世界の動き 2025年10月3日 金曜日

今日の一言
「尊敬できないボス」
米国の国防長官(今は正しくは戦争長官か)のピート・ヘグセス氏は2025年9月30日、バージニア州クアンティコ基地に世界中から米軍の高官を集め、演説をした。以下は演説の趣旨だ。
•「肥満の将軍は許されない」「髭は禁止」「女性兵士は“最高の男性基準”を満たさなければ戦闘職に就けない」
•「DEI(多様性・公平性・包括性)プログラムの廃止」「“戦士の精神”への回帰」を強調。
•軍高官に対して「心が沈むなら辞職せよ」と発言。
内容は極めて保守的で攻撃的だ。
これを聞いた軍高官たちは、ほぼ全員が沈黙。拍手も笑いもなく、表情を変えずに聞いていたと報道されている。軍関係者の証言では「この演説はメールで済む内容だった」「忠誠心のテストのようだった」という声も出ているようだ。
軍の伝統として、政治的演説に対しては拍手を控える傾向があるが、今回は特に冷ややかだったと複数の報道が指摘している。
今回演説したヘグセス長官は州兵としてアフガンやイラクに派遣された経験を持ち、最終的な階級は少佐だった。綺羅星のように並ぶ将官たちに比べると軍歴に乏しく、政治家としての実績も皆無の同氏の演説を、将官たちは舌打ちしながら聞いていたに違いない。さらに長官演説の後で、肥満体のトランプ大統領が意味不明の発言を繰り返す様子を見て、忠誠心すら衰えたのではなかろうか。
物事がうまくいけば自分の手柄、うまくいかなければ部下の責任にして、自分の考えを部下に押し付けるのは最悪の上司だ。その実例が米国にあるのは悲劇だ。

ニューヨークタイムズ電子版より
新しい担当者になってから6時丁度に配信されなくなった。とても困っています。
1.米軍を米国の都市に
【記事要旨】
今週、トランプ大統領は米軍の高官たちに対し、注目すべき場所として海外ではなく、サンフランシスコ、シカゴ、ニューヨーク、ロサンゼルスなどの米国内の都市を挙げ、「これらの危険な都市を軍の訓練場として使うべきだ」と述べた。これらの都市は民主党が主導し、トランプの政敵に投票した人々が多く住んでいる場所だ。
彼はこれを「内なる戦争」と呼び、軍を国内の治安維持に使う意向を示したが、これは軍が国民に向けられる可能性があるという世界的な懸念を呼び起こすものだ。
アメリカ建国の父たちは、常備軍が政府によって専制的に使われることを警戒し、軍の国内使用には制限を設けた。歴史的には、軍の国内使用は人種問題と深く関わってきた。
今回のトランプの発言は、広範な市民騒乱が起きていない都市に対して軍を派遣しようとするものであり、政治的意図が強いと専門家は指摘している。
軍の指導者たちは政治的中立を保つため、トランプの発言に対して無表情で反応した。
【コメント】
民主党市長のいる都市を狙い撃ちするトランプ発言だ。自分の政策達成のためには軍の使用もためらわない、とんでもないボスだ。

2.ヨム・キプール(ユダヤ暦で最も神聖な日)にイギリスのシナゴーグが襲撃される
【記事要旨】
ユダヤ暦で最も神聖な日であるヨム・キプールに、英国マンチェスターのシナゴーグ前で、襲撃犯が車で突っ込み、その後も刺傷事件を起こし、2人が死亡した。
この襲撃が開始された数分後、警察官が男を射殺した。警備員と通行人が男のシナゴーグへの入構を阻止していた。シナゴーグではヨム・キプールの朝の礼拝が始まったばかりだった。
警察がテロ行為と呼ぶこの暴力行為は、イスラエルとガザ地区におけるハマスとの戦争に関連した反ユダヤ主義の高まりを受け、欧州と米国でユダヤ人の安全に対する懸念が高まる中で発生した。
【コメント】
犯行の意図はまだ不明だが、一般のユダヤ人に狂気の矛先が向くのはいかがなものかと思う。

3.多くのパレスチナ人は「もうたくさんだ」と訴える
【記事要旨】
ハマスは、トランプ大統領とネタニヤフ首相による停戦提案に対し、未だ反応を示していない。この提案はイスラエルのほぼすべての要求を受け入れ、パレスチナ国家樹立への明確な道筋を示していない。しかし、地元の保健当局によると、6万5000人以上のパレスチナ人が命を落とした残忍な紛争が2年も続いており、イスラエルも食糧援助を組織的に制限しているため、多くのガザ地区の人々はただ戦争の終結を望んでいる。
「ハマスはこの提案を受け入れなければならない。私たちはすでに地獄を経験してきたのだ」と、戦争中ずっとガザ市で6人の子供たちと共に、荒廃した自宅に留まっていた住民は語った。
この提案には、ハマスが受け入れがたいとしているいくつかの要素が含まれており、その中にはガザにおける権力の放棄も含まれている。そのため、パレスチナ人はイスラエルとハマスの間で板挟みになっている。
「私のために交渉している人たちは、エアコンの効いた部屋に座っている。砂浜に住み、水を汲むために30分も歩いたり、小麦粉の袋を探して殺されたりしている人たちとは違う。」と住民は語る。
【コメント】
アラブ諸国からの圧力もありハマスは追い詰めれれている。どう反応するのだろうか。

その他の記事
モロッコでは、Z世代の反政府デモで3人が死亡。マダガスカルでは、数千人の若者が首都で街頭に繰り出し、大統領の辞任を要求した。
トランプ大統領は、政府閉鎖を「前例のない機会」と呼び、さらなる大量解雇によって連邦政府の官僚機構を縮小すると述べた。
デンマークでは、ドローンによる一連の侵入事件が国民の不安を煽って以来、非常用ラジオ、米、サバ缶の売上が大幅に増加したと小売店が報告している。

2025年10月3日 金曜日