週間市場動向 2025年11月3日~8日 備忘録

【株式市場動向】
 11月3日から7日までの米国および日本の株式市場は、両市場とも主要指数が下落し、調整色が強まった週となりました。代表的な指数(NYダウ、NASDAQ総合、S&P500、日経平均225、TOPIX)の終値と週間騰落率は以下の通りです。​

米国市場はAI関連やハイテク中心に調整売りが入り、NASDAQ、S&P500ともに大きく下落。​

日本市場も連休明けの売り先行と米国株安を受け、半導体・AI関連を中心に大幅安。日経平均は節目の5万円を割り込みました。​

TOPIXも日経平均同様調整色が強く、個別物色は一部堅調ながら指数全体では軟調となっています。

主要指数一覧
指数名 週間終値 前週比騰落率
NYダウ 46,912.00 -1.21% ​
NASDAQ総合 23,053.99 -3.04% ​
S&P500 6,728.80 -1.63% ​
日経平均225 50,276.37 -4.07% ​
TOPIX 3,597.74 -3.12% ​

今週(11月10日~14日)は米国・日本ともに重要な経済指標と主要企業決算が予定されており、市場は不安定な値動きが続く見込みです。注目セクターはAI・半導体分野、防衛・インフラ関連、米国では高配当株やサイバーセキュリティ企業が注目されています。​

主要イベント
米国:CPI(消費者物価指数)、小売売上高、PPI(卸売物価指数)発表、政府機関閉鎖リスク、シスコ・システムズの決算等。​

日本:ソフトバンクG(連結決算)、三菱瓦斯化学、西松建設の決算。​

中国:「独身の日」(11月11日)消費拡大がテーマに。​

市場の動き予想
米国はインフレ指標の結果次第で金利動向が左右され、依然としてハイテク株の調整が続く可能性。​

日本市場は米国株に連動しつつも、日経平均は48,000~51,000円のレンジで不安定な動き。​強気は影を潜め弱気の虫が増加中。

決算発表による個別物色、エネルギー政策や政府支援など政策テーマ企業に資金が集まりやすい。​

注目セクター
AI・半導体関連(国内外)​
ディフェンシブ銘柄(医薬品、インフラ、防衛関連)​
サイバーセキュリティ・デジタル化・クラウド(米国中心)​
エネルギー(再生可能、地熱、電力関連)​

注目銘柄
銘柄名 市場テーマ コメント
ソニーグループ エンタメ・知財支援 政府支援増額期待・アニメ/コンテンツ関連​
三菱瓦斯化学 地熱・エネルギー 地熱推進政策の恩恵・天然ガス製品​
西松建設 建設・インフラ ドローン活用による効率化・インフラ保全​
セールスフォース AI・クラウド 業務デジタル化・先進IT企業(米国)​
クラウドストライク サイバーセキュリティ IT安全・成長期待(米国)

これらの要素から今週は指数先導の乱高下・イベント/決算による個別銘柄への注目、再生エネルギーや防衛・DX分野の企業が材料視される展開となる可能性が高いです能性が高いです。

【金利。為替の動き】
 2025年11月のドル円為替レートは154円前後で推移しており、依然として高水準の円安傾向が続いています。背景には日米金利差の拡大があります。米FRBはここ2回の会合で0.25%ずつ連続利下げを実施し現在3.75~4.00%ですが、日銀は10月に政策金利を0.5%で据え置き、6会合連続で追加利上げを見送っています。​

為替・金利の現在の動き
ドル円は11月5日時点で154円前後、TTSで154.49円・TTBで152.49円となっています。​

近時一時160円を突破したものの、10月以降は150~155円台で比較的安定しています。​

米国は利下げ局面に入りましたが、日米金利差は依然大きく、円の上昇圧力は弱い状況が続いています。​

日銀はインフレ目標と経済不透明感を理由に、直近の利上げは見送っているため、金利差による円安が持続しています。​

円安に歯止めがかかる条件
米国の利下げペースが今後さらに加速し、政策金利差が縮小する場合。​
日銀が予想外に早期または大幅な利上げに踏み切った場合。ただし12月の日銀会合でも利上げの可能性は低いとの見方が優勢です。​
日本の通貨当局による為替介入や円安進行への“けん制”発言が続いており、155円台付近では介入警戒感が高まっています。​

米国経済の減速や政府閉鎖リスク台頭により、リスクオフの円買いが強まる場合も転換要因となります。​

今後の見通し
専門家や金融機関は2025年末時点でドル円が140円台半ばへとやや円高方向に戻るシナリオを挙げていますが、決定的な転換には“日米金利差の縮小”と“日銀の政策変更”が不可欠です。​

日米双方の金融政策やインフレ・雇用統計発表が短期的な急変動をもたらす可能性もあるため、注目が集まっています。​

現時点では円安歯止めの決定打が乏しく、日銀の政策転換・米国の急速な利下げが顕在化しない限り、円安基調が続くとみられていますいます。

【PE,プライベートクレジット市場動向】
 PE(プライベート・エクイティ)市場とプライベートクレジット市場は、両者とも2025年に入ってから成長が継続しています。投資・エグジット・資金調達で回復傾向が鮮明になりつつあり、特にスポンサー間売却(PE同士の取引)やM&A件数増加が目立つ一方、プライベートクレジット市場は多様な投資ソリューションと個人投資家の参入拡大で規模を拡大しています。​

PE市場の主な動向
世界のPE取引額は2024年に前年比23%増加し、約1.7兆ドル、取引件数は年間約19,000件強に伸びました。​

投資・エグジットともに活発化、スポンサー間売却が増加し、1件あたりの平均取引額も年率で約48%拡大しています。​

マクロ経済環境改善に伴い、IPO市場も一部復活し、資本還流のルートが多様化。​

資金調達は2024年もなお減少傾向で、2021年ピーク時より4割減と資金循環の課題も残っています。​

プライベートクレジット市場の主な動向
市場規模は世界で約1.7兆ドルに達し、今後年率約9.9%で拡大する見込み。​

従来の銀行貸出が縮小する中、ミドルマーケット企業へのダイレクトレンディングなど多彩なソリューションが拡大。​

パブリック市場とプライベート市場の融合が進み、ブロードリー・シンジケート・ローン(BSL)やCLOエクイティなど新しい分野への拡張も顕著。​

AI・インフラ投資や企業の成長資金需要増に伴い、クレジット市場の裾野がさらに広がる。​

個人投資家(富裕層・インターバルファンドなど)が新たな主要資金源となっていることも特徴です。​

今後の展望
PE市場は引き続きディールの大型化・スポンサー間取引中心に拡大する見通し。​

プライベートクレジット市場は金利高・信用基準厳格化を背景に成長余地が大きく、AIやデジタルインフラ分野への貸付が注目。​

個人投資家の参加拡大、財務制限条項強化によるリスク管理強化が今後の主要なテーマです。​

両市場とも投資環境が改善しつつあり、クロスボーダーのM&A活動や新技術分野への資金供給が増加していますています。​

2025年11月8日 土曜日