今日の一言
「黄金株」
日本製鉄のUSスチール買収では、米国政府が黄金株を持つことで決着するという見通しが報道されている。
黄金株(おうごんかぶ)とは、(買収関連の)株主総会決議事項について拒否権を行使できる株式をいう。譲渡制限が付けられることがある。
欧米で、1980年代に進んだ政府関連機関・公営企業などを民営化する際に、株主構成の極端な変動防止や会社の経営安定を図るために開発されたものだ。その効果から一般の株式会社においても敵対的買収に対する防衛策として用いられている。つまり黄金株を持つ株主は強烈な拒否権を持つことになる。日本ではINPEXが黄金株を使って買収防止策を取っている。
ここまで譲歩しても買収する価値のある会社か、2兆円の追加投資をしても行うべき戦略か、日本製鉄は再考すべきだ。USスチールという古びた入れ物を買収するという手段が目的化しているのを危ぶんでみている。すでに上場した会社は黄金株の新規発行を認められないので、どのように対応するかも懸念材料だ。これまで日本製鉄は莫大な弁護士費用を払ってきたと思うが、この案件で弁護士事務所が勝利者であることは確実だ。
ニューヨークタイムズ電子版よりTop3記事
1.ガザ地区の新たな救援物資配布拠点に群衆が殺到
【記事要旨】
昨日、ガザ地区の新たな救援物資配布拠点で混乱が発生した。イスラエルが考案した物議を醸すやり方で人道支援が配布された最初の丸一日となった。
タイムズ紙が確認した映像には、女性や幼い子供を含む大勢の群衆が、その日の早朝に救援物資の箱が積み上げられた場所の中央に向かって走っていく様子が映っている。別の映像では、遠くで数回の短い銃声が聞こえる中、群衆が逃げていく様子が映っている。3月以来イスラエルが支援物資を封鎖しているため、パレスチナ人は物資不足に陥っている。
この活動を主導するガザ人道財団は、拠点があまりにも混雑していたため、財団のチームは「少数のガザの人々が安全に救援物資を受け取り、解散できるように」撤退したと述べた。
停戦:調停官たちはガザでの停戦合意を早急に成立させようとしているが、イスラエル、米国、ハマスは停戦交渉の進展について相反するメッセージを発信している。
ヨルダン川西岸地区:イスラエル軍は、14歳のパレスチナ系アメリカ人、アメル・ラビーをテロリストとして殺害した。この殺害は、イスラエル軍が過剰な武力を行使し、何の処罰も受けずに行動しているという非難をさらに強めた。
【コメント】
鍋を持って食料に群がる子供たちを見ると目頭が熱くなる。
2.ドイツ首相、ウクライナ支援の主要国として名乗りを上げる
【記事要旨】
ウクライナのゼレンスキー大統領は本日、メルツ首相の就任後初めてドイツを訪問する。米国のキエフへのコミットメントが不透明となる中、メルツ首相はウクライナを支援する欧州同盟の重要人物となった。
主要な議題は軍事援助、特にドイツとスウェーデンが共同開発した巡航ミサイル「タウルス」となるだろう。前政権はタウルスの供与を拒否し、メルツ首相はこの姿勢を批判した。しかし、メルツ首相は就任以来、ウクライナへのミサイル供与の有無について曖昧な態度をとっている。
軍の強化:メルツ首相は軍事費支出を優先事項とし、老朽化する軍の再建のために巨額の借入を行っている。彼はドイツ軍を欧州最強の通常戦力とし、NATOにおいてより主導的な役割を担うことを誓っている。
ウクライナに関するその他の動き:
・グリーンピースの報告によると、ロシアは占領下のウクライナ南東部に送電線を建設し、自国の送電網をザポリージャ原子力発電所に接続しようとしている。
・議会における共和党議員の少数ながら声高なグループは、ロシアに対する包括的な新たな制裁を求めており、トランプ大統領の融和的な姿勢とは大きく異なる。
【コメント】
ドイツはNATOの主導国としての地位を確立しつつある。リトアニアへの軍の派遣もその表れだ。以下BBCの記事。
『2025年5月23日 ドイツ軍はこのほど、リトアニア東部での部隊駐留を開始した。ドイツが外国に常駐部隊を置くのは、第2次世界大戦後で初めてとなる。
ドイツのフリードリヒ・メルツ首相とボリス・ピストリウス国防相は22日、リトアニアのギタナス・ナセダ大統領と共に、同国の首都ヴィリニュスで行われた派兵開始式典に出席した。
メルツ首相は、「欧州の平和は崩壊した。我々が第2次世界大戦の恐怖から学び、一丸となって取り組んできた秩序を、ロシアは毎日侵害している」と述べた。
リトアニアはラトヴィアとポーランドに隣接し、西にはロシアの飛び地カリーニングラード、東にはロシアの同盟国ベラルーシがある。』
3.チャールズ国王、トランプ大統領を微妙に批判
【記事要旨】
カナダ議会の新会期を正式に開会する演説で、チャールズ国王は世界情勢の厳しい現状を描き、その原因はトランプ大統領の経済政策にあると示唆した。「我々は冷静に見極めなければならない」と国王はオタワで述べた。「世界は第二次世界大戦以降、かつてないほど危険で不確実な場所となっている」
カナダの国家元首である国王の今回の訪問は、カナダが米国の51番目の州になるべきだというトランプ大統領の主張に対する反論と受け止められた。マーク・カーニー首相は、国王に議会開会を依頼するという異例の措置を取ったのは、カナダが米国とは異なる独自の伝統を持つことを強調するためだと示唆した。
【コメント】
以下、より詳細なロイターの記事。
『[オタワ 27日 ロイター] – チャールズ英国王は27日、訪問先のカナダで連邦議会の開会を宣言した。英君主によるカナダ議会開会は約70年ぶり。
チャールズ国王は開会演説で、カナダ「併合」や関税措置を繰り返し警告するトランプ米大統領に直接言及はしなかったものの、カナダを「強く、自由」な国と呼び、カナダへのコミットメントを示した。』
その他の記事
フランス:フランス史上最大の小児性愛事件で、299人の元患者を虐待したとして告発された医師の裁判で、本日判決が言い渡される。
米国:トランプ政権は、ハーバード大学との推定1億ドル相当の残りの契約を解除する予定だ。
+
犯罪:マンハッタンの高級タウンハウスで男性を誘拐し、3週間近く拷問してビットコインを盗んだとして告発されていた3人目の人物が、警察に出頭した。
仮想通貨:仮想通貨業界関係者を狙った一連の暴力的な誘拐事件を受け、フランスの業界幹部は警備を強化している。
関税とビジネス
中国:米国との全面的な貿易戦争は、大規模な雇用喪失につながる可能性がある。
日本:閣議は、関税の悪影響を受ける企業と家計を支援するため、63億ドルの歳出法案を承認した。
【コメント:これが日本政府のどの政策を指すのかよくわかりませんでした。7月の選挙対策で補助金・交付金が目白押しですね。】
船舶:米国の造船業復興計画は、障害に直面している。米国の船舶製造コストはアジアの船舶の5倍にも及ぶ。
2025年5月28日 水曜日