今日の言葉
「フードスタンプ」
トランプ政権の連邦予算削減でフードスタンプ(以下FS)の受給者が大幅に削減されるというNYタイムズの以下の記事があった。
「アメリカのように豊かで先進的な技術を持つ国で、いまだにこれほど多くの人々が飢えに苦しんでいるという事実は、驚くべきものです。約4,200万人のアメリカ人が、FSとしても知られる補足栄養支援プログラム(SNAP)に頼っています。しかし、トランプ大統領が新たに可決した国内政策法により、200万人以上がこの給付を失う可能性があります。」
以前ニューヨークの郊外に住んでいたころスーパーマーケットでFSを使って食料品を購入する人の姿を希に見かけた。富裕層が多く住む地域だったのでFSを使用する住人が少なかったからだろう。
FSについてWikipediaによれば、
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フードスタンプ(Food Stamp)とは、アメリカ合衆国で低所得者向けに行われている食料費補助対策。公的扶助の1つ。現在の正式名称は「補助的栄養支援プログラム」(Supplemental Nutrition Assistance Program, SNAP)。
形態は、通貨と同様に使用できるバウチャー、金券の一種。一般のスーパーマーケットでも使用できる。対象は食料品であり、タバコやビールなどの嗜好品は対象外となる。
近年、磁気テープが装着されたプラスチックカード化して、買い物やATMからの補助金の引き出しに使用できるようになってきており、これは「EBTカード」または単に「EBT」という呼び名が広くアメリカ国内で使われている(en:Electronic benefit transfer)。
需給状況
所管省庁は農務省であるが、基準の設定や運用は、州毎に任されていることから受給資格はまちまちである。概ね、4人家族で月収入2,500ドルを下回ると対象者となることが多く、最大1人あたり月100ドル相当のスタンプ(スーパーマーケットなどで使用可能なデビットカードの形式が多い)が支給される。ある程度の自給自足が行われる地方では、受給対象となる収入でも十分に生活が維持できるとされ、フードスタンプの存在を知らない、制度を知っていても受給しない者も多数存在しているとされる。2018年9月時点では、約1,940万世帯、約3,858万人が利用し、約48億ドルが給付された。
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NYTimesの記事では受給者が4200万人になっているから、Wikidepiaの言う2018年の数字より大幅に増加している。Wikipediaの説明による給付の金額は一人あたり年間124ドルにすぎず、一人月に100ドルと言う制度にしては少なすぎる。
いずれにしても、米国の人口は3.4億人だから、約8人に一人がFSを受給していることになり、大変な規模の食費支援策である。
従来からFSに寛容な民主党と、縮減すべきだと言う共和党の間で大きな議論があり、トランプ政権でのFSの取扱いが注目される。
日本での食料支援策では「子ども食堂」がまず思い浮かぶ。こちらも全国で10000か所以上に増え、公立中学校の数よりも多くなったそうだ。この現状については機を改めて述べてみたい。
ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.トランプ大統領、ウクライナへの武器供与とプーチン大統領への期限を発表
【記事要旨】
トランプ大統領は昨日、米国は欧州によるウクライナへの武器供与拡大を支援すると述べ、50日以内に和平合意が得られなければロシアは「非常に厳しい関税」を課されると警告した。
関税の脅威は大きな影響を及ぼさない可能性が高い。ロシアは米国にほとんど輸出していないからだ。しかしトランプ大統領は、制裁対象国と貿易を行う他国や団体に課される制裁である二次制裁の発動も示唆した。
トランプ大統領はこの発言を、ウクライナへの武器供与拡大の取り組みを調整してきたNATO事務総長マーク・ルッテ氏との会談中に行った。この取り決めの下、NATOはより高性能なパトリオットミサイル防衛システムを含む米国製兵器を購入し、キエフに引き渡すことになる。
引用:トランプ大統領は、プーチン大統領に「失望した」と述べた。「彼との会話は非常に楽しいのに、夜になるとミサイルが発射される」と彼は述べた。
分析:トランプ大統領は、ロシアに対して前任者とよく似たアプローチ、つまりウクライナへの武器供与を採用したようだ。しかし、彼がこのアプローチを続けるかどうかは疑問だ。
キエフ:ゼレンスキー大統領は、ウクライナの首相交代を目指すと述べた。戦場での敗北と国内の雰囲気の悪化の中での大規模な人事異動となる。
【コメント】
ロシアに対してトランプは常にTACOだった。今回のような制裁はDay1からできたはずだ。
2.パレスチナ人の移動計画、停戦交渉を頓挫させる恐れ
【記事要旨】
イスラエルがガザ地区住民の多くをエジプト国境付近のキャンプ地に強制的に収容するという提案は、停戦交渉の進展を阻む恐れがある。法律専門家はこの計画は国際法違反だと警告しており、ハマスの幹部は「全く受け入れられない」と述べた。
ハマスの幹部は昨日、「これはゲットーのような孤立した都市になるだろう」と述べ、「パレスチナ人は誰もこれに同意しないだろう」と付け加えた。
イスラエルはまだこの計画を正式に発表していない。法律専門家は、パレスチナ人の帰還を禁じることは民族浄化に当たると指摘している。イスラエルの批判者たちは、このキャンプ地を現代の「強制収容所」に例えている。
【コメント】
ネタニヤフがトランプと会談後の動きであり、米国も承認していると見るべきだ。ガザが中東のリビエラになるというトランプの不動産屋的発想が実現に一歩近づくようだ。
3.シリア南部の戦闘で少なくとも50人が死亡
【記事要旨】
シリアのスウェイダ県で昨日、ベドウィン集団とドルーズ派民兵との衝突が2日目となり、50人以上が死亡したと、地元当局者と監視団体が明らかにした。
シリア政府は自制を求め、軍を派遣して「迅速かつ断固として」紛争を解決すると誓ったが、国防当局者によると、派遣された兵士18人が死亡した。この暴力行為は、昨年12月にアサド政権が崩壊して以来、シリア政府が全土を掌握することが困難になっていることを浮き彫りにしている。一方、イスラエル軍は、シリア南部での軍備増強を許さないという誓約を履行するため、スウェイダに向けて進軍する戦車を攻撃したと発表した。
【コメント】
NHKニュースの6月8日の報道がわかりやすい。
『シリアでは、去年12月8日、親子2代にわたって半世紀以上続いたアサド政権が崩壊し、反政府勢力の指導者だったシャラア暫定大統領率いる暫定政権が新たな国づくりを進めています。
10年以上続いた内戦からの復興に向けては旧政権下で科せられた欧米など各国による制裁が大きな課題となってきましたが、先月、アメリカが制裁の緩和を発表したほか、EU=ヨーロッパ連合や日本も制裁の一部を解除し、現地では復興への期待が広がっています。
一方で、この半年の間には、旧政権の支持者や少数派の宗派の人たちなどが標的となる事件や衝突がたびたび起きていて、国内の融和や治安の回復など課題は山積しています。
また、隣国のイスラエルがシリアとの緩衝地帯に部隊の駐留を続けているほか、首都ダマスカス近郊でも軍事施設などを狙った空爆を繰り返していて、シリアの安定は依然として見通せない状況です。』
その他の記事
ヨーロッパ:気候変動により、大陸で最も人気の高い保養地が、逃避行の場へと変貌を遂げている。(避暑地となるべき砂浜が各地で波に侵食されている状況を指しています)
アメリカ:最高裁判所は、トランプ政権が数千人の職員を解雇することで教育省を解体できるとの判決を下した。
テスラ:2019年にオートパイロット作動中に運転されていたテスラのセダンの事故に起因する米国の訴訟が、陪審裁判に持ち込まれた初めてのケースとなった。
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教育:中国のある大学は、「外国人との不適切な接触」を理由に学生を退学処分にすると発表した。
2025年7月15日 火曜日