を減らし、他セクターに分散した投資家は損失を抑制。
– 保有継続:AmazonやAppleなど一部の優良企業は大幅に成長し、長期保有者は大きな利益。
●2008年 リーマンショック
– 株価は世界的に50%近く下落。
– 全売却:現金化した投資家は2009年以降の急回復を取り逃がす。
– 部分売却+再投資:リスク資産を減らしつつ、調整後に段階的に再投資した投資家は回復を享受。
– 保有継続:長期投資家は2013年以降の強気相場で大きなリターン。
●2020年 コロナショック
– 日経平均は2月から3月にかけて約30%下落。
– 富裕層投資家の行動:25%が資産を売却した一方、38%が追加投資を実施。結果的に回復局面で利益を拡大。
– 市場全体:デジタル関連や物流施設など構造的に強い分野は急速に回復し、投資を続けた人が優位。
要すれば、ろうばい売りは避け、長期保有に徹することが基本だということだ。自身のポートフォリオにかなりの利益がある際は、半分は利食いして利益を確定するのが筆者のお勧めだ。
ただし、高値で売り抜け、底値で買うことは難しい。この辺を日本の相場格言は「鯛の頭と尾っぽは猫にくれてやれ」という。同様の格言が米国にあるかと思い調べてみた。こんな言い方がある。
“Nobody rings a bell at the market bottom.”
→ 誰も底値でベルを鳴らしてくれない。つまり、最安値を完璧に当てることは不可能。
“Bulls make money, bears make money, pigs get slaughtered.”
→ 強気でも弱気でも利益は出せるが、欲張りすぎると痛い目に遭う。頭と尻尾を欲張るな、という教訓。
“The trend is your friend until the end.”
→ トレンドに乗ることが利益につながるが、終わりを見極めるのは難しい。
“Cut your losses short and let your profits run.”
→ 損失は早めに切り、利益は伸ばせ。最安値や最高値を狙うより、流れに従う方が有効。
“The crowd is right during the trend but wrong at both ends.”
→ 群衆はトレンド中は正しいが、天井や底では間違える。
11月は、米国の機関投資家が来年のポートフォリオ戦略を策定し持ち株を入れ替える時期だ。その点にも注目して11月の後半の相場の動きを注視したい。
2025年11月16日 日曜日